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OTV報道部

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ベースは沖縄の黒糖のラム酒 全国の酒造所がプロデュースするクラフトジンとは

近年人気が高まっている酒、クラフトジン。
2019年に大阪で行われたG20サミットでは各国の首脳に日本のクラフトジンが振る舞われるなど、いま世界からも注目されている。
2023年1月、全国からクラフトジンの造り手が沖縄に集い、沖縄と各地の特産品をかけ合わせた新たなクラフトジンを生み出すプロジェクトが進められている。

造り手の個性を反映させたクラフト人の人気高まる

クラフトジン愛好家
「レモングラスとか好きです」

エルレキオ 杉浦 聡さん
「じゃあ、このボビーズっていうオランダのジンはレモングラスのフレーバーが強いので、すごくおいしいので飲んでみてください」

クラフトジン愛好家
「じゃあそれでお願いします」

ウォッカやテキーラなどと並び、4大蒸留酒の一つとして世界中で愛されている「ジン」。
なかでも近年は香りのもととなるハーブや果実などのボタニカルを厳選し、造り手の個性を反映させたクラフトジンの人気が高まっている。

クラフトジン愛好家
「その土地の味を楽しめるため、クラフトジンが今すごく面白いなと思って、あれば頼むようにしています」

飲食店の経営者
「お店にも置いています。お酒が苦手な方とか、(クラフトジンが)入り口になってもらえればなと」

南国のボタニカルに泡盛ベース 沖縄ならではのジン

国内でも大小さまざまな酒造所がクラフトジンの製造に乗り出していて、沖縄では現在4つの酒造所(瑞穂酒造、まさひろ酒造 石川酒造場、多良川)がベースとなる蒸留酒に泡盛を使用し、南国感を全面に打ち出したクラフトジンを製造している。

エルレキオ 杉浦聡さん
「ヒバーチとかシークヮーサーの葉とかピーチパイナップルとか、なかなか沖縄県外では見ることができないボタニカルを使って個性を出しているところがいいと思います。
南国感にプラス沖縄由来の泡盛をベースに作っていたりするので、かなり県としての特徴は出ていて、使いやすいですしカクテルにもしやすいですね」

全国19の酒造所が沖縄に集い 新たなクラフトジンをプロデュース

クラフトジンの魅力をより多くの人に知ってもらおうと2023年1月、全国19の酒造所から造り手が沖縄に集い、新たなクラフトジンを生み出すプロジェクトが始動した。

このプロジェクトの目玉は、それぞれの酒造所がハーブや柑橘類など各地の特産品を持ち寄り、20種類ものボタニカルとして使用する点だ。

そのなかには、こんな珍しいものも──

アレンビック蒸留所 中川俊彦 代表
「(珍しいのは)圧倒的にバターですね。あとはゴボウですよね。すごく楽しみですね。どうなるのかなっていう」

クラフトジンは誕生からまだ歴史が浅いこともあり、造り手も酒造りのヒントを得ようと交流を深めている。

ベースの蒸留酒にラムを使用

今回のプロジェクトでホストを務めた瑞穂酒造はこれまでもクラフトジンを製造していて、国際的な品評会でも高い評価を得ている。

今回は新たな試みとしてクラフトジンのベースとなる蒸留酒に、これまで用いてきた「泡盛」ではなく、沖縄の黒糖から作った「ラム」を使用することにした。

瑞穂酒造 仲里彬さん
「黒糖が非常にいま厳しいということで、その言葉を(生産農家から)お聞きして、このラムをよろしくねと背中を押されたといいますか、その言葉がいつも頭によぎっていましたので」

沖縄県内ではサトウキビの生産技術の発達で黒糖の生産量が増加し、ここ数年は8000トンから9000トンで推移している。
一方、年間の需要は約6500トンで、離島の製糖工場では大量の在庫を抱えている。

瑞穂酒造の仲里彬さんは、これまでもさとうきびの生産農家と協力し、沖縄県内8つの離島の黒糖から8種類のラムを作る「ONE RUMプロジェクト」の中心として活動。
これまでリリースされた商品は即日完売するなど、沖縄の黒糖ラムはいま全国から注目されている。

ラムを作る際には大量の黒糖を使用するため、生産農家や関係者も黒糖の販路拡大に繋がると期待を寄せている。

JAおきなわ伊平屋支店 伊佐常雄 支店長
「黒糖を1キロ食べるというよりもラム酒1リットルから1キロぐらい使うという話でしたので、非常に需要は高まっていくのではないかなと期待しています」

この沖縄でしか生まれない 個性あるジン

ラムをベースにクラフトジンを作るのは仲里さんにとっても初めての試み。
プロジェクトのメンバーも沖縄の黒糖を使った酒造りの可能性に注目している。

千雅 山本修士 代表
「ラムがベースのジンということで、どんな面白いものができるのかなとすごく楽しみです」

尾鈴山蒸留所 黒木信作 代表
「きっとこの沖縄でしか生まれないような、すごく個性のあるジンができるんじゃないかと思って、楽しみにしています」

ボタニカルの抽出を終え、酒の味や香りの骨格が決まる蒸留の工程までたどり着いた。

Q.香りはいかがですか

瑞穂酒造 仲里彬さん
「素晴らしいです。最初は柑橘系のフレーバーが上がってきて、口に含むとアフターにバターミルクのクリーミーな感じがする。いまのところ順調ですね」

今後は蒸留後の原酒ともう一種類のラムの原酒をかけあわせながら、細かな味や香りの調整を行っていく予定だ。

瑞穂酒造 仲里彬さん
「ラムをきっかけに、ジンというお酒にはなるんですけど、(黒糖ラムの)ベーススピリッツとしての可能性を広げたいです。一つひとつ丁寧に、気を抜かずに、皆さんから素晴らしいボタニカルを預かりましたので、しっかり最終製品まで美味しく仕上げられるように頑張っていきたいと思います」

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