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金城 わか菜

金城 わか菜

我が家のおしりぷりぷり問題!性教育を考える【金城わか菜のカフを下げて】

金城わか菜アナウンサー(OTV 沖縄テレビ)のカフを下げて―

スタジオのアナウンサーの手元にある「カフスイッチ」。
これをONにすることで、アナウンサーの声は放送に乗ります。
ここではカフをOFFにしたときの声、取材の裏側やプライベートにまつわる話をお届けします。

出勤&登園スタイル

なぜ人前で「おしりぷりぷり」しちゃいけないのか!?

「おしりぷりぷり~!」
やめなさい・・・(汗)
「ちんちん~!!」
やめなさいってば!(汗×2)
「ママのおっぱいボインボイン~!」
もう!いい加減にしなさい!!!(激怒)

コラムの冒頭から、いきなり申し訳ない・・・。
これが5歳男児との日常である。

私が子どもの頃、某アニメの主人公の言動が子どもに悪影響だと話題になったことがあるが、当時は「大人はアタマでっかちだな~」とまったく理解できなかった。
しかし親になった今、「おしりぷりぷり」にイライラする気持ち、すっご~くわかる!息子がパンツを下ろして人前でぷりぷりした時にゃ、イライラどころか冷や汗ものだ。

しかし「どうしてみんなの前でおしりと言っちゃダメなの?」と子どもに聞かれて、私はその理由を上手に説明できなかった。
恥ずかしいから?汚いから?他人様に嫌な思いをさせるから?
「じゃ、どうして恥ずかしいの?」と次は自分で自分に問う。
おしりやおっぱいって、そんなに悪いものだろうか?
みんなから忌み嫌われるものだろうか?
「大丈夫!おしりとかちんちんとか、そのうち言わなくなるから!」と、ある人からアドバイスをもらうも、なんだかしっくりこない日々が続いていた。

今回のコラムも虫の写真ともに!こちらは隣人に譲ってもらったオオゴマダラのサナギ

子どもを性犯罪から守るためには

沖縄本島内の小学校で、教諭の立場を利用して児童の体を触ったとして50代の男が逮捕された。
こうした報道を見るたび、胸騒ぎがするのは私だけではないだろう。
新聞の社説では「相談体制の確立の急務」、「子どもに寄り添ったケアを」と指摘していた。
加害者を取り締まるだけでは不十分で、子どものSOSをどう拾い上げるか、被害を受けた児童の心に寄り添い続けることができるか―。忘れてはならない視点だ。

でも親の立場としては、被害にあってからどうするかではなく、被害をゼロにしたいのだ。
私の息子たちはまだ幼いが、成長とともにそれぞれの社会の輪を広げていく。
子どもを狙う犯罪がこの世に存在する以上、親の心が休まることはない。
せめて子ども自身にこういった犯罪を遠ざけるスキルを身に着けてほしい。
でもどうやって教えればいいのだろう。

新聞の社説の最後には「自尊感情を育てるため幼児期からの性教育が必要だ」という専門家の指摘があった。
え?幼児期から?自尊感情と防犯が何の関係があるの?
「子どもを性犯罪から守りたい」という強い願いと、かねてから心の片隅にあった「おしりぷりぷり問題」。
こうした事が重なって「性教育」をニュースで取り上げることにした。

オオゴマダラのサナギ 黄金色が薄れて斑点とくびれがでてきた

助産師・伊佐恵莉可さんとの出会い

会社の先輩に相談したり、インターネットを頼りに行きついたのが、宜野湾市で助産院パピヨンを開業する伊佐恵莉可さんだ。
実は次男がお腹にいるとき、産婦人科の妊婦健診で問診してくださった助産師さんだった。
コロナの影響で母親学級はオンラインで開催されたが、その講師も伊佐さんで、ママたちの気持ちに寄り添って、かつ簡潔にアドバイスをくれたのも覚えている。
伊佐さんが学校などで性教育講座に取り組んでいること知り、さっそく助産院を訪ねた。

オオゴマダラの羽化 見届けました!

