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OTV報道部

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市場拡大は目前!?沖縄での”ライドシェア” 石垣・宮古・本島での実情と課題

日本版ライドシェアの期待と課題|アイランドスコープ2024年9月19日放送

目次

──今回はブルームーンパートナーズの織原由和(よしかず)さんとお伝えします。

織原さん
「今回のテーマは『日本版ライドシェアの期待と課題』です」

海外のライドシェアはデリバリーサービスで有名なUber(ウーバー)などの企業のプラットフォームを介して行われている一方、日本版ではタクシー事業者の管理のもと2種免許を持たない一般のドライバーが有料で客を運んでいます。

コロナ禍以降、タクシー乗務員が不足する中、住民や観光客の新たな移動手段として期待されていますが、その実態は果たしてどうなのか、取材してきました。

沖縄の日本版ライドシェアの実情と課題

2024年8月16日から沖縄県内で先行してスタートした石垣市では、7社7台が日本版ライドシェアの認可を受けています。

その内、かびら観光交通では一般のドライバー1人を雇用し運行を開始しました。

かびら観光交通 伊良皆高司 社長
「(一般ドライバーは)昼間の仕事をされていて、将来的にタクシーに興味があるということでダブルワークという形でうちの方にきてもらっています」

沖縄県内での「日本版ライドシェア」は人手不足のため稼働できていない遊休タクシーを使用し、およそ10時間の研修を受けた一般ドライバーがタクシー会社の管理の下、有料で客を運びます。

かびら観光交通 伊良皆高司 社長
「通常のタクシーの乗務員と同じように出勤してきて、体温をはかったりアルコールのチェックなど一般の乗務員と変わらず一緒の事をやっています」

石垣に続き、沖縄本島と宮古島でも「ライドシェア対応車」と表記された車両が沖縄本島で最大74台、宮古島で最大6台が順次走る予定です。

沖縄総合事務局 星明彦 運輸部長
「今回の規制改革は、生活者の方々が質の高い生活を送っていただけるようにするためのものでございます」

織原さん
「沖縄本島でもライドシェアがスタートしておよそ2週間、沖東交通にその現状を聞いてみたいと思います」

話しを伺ったのは沖縄県ハイヤータクシー協会の会長で沖東交通の東江一成(かずなり)代表。

沖東交通 東江一成 代表
「需要に合わせた営業展開ができれば一番いいと思う、例えばクルーズ船が入ってきたと一挙に港にタクシーが行ってしまうと街の中がガラガラになってしまうと、それをライドシェアでなんとか補える状況を作れれば一番いいんじゃないかなと思うんですね」

タクシーの乗務員不足を補えるとして期待されていますが、実際はその「ライドシェアの運転手の確保」が課題だといいます。

沖東交通 東江一成 代表
「問い合わせはあるんですけど、正式に雇用というふうにはまだ至っていない」

なり手が集まらない理由として働ける時間が原則、タクシーが不足する金曜と土曜の午後4時から翌日午前5時台までと制限されていることが考えられます。

沖東交通 東江一成 代表
「空きの時間に自由にできるようになれば、(ライドシェアの)認知度もスピードアップできるんじゃないかなと思う」

公共ライドシェア NPOが地域活性化

働き方は多様化してきていて、ここ数年は「ギグワーカー」と呼ばれるインターネット経由で単発の仕事を請け負う若者も増えています。「隙間時間に働きたい」というニーズに応えられるようになれば、どんどんライドシェアのドライバーも増えてくると思います。

そんな中、さっそく国土交通省は「タクシー事業者からの申し出があれば曜日や時間帯を拡大できる」という方針を発表し、2024年9月17日から規制を緩和しました。

まだまだ始まったばかりですので、今後も地域の実情に応じて柔軟に対応していくものと思われます。

政府が移動手段が乏しい「交通空白」の解消にむけて取り組むライドシェアには「日本版ライドシェア」の他に「公共ライドシェア」というものがあります。

東村では公共ライドシェアで地域を活性化しようとする取り組みが行われています。

NPO法人 東村観光推進協議会 小田晃久 事務局長
「多くの来訪者に来てもらいたいと思っていますし、住民も住みやすい東村になってくれればいいかなと思っています」

東村で自然を活かした観光ツアーなどを企画するNPO法人東村観光推進協議会は、2024年10月1日から「公共ライドシェア」をスタートさせます。

「自家用有償旅客運送」と呼ばれていた「公共ライドシェア」は、バスやタクシーの利用が困難な地域で自治体やNPOなどが自家用車を使って住民や観光客を有料で送迎するものです。

東村観光推進協議会は沖縄県内では初めてNPOとして事業に参入し、国から認定を受けたドライバー5人と車4台で運行します。

NPO法人 東村観光推進協議会 小田晃久 事務局長
「公共交通機関も発達していなくて、観光客の皆さんもなかなかここまで来る足がないという課題がありました。住民の方としてはここから東村発着であれば、名護市まで行けますので、そういった買い物に使っていただいたり、(東村内で)夜飲んだあとの足として使ってもらったり、そういったことを想定しています」

電話で予約ができ、料金もおよそタクシーの8割だということです。
(初乗り1キロ300円、迎車代200円、100mごとに20円)

NPO法人 東村観光推進協議会 小田晃久 事務局長
「地域の足として、地域住民の方にも観光客の皆さんにも使ってもらえるんじゃないかなと考えています」

今日の一言

──さて織原さん、今回のテーマから見えてきたことはなんでしょうか。

織原さん
『市場拡大は目前』です。

まだまだ沖縄県内での普及には課題は山積みではありますが、規制緩和や交通インフラの整備が進み、ユーザー側への情報提供の質が上がることで、確実に今後プラットフォーマーが増え、一気に市場拡大する可能性を感じました。

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