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OKITIVE編集部

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沖縄発 企業のDX・AI導入に伴走し、シアワセを創出するデジタルシティオキナワ 

デジタルのチカラで沖縄の課題解決に挑む 沖縄の所得向上の秘策とは?

デジタルシティオキナワ

新型コロナウイルス感染症がいまだ猛威を奮っていた2022年7月。
沖縄県那覇市に一つの企業が設立された。名前は「デジタルシティオキナワ株式会社」。民間企業や自治体に、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に特化した人材を送ったり、生成AI(人工知能)を活用したチャットボットや企業の広範なデータを集約・整理し、社員の質問に回答する各社専用AIツールを提供したりと、DXやAIを軸に事業を展開している。設立者たちはいずれも東京在住。
なぜ、沖縄で法人を立ち上げたのか。そこにはある思いが込められていた。

Chat GPTセミナーを通じ、生成AIの活用や導入法をレクチャー

デジタルシティオキナワは東京都内を中心に、東京証券取引所のプライム上場企業や大学、DX推進に意欲的な地方自治体に対し、生成AIやChatGPTをテーマにしたセミナーを多く開催している。参加団体は精密機器メーカー、鉄道、地方自治体等、首都圏の大学等、多様な業種にわたる。
セミナー実施後、分科会の提案、その後の伴走を行い各企業のAI活用による効率化、本来的な事業への時間の創出に貢献している。

生成AIを活用してコールセンターのお困りごとをゼロに。
CallAIプロ(コールエーアイプロ)

コールセンターのお悩み事解決のAIツール

デジタルシティオキナワが提供するAIソリューションの一つが「CallAIプロ」。コールセンター向けのAIツールだ。多くのコールセンターでかかえる教育、品質維持、言語対応、業務負荷をAI活用により解決するものである。導入により業務効率化、品質の向上、顧客満足度の向上、ひいてはスタッフの離職率改善につながる事が見込める。

地域特化型AI翻訳チャットボット実証実験開始 「沖縄カルチャーナビ」

デジタルシティオキナワ
デジタルシティオキナワの実証実験

デジタルシティオキナワは沖縄に特化したAIと翻訳の掛け合わせの実証実験も行っている。従来の直訳的な翻訳ツールが方言に対応していないことに注目し、沖縄特有の言葉や文化を学習。これにより、インバウンド観光客に沖縄のより深い情報を提供し、沖縄体験をより本質的なものに向上させることに挑戦している。

顧客との受け答えをAIに託す「AIーLINE」

カスタマーサービスの利便性を向上し、コストダウンを実現するAIツール

商品、サービスにフォーカスしたAIツール、カスタマーサポート支援AIチャットボット「AI-LINE」。基本的な学習をベースに、導入企業への詳細なヒアリングを加味することで精度の高い学習データを作成し、導入企業に最適な顧客対応チャットボットを作り上げるサービスだ。
導入企業は自社の商品・サービスに精通したチャットボットを活用することにより、顧客からの問い合わせ対応コストを圧縮することが見込めるようになる。

組織内の「これ、どうやるんだっけ」をAIが回答

digitalcityOkinawa_ 社内連AI
ドキッとするようなネーミングだが社内ノウハウの蓄積をより円滑にし、教育コスト削減を実現するAIツール

もう一つのAIソリューションが、社内に眠る紙データやFAQ(よくある質問)、Webデータを集約し、AIを使って整理し、社員の問い合わせに答える「社内連AI(あい)」だ。
導入企業は、社員からの問い合わせや新人教育などにかかるコストが削減され、各社員がコア業務に注力できるようになることが見込めるサービスだ。

みんなの「知りたい」に応えるAIメディア AILANDs(アイランズ)

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画像、音声生成AIツールの実証や、初心者、中級者のニーズにこたえるちょっと知りたいを日々発信

ChatGPTや生成AIツールの使い方、ニュース等、生成AIに関して日々AIに触れているデジタルシティオキナワのスタッフによるAI関連ブログ。
個人でAIを楽しむ方や会社でのAI導入やAIとどう付き合うかを検討している方に役に立つ情報を発信している。

初心者でも、上級者でも.AI導入ご検討している方からのお問い合わせは先はこちら

クリエイティブ人材を必要とする企業・プロジェクトにリソース投入

そのほか、テレビCMやWeb CMなどの制作企業がそのCM内容に応じて必要とするクリエイティブ人材を、デジタルシティオキナワから投入することも事業の柱の一つになっている。社員はどんなプロジェクトにも関われるよう、モーショングラフィックスなどさまざまな分野のスキルを日々、磨いている。

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取締役宮村氏。20代中盤の若手が役員として企業を牽引しているのもデジタルシティオキナワの特徴的だ

デジタルシティオキナワの事業は必ずしも沖縄に居を構えなければできない内容ではない。東京にある親会社はなぜ、沖縄に法人を設立したのだろうか。デジタルシティオキナワ設立から携わる宮村隼人取締役はその理由を二つの側面から説明する。

「沖縄県は入域観光客が増えていて、コロナ禍前はハワイと同水準の観光客数に達していました。飛行機で4時間圏内のエリアに20億人が住んでいるという潜在的な魅力もあります。さらに、国勢調査で人口が増え続けているのは東京都と沖縄県だけです。そのポテンシャルが、沖縄法人設立のポジティブな面です」