「性教育」を知らない私たち

「私、子どもの時、赤ちゃんはどうやって生まれるの?って親に聞いた時に、はぐらかされたんですよ。
いざ自分が出産したとき、なんでこんな大切なことを話してくれなかったの!?
世間体や恥ずかしさを理由に性の話を避けるなんてヒドイ!と思った。
だから私は、自分の娘にはこんな気持ちにさせたくないと思っているんです」
命の現場に立ち会う助産師であり、また自らも母親である伊佐さんは、性教育の講師を始めたきっかけについて、こう語った。

そう、私たちは家庭でも学校でも、性教育を充分に受けてこなかったのだ。
思春期になって性をはっきり意識するようになり興味や好奇心が湧く一方で、大人にその話題をもちかけるのは幼い頃よりさらにタブーになり、伊佐さんと同じように、私もなんだかトラウマのような記憶が多い。
登校途中に知らないおじさんに下半身を見せられた時の親の言葉だとか、高校の保健の授業で避妊の方法を学ぼうと提案した親友が、職員室に呼ばれて注意されたことだとか。
羞恥心や世間体が立ちはだかり、釈然としない記憶ばかり。

いま親になり考える。
子どもに聞かれたらなんて答える?
子どもを守るために何ができる?
性ってそんなに悪いものだろうか。
性があってこそ、親になったのに。
親なのにわからないことだらけだ。

長男と公園で見つけたカミキリムシのカップル

「命の教室」で学ぶ「自分の体と心」

先に述べたように、助産師の伊佐さんを取材する当初の目的は「子どもを性犯罪から守る」ことだった。
しかし伊佐さんの性教育は「命の教室」と題し、まずは命の源は体のどこにあるかから始まる。
「ずいぶん遠回りだな」とか、「意図がズレているのでは」と感じる人もいるかもしれない。
でもしっかりと段階を踏むことが大切なのだ。

「命の教室」で、まず子ども達は精子と卵子が出会う奇跡や、母親のお腹の中で赤ちゃんが順調に育つことも簡単ではないと知る。
この世に生を受けた自分たちは、誰もが大切で特別な存在なのだ。
そして自分の心と体は誰のものでもない、自分だけのものなのだ。
他の誰かに体を勝手に見られたり触られたり、心を支配されることがあってはならない。
たとえ親子やきょうだいであっても・・・。
誰にも踏み込まれない自分だけの領域があることを幼児期から教えていく。
そして自分も他の人の領域を侵してはならない。
これが伊佐さんの性教育の第一歩だ。

こうした事を繰り返し伝えることで子どもの防犯のスキルが培われる。
万が一性犯罪に遭遇したとき、「変だ、おかしい、怖い」と感じることができるのだ。
もちろん周囲の大人たちは、子どもが「助けて」と言える信頼関係を日常から築いておくことも重要だ。

車に舞い込んできたトンボ いきなり産卵が始まった(!)

「性」の問題に向き合ってきた助産師の願い

性教育は、赤ちゃんが生まれる過程や、防犯を学ぶだけにとどまらない。
「将来パートナーと良い関係を築くための基礎作り」だと伊佐さんは言う。
若年妊娠や中絶、デートDVといった問題を、総合病院の産婦人科で目の当たりにしてきた伊佐さんの思いは強い。
自分の体は誰に所有されるものでもなく、好き勝手に扱われるものではない。
この意識があればパートナーにも敬意を払える人に成長する。
すべての子の心にその種を蒔いてく。いつか自力できれいな花を咲かせることを願って。
「地道だなぁと思うんですけどね」と伊佐さんは優しく笑った。

そんで?おしりぷりぷり問題はどうなる!?

なんだか話が壮大で、長男の悪ふざけから遠ざかったような気がするが、実はそうではない。
根本的にはちゃんとリンクしているのだ。
伊佐さんの取材を終えてわかったことは「性器は命のもととなる大切な場所だと教えること」。
まだ小さいからわかんないだろう・・・ではなく、小さいうちからちゃんと教える。
おちんちんやおしりは「大切なところ」。
だから清潔にしなくてはいけないし、誰かに見せたり触ったりしてはいけないんだよと伝えると、本当に効果があったのだ!彼はしっかり理解し、外出先で私が肝を冷やすことがめっきり減った。
もちろん彼が年齢的に成長したこともあるだろう。
それ以上に性教育を少し知った私に自信と余裕が生まれた。
子の成長とともに、親も学び常にアップデートしていくことを忘れずにいたい。

長男が描いた「家族」、弟はまだママのお腹の中

伊佐さんへのインタビューをまとめました

助産師・伊佐さんを取り上げたニュース企画を記事にしました!
こちらもあわせてご覧ください!

命の大切さを学び伝えていく“性教育” 一人ひとりが大事な存在と知るために

7月はこんな仕事もしました!

DJ SASAさんのレコーディングに参加!
これで3作目となります!
これまではフェーシ(お囃子)やコーラスでしたが、今回は朗読での参加。「てぃんさぐぬ花」と島崎藤村「椰子の実」を読み上げました。

レコーディング風景
3作目の参加!すっかりDJ SASAファミリー(?)です。

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