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OKITIVE編集部

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1000万円以上の差も!?沖縄で木造住宅が増加中! 対策方法や保証内容とは

南城市知念の木造分譲住宅 提供:一建設

沖縄の住宅といえば、これまでは台風やシロアリに強いRC(鉄筋コンクリート)造が主流でした。
sikasi近年はその勢力図が大きく変わりつつあります。
国土交通省の統計を基にしたりゅうぎん総合研究所の調査レポートによると、2019年には新設着工戸数で木造がRCを上回り、2023年には木造1,722戸に対しRC造は1,368戸という結果に。
背景には建築資材の高騰によるコスト差があり、RC造に比べ数百万円から1,000万円以上安く建てられる木造住宅が注目されています。

木造とRC造のシェアが逆転 大きな要因はコストの低さ

ここ数年、沖縄で木造住宅が増えている。
沖縄のシンクタンク「りゅうぎん総合研究所」が今年3月に公表した調査レポートによると、木造建築は2013年頃から年々シェアを伸ばし、新設着工戸数の構成比は2019年に木造がRC(鉄筋コンクリート)造を上回った。
国土交通省の統計によると2023年に着工された一戸建て木造住宅は1,722戸。RC造が1,368戸だった。

りゅうぎん総合研究所の調査レポート『沖縄県における一戸建て住宅着工の動向と県内住宅市場の今後の展望』より転載

80年前の地上戦で焦土と化した沖縄は、アメリカ統治の下で復興が進められ、台風に強いRC造が主流となる独自の住宅文化が形成されてきた。

こうした中で木造住宅の着工数が増えている大きな要因として挙げられるのが、資材の高騰などを背景とする建築コストの上昇である。

りゅうぎん総合研究所の調査レポートによると、各メーカーによって幅はあるものの、RC造と木造の建築コストを比較した際、1戸当たり数百万円~1,000万円の価格差があるという。

建築中の木造住宅

「1坪当たりの建築単価はRC造だと100~120万円、木造だと60~80万円。30坪(100㎡弱)に換算するとRCが3000~3600万円、木造が1800~2400万円でコストには大きな違いがあります」

こう話すのは2018年に沖縄に進出した大手住宅メーカー 「一建設(はじめけんせつ)」沖縄営業所長の前仲和人さん。
2019年度は60戸だった着工数は2023年度には150戸まで増やし、木造住宅メーカーの中で3番手につけている。
「木造住宅を忌避する方は今も一定数いますが、この数年間でだいぶ減ってきたという印象です」(前仲さん)

一建設沖縄営業所 前仲和人所長

木造住宅への懸念「台風・シロアリ大丈夫?」

沖縄は台風の接近が多い。冬でも温暖で湿度が高い亜熱帯気候でシロアリが年間を通して活動する。
耐久性が強くシロアリ被害が比較的少ないRC造が選ばれてきた所以だ。
一方で木造住宅の性能は進歩を続け、台風やシロアリ対策も向上している。

一建設が手掛ける住宅では「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」で定められた耐風等級で最高の「耐風等級2」(※注)を満たしている。

注)極めて希に(500年に一度程度)発生する暴風による力の1.2倍の力に対して倒壊、崩壊等せず、希に(50年に一度程度)発生する暴風による力の1.2倍の力に対して損傷を生じない程度

また、県外の仕様とは異なり強風で飛来してきたものが衝突しても割れにくく、割れたとしても飛散しにくいガラスを標準装備している。

“割れにくい” “飛散しにくい”ガラスを標準装備

シロアリ対策はどうか。
木造住宅は防蟻(ぼうぎ)対策が施されていて、県外では地面から1メートル程の高さのまで躯体に薬剤を散布するが、沖縄での対策は異なる。
一建設では土壌からシロアリ用の薬剤を撒くほか、木材を組み立てた後、屋根裏なども含めて躯体の隅々まで薬剤を吹き付けていて、防蟻対策については住宅メーカーの間でも評価が高いという。
また、シロアリ被害による保証として県外では300~500万円が相場だが、一建設では県内は5年間は1000万円まで保証している。さらに定期的な薬剤散布(有償)にも対応している。

防蟻施工の様子

安心して長く住むためには

木造住宅が増加の一途を辿る一方、増加局面に入ってから10年余りとなることを踏まえ、りゅうぎん総合研究所の調査レポートは「各住宅関連企業からは、今後も木造住宅のシェアが増加を続けるか否かの見極め時期に入っているとの声が聞かれた」としている。
築年数がある程度経過した段階でも対策が有効なのか、注視する必要があるという視点である。

木造住宅に限らず、長く住むためには定期的なメンテナンスが欠かせない。
マンションであれば「修繕積立金」を管理組合に納めるなどして10年、20年先の修繕に備えるが、一戸建てでもこの意識を持つことが肝要となる。

メンテナンスの様子

一建設では修繕に備えて毎月一定の金額を積み立て、金額に応じてポイントを付与する商品を今年リリースした。

一建設「“はじめ”のちょうどいい 住まいのライフサイクルサポートプラン」
https://reform.hajime-kensetsu.co.jp/lifecyclesupport/

一戸建てでもマンションと同様に、計画的に費用を積み立てメンテナンスするプランを勧めている。

「木造一戸建ても選択肢に」対策しっかり自信を持って提案

一建設 沖縄営業所長の前仲さんは2019年に同社へ入社した。
当時は申し込みから契約に進もうとしている段階で「木造はダメと、親や親族の反対に遭った」とキャンセルされるケースもあったそう。
「契約に向けた手続き中に旧盆や正月に重なると気を揉んでいました。親族の集まる機会なので」(苦笑)。
今ではこうした事例もほとんどなくなったという。

アパートなどの集合住宅で暮らしていて、一戸建てを購入する家族が多いことから「子どもが走り回っても騒音を気にしなくてもいい。集合住宅ほど隣人に気を遣わなくてもいいところが一戸建ての魅力です」と話す。

沖縄への移住者や“セカンドハウス”として戸建てを購入する客もいる。やはり「海が見える」物件が人気だ。

オーシャンビューの物件も(南城市知念)

「シロアリや台風などにしっかり対策していますし、アフターフォローやメンテナンスも対応します。東京や那覇市など、“都会のマンション”にも利便性などといった強みはありますが、庭でバーベキューをしながらゆっくり過ごすこともできる一戸建ても、ぜひ選択肢として検討して頂けると嬉しく思います」(前仲さん)

一戸建ての生活 イメージ

沖縄の暮らしに合った住まいの選択肢とは?

従来の課題だった台風やシロアリ対策が向上し、保証制度も整えられてきた木造住宅。
長く安心して住むためには定期的なメンテナンスや修繕積立の意識も重要で、その仕組みを提案するメーカーも増えています。
RC造の安心感は根強い一方、コストや暮らしやすさから木造住宅を選ぶ家庭も増加中。沖縄の暮らしに合った住まいの選択肢が広がりを見せています。

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