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OTV報道部

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復帰を知る vol.13 ~復帰に異論を唱えたジャーナリスト~

沖縄は2022年、本土復帰50年の節目を迎える。OKITIVEでは「本土復帰50年企画」として、2012年に沖縄テレビのニュース番組内で特集したシリーズ企画「復帰を知る」などの過去の放送素材と、新たに取材した復帰にまつわる内容などを加えて特集していきます。
13回目は、復帰に異論を唱えたジャーナリストについてです。

元総理大臣 野田佳彦さん
「歴史的な本土復帰の日から本日で40年を迎えました。全ての同胞が沖縄に寄り添っていく思いを新たにする日でもあります」

元沖縄県知事 仲井眞弘多さん
「日本復帰40周年記念式典を開催できます事は、このうえない喜びであります」

県と政府が共催で開いた、本土復帰40周年記念式典。祝賀行事とは距離を置き、苦渋の思いで毎年5月15日という一日を問い直すジャーナリストがいる。

沖縄タイムス元社長 新川明さん
「僕にとっては、屈辱の日というのは5月15日だね。沖縄人がいってみれば自ら作り出した屈辱の日であるわけ」

アメリカの占領支配から抜け出し「平和憲法の下へ」というスローガンで、展開された祖国復帰運動。1960年代の始め頃までは日の丸に象徴されるように、帰るべき場所としての「祖国」を誰も疑わなかった時代に、新川明さんは、新聞記者として現場に立っていた。

沖縄タイムス元社長 新川明さん
「だいたい祖国復帰という言葉自体に対して、違和感があったわけです。沖縄は明治の琉球処分で日本の国に併合されたわけですよね、それ以前は琉球王国だったわけです。独立した、だから復帰という言葉で、元の状態に戻るというのはあたらないんだよね」

沖縄タイムスの編集局長、社長を歴任した新川さんが、記者時代に掲げた主張、それが「反復帰論」だ。

沖縄タイムス元社長 新川明さん
「上から皇民化、強制がある、それに対して下から今度は同化志向があると、同化志向というのは自分から進んで、国の方へすり寄っていく精神志向、これを僕は復帰思想と呼んでたわけだけどね、その精神志向が復帰運動を支えているんだから、これを克服しようというのが僕にとっての反復帰論だったんですよ」

「1972年の施政権返還」それは佐藤・ニクソン共同声明で発表された。日米両政府は、沖縄におけるアメリカ軍が果たす役割の重要性を確認、このとき基地の継続使用が明確になった。結果として施政権返還と引き換えに、日米安保体制の強化が図られた。

沖縄タイムス元社長 新川明さん
「施政権返還というのは、沖縄における復帰闘争によって勝ち取ったもんだという考え方がまだ残っているわけさね。日本、アメリカの国家の間の戦略的な駆け引きのなかでベストな形というものは、これしかないという形で(施政権返還が)実現したわけでね」

沖縄タイムス元社長 新川明さん
「復帰運動が持っていたプラス面はあるわけね、沖縄人全体を組織して、米軍支配にぶつけていったという一定のプラス面はあるけど。復帰思想のもつマイナス面というものに対する自覚というものが欠落している」

国家の思惑に翻弄された時代から50年が経ち、新川さんは今、自分達の将来は自分達で決める、いわゆる「自己決定権」を手にすべきだと訴えている。地方自治の枠を超えた沖縄の「独立」というイメージが念頭にある。

沖縄タイムス元社長 新川明さん
「地方自治の中で、自己決定権を拡大する限界をみなければならない、大田県政のときは国は法律を変えてまでも抑圧しました。決定的な場面にくると国は、地方自治の精神なんてなんでもなくて法律を変える。独立という形を考えるときに(自己決定権は)100%確保できた姿だろうと思います」

沖縄タイムス元社長 新川明さん
「いま現在の僕自身じゃないんです、ウチナーグチでいうクワマガ子供や孫や次の世代がどのような社会で彼らを生かしていったほうがいいのかと。ずっと50年先、100先の沖縄のあるべき姿をどのようなイメージで構想するのかという話なんですよ」

反国家・反権力の思想を貫く新川さんの眼差しは、沖縄の自立、そしてその先にある未来の沖縄を見据えている。

沖縄タイムス元社長 新川明さん
「沖縄の自立に向けた精神がさ、若干芽生えてきたということが得た事の大きいことだね」

復帰50年未来へ オキナワ・沖縄・OKINAWA
2022年5月15日(日)正午から沖縄県内のテレビ8チャンネルにて生放送!

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