「それに対してネガティブな面は、入域観光客数や人口が増え、観光収入も上がっているにもかかわらず、地域経済に還元されず、県民の所得水準が十分に上がっていない点です。外からお金をしっかり得られるだけの経済基盤が整い切っていないという沖縄の社会課題がある。ポジティブな側面とネガティブな側面のギャップの中に、私たちのビジネスチャンスがあると思いました」

デジタルシティオキナワが沖縄にある価値とその未来

「東京から進出する企業の中には、決まり切ったオペレーションをニアショア(地方企業への外注)するという形での沖縄との付き合い方が多い中、当社は東京の給与水準で、裁量権も大きく委譲して、一緒にやっていこうという思いを強く持っています。今いる沖縄メンバーには将来的には役員になってもらって、経営に参画してほしいと思っています」

さらに、母子世帯を支援する姿勢も示している。デジタルシティオキナワのホームページの求人欄には「求める人物像」「歓迎スキル」「必須スキル」のほかに「応援」という項目を設け、「IT業界経験のシングルマザーの方」と記している。母子世帯出現率が都道府県別で最も高く、全国平均の約2倍に達している沖縄県の現状を考慮した取り組み。IT、クリエイティブのスキルを活かし、本業のみで子育ての時間創出を支援したいという意図だ。

「家族との時間確保しつつ、成長の機会も」

徳田氏。動画生成AIに夢中で情報収集までも楽しくてしかたないと熱っぽく語る。

Webディレクターの徳田孝典さんはインタビュー時点で、デジタルシティオキナワに入社して約3カ月の「新入社員」だ。それでも、東京の広告代理店のCM制作プロジェクトに関わり、CM動画の企画・制作を既に担っている。前職では、SNS広告の制作業務に従事しており、CMの企画は実は初めての経験だという。

「転職を考えたときに、デジタルシティオキナワではディレクションから制作までできると知って、興味を持ちました。CM制作の全ての工程に携われるのは、経験としてとてもありがたいです。最近はLP(ユーザーが広告を経由して最初に訪れるページ)制作などにも携わるようになっています」

「ライフもワークも楽しみながら全力でやっています」

新しいことにチャレンジ尽くしの3カ月間だが、デジタルシティオキナワに勤務するようになって、家族と過ごす時間は増えたという。

「出勤時間は関わる案件によって異なりますが、僕は午前8時半始業、午後5時半退社にしています。忙しいときは残業も少しありますが、基本的には定時で帰らせてもらっています。そのお陰で子どもの朝の送りも夕方のお迎えも、どちらもできています。
夜の家事が一通り落ち着いてから、問い合わせに対応したり、あらためて調べ物したりと柔軟に対応できるので、家族との時間は増えました。社長もお子さんがいて、家族との時間を優先したいという気持ちに共感してくれるので、すごく働きやすいです」

学習・受験費用の支援で成長を後押し

執務スペース。パーテーションがあり集中しやすいよう設計されている

デジタルシティオキナワは業務に関係する資格の取得について、受験に必要な学習費用や受験費用を福利厚生として支給する体制を整えている。
そのほか、会社が認めれば、テレワークも可能。こども手当や役職手当、産休、育休などの福利厚生を整備している。もちろん男性の育休も応援している。

ITを架け橋に、沖縄と世界結びたい

オフィスはカフーナ旭橋のO2 Okinawa Office。アクセスも良く広くスタイリッシュな共有スペースがありモチベーションも上がる。

沖縄は豊かな自然に起因する観光資源が豊富で、アジア諸国からも近い。インバウンドのさらなる回復、増加が見込めると言っても、過言ではない。今以上に海外観光客が訪れるであろう沖縄で、デジタルシティオキナワは、多言語対応などを幅広く展開できるITソリューションを地方公共団体や企業に提供していきたい考えだ。

沖縄社会にどう貢献していきたいか―。インタビューを締めくくる質問に、宮村取締役は力を込めて、こう答えた。

「沖縄は立地の強みから、世界との窓口になるポテンシャルがあると思っています。僕らが提供するITが世界と沖縄をつなぐ架け橋の役割を果たせるようになりたいです」

―取材後記―

沖縄県民の所得を向上させる―。高度経済成長期を米軍統治下で過ごし、かつ大規模な製造業が育たなかった沖縄県にとって不断の目標であったし、その実現に向けて、行政や志を持った県内企業の経営者が取り組んできた。しかし、いまだ道半ばだ。
そんな中、デジタルシティオキナワが示した「将来的には、沖縄メンバーにも経営に参画してほしい」という道筋は「悲願」を実現に近づける一つの解になりえるかもしれない。そんな期待を抱いた取材だった。

Information

デジタルシティオキナワ株式会社
住所
〒900-0021 沖縄県那覇市泉崎1丁目20−1 カフーナ旭橋A街区 那覇オーパ 3階 O2 OKINAWA
関連会社
デジタルシティ株式会社
テンホー株式会社
お問い合わせ先
コチラからお問い合わせください

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