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ESG投資とともに広がる「アニマルウェルフェア」

後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は世界的に広がる「アニマル・ウェルフェア」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。

早速ですが、「アニマル・ウェルフェア」とは何ですか。

ESG投資とともに広がる「アニマル・ウェルフェア」

宮里
はい。「アニマル・ウェルフェア」は「動物福祉」と訳され、
人間が家畜などとして動物を活用することを認めた上で、
その生命を尊重しようという考え方です。
1960年代にイギリスを中心に広まった考え方で、イギリス議会が定めた
「アニマル・ウェルフェア」の「5つの自由」は、のちに法制化され世界の基準となっています。

後間
そうなんですね。
その「5つの自由」とはどういったものでしょうか。

宮里
はい。例えば「飢えと渇きからの自由」では、適切かつ栄養的に、十分な食物が与えられているか、いつでもきれいな水が飲めるかが条件となっています。
そのほかにも「不快からの自由」、「恐怖や抑圧からの自由」、「痛み・傷害・病気からの自由」、「正常な行動を表現する自由」の4つがあり、それぞれの項目に考慮すべき条件がまとめられています。
今日(こんにち)、国連の提唱する持続可能な開発目標「SDGs」への関心が高まり、
こうした取り組みが加速しているのです。

アニマルウェルフェアをめぐる海外の動き

後間
なるほど。改めて注目されているという「アニマル・ウェルフェア」ですが、世界ではどのような取り組みが進んでいるのでしょうか。

宮里
はい。例えば養鶏場では狭い金網のケージの中にニワトリを入れ、そのカゴを何段にも重ね飼育するのが一般的な方法です。
しかしヨーロッパやアメリカの一部の州では、鶏小屋の中で放して飼育する「平飼い(ひらがい)」や鶏小屋の内外を自由に行き来できる「放し飼い」が行われています。
こうした飼育方法は「ケージフリー」と呼ばれ、結果的に良質な卵を産むことに繋がるといわれています。

ESG投資とともに広がる「アニマルウェルフェア」

後間
なるほど。
このように各国や企業が対策を急ぐ背景には何が考えられますか。

宮里
はい。この背景には「ESG投資」と呼ばれる、新しい投資のあり方が関係しています。
ESGは「エンバイロメント・環境」、「ソーシャル・社会」、「ガバナンス・企業」の頭文字をとったもので、業績だけでなく環境問題や社会課題に対する取り組みや企業の経営姿勢などを、投資の判断基準として重視するものです。
「アニマル・ウェルフェア」に対し消極的な姿勢をとっていると、投資先に選ばれず経営に影響する可能性があるのです。

後間
企業の重要な経営課題のひとつ、というわけですね。日本の取り組み状況はどうですか。

宮里
はい。山梨県では去年、独自の認証制度を創設し、一定の基準を満たせば認証マークをつけて畜産物を販売できるようにしました。
また、青森県の農家と大学では、飼育するウシのストレス状態を色で把握できるアプリを開発しました。
一方、日本では「アニマル・ウェルフェア」に関する実効性のある法規制がなく、取り組みは海外に比べて十分ではありません。
また、取り組みは大きなコストも伴うため、今後は行政の後押しも重要だといえそうです。

アニマルウェルフェアをめぐる国内の新たな動き

後間
国の法制度や支援策が充実し、日本でも取り組みが進むことを期待したいですね。
今回は宮里支店長にESG投資で広がる「アニマルウェルフェア」について伺いました。
ありがとうございました。

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