コラム,沖縄移住
【移住者の恋バナ】沖縄の長男と付き合うナイチャー彼女の話
目次
インターネットの検索窓に「沖縄 長男」と入力すると、みなさんの検索予測にはどのようなキーワードが表示されるだろうか?
わたしの場合は以下のとおり。
「沖縄 長男 大変」
「沖縄 長男 甘い」
「沖縄 長男 結婚」
「沖縄 長男 仏壇」
「沖縄 長男 離婚」
「沖縄 長男 嫁」
「沖縄 長男 ダメ男」
ダメ男。シンプルな悪口である。
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なぜこんな話をするかといえば、わたしの恋人マンが沖縄の長男だからだ。
それも、ご実家に立派な仏壇があるタイプのTHE・パーフェクト長男である。
会社の同僚にそう告げると、「……お疲れさまです」と静かに合掌された。やめて。
付き合ってみたら沖縄長男だった
2022年某日。
ひょんなことから出会い、LINEやおでかけを重ねたマンとの酒の席。
彼はとてもやさしく穏やかで、真面目、マメ、たばこやギャンブルはせず酒はほどほど、ユーモアがあってノリも合う。舞い降りた奇跡の独身。こちらとしては付き合わない理由がない。
ということで「そろそろ交際してみるはいかが!」と提案し、相手も「ぜひに!」と快諾。固い握手を交わしてカップルとなった。条約締結スタイル。
その直後、ひょんな会話の流れで彼が長男だと知って固まった。条約不履行の危機。
「沖縄の長男と結婚すると大変だよ!」
そんな話を、沖縄の友人知人らから何度かされたことがある。これまで交際相手の兄弟構成などさほど気にしたことがないので「????」となった。
友人らが語る「沖縄の長男と結婚すると大変説」は、具体的にいえば
・年中行事のたびに料理やもてなしを求められる
・そして沖縄はとにかく年中行事が多い
・親御さんが長男に甘い(嫁に厳しい)
・よってダメ男になりがち
・亭主関白にもなりがち
・財産相続で揉めがち
などといったもの。※あくまで友人らの見解
飲みの場での軽口なのでそこまで気にしていない、つもりだったのに。いざ彼が長男と知ったとたん、その話が脳内降臨して冷や汗ダラダラとなってしまった。
I am 大阪生まれの3人兄妹ド末っ子。
字面だけなら「沖縄の長男」の対極にいそうな存在で、何よりも”己の自由”を最優先に33年間フラフラと生きてきた人間である。
彼、やさしい顔して実は亭主関白かも……?
もし結婚したら”長男嫁”として厳しく指導されるかも……?
行事に次ぐ行事で生活の自由がなくなるかも……?
跡継ぎ産まなきゃいけないのかも……?(被害妄想の拡大)
つまり、長男、キツいかも……???
沖縄長男に事情聴取した
「あの、実は亭主関白だったりする??」
「???」
あっちにすれば突然なんやねんである。モヤモヤを1秒たりとも隠せない人間なので、先ほど脳内を巡った不安をその場ですべて打ち明けた。
「あー。確かにうちのおかあは行事のときに家族親戚全員分の料理作るし、行事は多い(旧暦関連+法事も頻繁)し、自分の上の代はTHE・亭主関白な男性も多いけど……」
この時点ですでに鼻血と吐血がキマりそうだったが、続く話はこのような内容だった。
〇行事の集まりについて
・コロナ禍を機に「親戚一同が長男家に集まる機会」は激減
・自分たち世代は行事ごとを簡略化する風潮も強い
・このあたりは家庭の事情や地域性などもある(彼はずっと那覇の民)
〇ご実家について
・不自由なく育ててもらったけど、そこは兄弟平等
・「長男だから」と特別扱いされることは特にない
・母は「息子のお相手には家のことで苦労してほしくない」と思っていて、”長男嫁に厳しく指導”というタイプではない
〇彼自身について
・たぶん、自分は亭主関白ではないと思う
・男(女)だからこう、じゃなく、2人のことは都度話し合える関係がいい
・料理はできればお願いしたいけど……(苦手なので)
・その分ほかの家事はバリバリやる。お皿は絶対洗う。洗います。洗わせてください。
彼「洗わせてください」
我「洗ってください」
交際は無事スタートした。
**
彼の話で不安がすべて消えたわけではないが、膨らみすぎた沖縄長男ホラーはいったんシュウウウとしぼんでいった。
それに、”長男嫁”になったらあらゆる年中行事に参加しなければ……と考えたとき、「それはそれでちょっと面白そうだな!」という好奇心の波動も感じる。
あとはもう、この先なんかあったときに考えよう。
「過去の交際相手とも、結婚とか将来のことウダウダ考えてたけど結局別れてるしな!」と明るくいうと、彼はハハハハと乾ききった笑いをくれた。
沖縄長男と暮らしてみた
そんな恋人マン a.k.a 沖縄長男との交際は今も続いており、最近同棲しはじめた。
彼は相も変わらずやさしく穏やかで、真面目、マメ、たばこやギャンブルはせず酒はほどほど、ユーモアがあってノリも合うし皿も毎回洗ってくれる。
彼のご実家にも2度ほどおじゃました。ご両親、ご兄弟ともすごく良い方で、トゥンジー(冬至)にはお母上のお手製トゥンジージューシーもいただいた。しに美味かった。
いまのところ、「沖縄の長男」との交際による辛み、エグみ、苦しみは一切感じずに生活している。
我「長男嫁の苦労話はよく聞くけど、”長男だから”って理由で一線引かれる沖縄長男ズもだいぶ世知辛くない??」
彼「あー。それで恋愛が上手くいかなかったとかはないけど、知り合いの人たちとの雑談中に『〇〇は結婚向きっぽいけど、長男だからな~笑』みたいないわれ方をすることはあるな」
我「やば。それ今度記事にしていい?」
彼「ハハハハ(乾)」
“沖縄の長男”と付き合っているわたしより、”日常の出来事をなんでも記事にしたがるライター女”と付き合ってしまった彼のほうが重い十字架を背負っている気がする。
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