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琉球藍染など自然由来の材料で色づけし、アニマルウェルフェアな羊毛フェルトで沖縄を表現する「つむぎ屋」(本部町)

目次
独特の色使いが特徴のかわいいブローチを製作しているのは、フェルト刺繍作家の神里菜月さん。
沖縄の生き物たちを中心とした作品づくりには、菜月さんのお母さんとしての優しい気持ちが込められている。
やわらかな素材でつくられた、色とりどりのブローチ。
沖縄の生き物たちを中心とした作品

メガネモチノウオやゴマモンガラ。

オニダルマオコゼなど、珍しい海の生き物たちがモチーフだ。

本部(もとぶ)町にあるアトリエ、「つむぎ屋」で神里菜月さんは創作活動に取り組んでいる。

神里菜月さん
「メガネモチノウオにちゃんとホンソメワケベラをつけているのは私だけだと思います。ホンソメワケベラという、エラを掃除したり口の中に入ったりする魚です。全部で4匹いるブローチです」

神里菜月さん
「チョウチンアンコウを夫婦でつくっているのは私だけだと思います。チョウチンアンコウはオスがどんどんメスに吸着して、どんどん自我を失ってイボになって残るんです」
独特の色合いの中に、生き物たちの生態が表現されている。

神里菜月さん
「生態のことは私のこだわりなんですけど、とても楽しいんです。息子がチョウチンアンコウの夫婦の話など、いろいろと教えてくれて。『面白いね』って私も夢中になってつくっています」
琉球藍染など自然由来の材料で色づけ

海の生き物のほかにも、琉球藍染の恐竜や、ふてぶてしい顔のネコなどを手掛ける。愛らしさとユーモアあふれる作品は、琉球藍染など自然由来の材料で色づけしている。

子どもたちもアトリエに来て作業を手伝ってくれる。こうした家族の時間も創作意欲を高める原動力だ。

菜月さんがフェルト刺繍を始めるきっかけは、子どもたちだった。
神里菜月さん
「魚の群れのブローチを最初につくりました。それを喜んで着けてくれて、ここからどんどんいろんな魚を増やしていきました。うれしそうですよね。かわいいです」

息子のみなとさんの笑顔を見たいと始めた羊毛フェルトのブローチ制作。
いまでは展示会を開くほど作品の種類も増え、沖縄県外でも人気を呼んでいる。
展示会を開くほど作品の種類も増え沖縄県外でも人気

神里菜月さん
「息子は電車など他のことに興味を持つようになり、いまは私が好きなようにつくっています。完成品を息子に見せて『いいんじゃん』ってほめてくれるのを頑張って引き出すような関係になっています」
神里みなとさん
「(初めては)マーグルクンだった気がします。もらったときにすごくうれしかったのを覚えています」

中学生になったみなとさんも楽しそうに作品をつくるお母さんを応援している。
神里みなとさん
「クオリティも高いし、羊毛の触り心地も気持ちいいです。どっちかというと、(アトリエでは)お客さんよりお母さんの方がうれしそうにしています。応援しているというか、応援させられているかもしれません」

菜月さんには、これから取り組みたい大きな目標がある。
神里菜月さん
「息子にほめられたいという気持ちは今も私のモチベーションで、そこは変わらずありますが、これからは地球にやさしい羊毛作家を目指しています。放牧で育てられている羊の毛を使って、一からものづくりをしていきたいです」
アニマルウェルフェアに取り組む羊牧場から仕入れる
「つむぎ屋」の羊毛フェルトは、使用する羊毛の一部をアニマルウェルフェア(動物福祉)に取り組む羊牧場から仕入れている。

神里菜月さん
「作品の中身をより優しいものに変えていきたいです。地球にも生き物にも優しい制作を目指すのが、今の目標になっています」

地球をまるごと愛するように、親子でつくる優しい作品が、多くの人の心を引き付けている。
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