文化,暮らし
コロナ禍のお盆帰省どうする?全国の親戚を繋ぐオンラインウークイ
新型コロナウイルスの影響で、親族で集まることを控える方もいらっしゃると思います。
浦添市のある家庭では、逆転の発想で、全国各地の親族が一堂に仏壇に手を合わせました。その方法とは…?
沖縄テレビのライブラリーより、2020年の旧盆に関するリポートをご紹介します。
全国の親戚を繋ぐオンラインウークイ
浦添市の新井敏弘さん。旧盆を前に仏壇に手を合わせて語りかけます。
仏壇に報告をする新井敏弘さん
「明日からお盆が始まるそうです。明日はウンケーになります」
注)「ウンケー」は沖縄のお盆の初日(旧暦7月13日)の意味。沖縄のお盆は旧暦の7月13日~7月15日の3日間行われ7月13日の初日はお迎えをする、と言う意味の「ウンケー」、14日の真ん中の日は「ナカビ」、ご先祖様をお見送りする最後の日が「ウークイ」と呼ばれる。それぞれの家庭や地域で行うお供えや御願(ウガン)がさまざまにある
毎年旧盆の最終日「ウークイ」には30人近くの親族が集まり賑わいますが、今年は…。
新井敏弘さん
「コロナの問題とか色々出てきたもんだから。あちらこちらも行けない」
そこで考えたアイディアが…オンライン「ウークイ」
機材をセッティングするのは、新井崇史さんと、崇史さんの息子、琢真くんです。
新井崇史さん
「今はYouTube配信の準備をやっていますね。こっちのカメラで仏壇を撮って、参加した親戚が手を合わせて拝めるように」
新井崇史さんは、インターネットを利用した生の動画配信とテレビ電話で、全国の親族を繋ごうと考えました。
カメラマン
「名付けるなら何ですか?」
新井崇史さん
「”ライブウークイ”」
新井崇史さん
「下のルーター回線速度遅いからOBS閉じていいよ」
カメラマン
「OBSって何ですか?」
新井琢真くん(小5)
「配信用のエンコーダーソフトです」
新井敏弘さん
「あいやー凄いですね、これで東京まで繋がってるなと思ったら。トートーメーはどういう気持ちになって見てるのかなぁ」
注)「トートーメー」とは、諸説あるがもともとは「尊いお方の御前」の意味で、漢字では「尊御前」とも書き、亡くなった方の名前や死亡年月日などが記入された「位牌」のこと
そして、ウークイ当日…
オンラインが繋がり喜ぶ新井家と、全国の親族たち。
会いたかった親戚の顔が画面いっぱいに映し出され、歓声があがります。新しい家族の紹介やそれぞれの近況報告が続き、笑顔が溢れました。
石垣からオンラインウークイに参加した宮平康弘さん
「今回コロナで移動が出来なくてお線香あげにも行けなくて。久しぶりに見る顔、顔がいっぱい見られたので大変良かったと思います」
東京都からオンラインウークイに参加した・小林真美江さんは、遠く離れた沖縄の台風被害を心配し、新井さん夫婦に被害状況を尋ねました。
小林真美江さん
「台風は大丈夫?停電もない?」
新井敏弘さん・良子さん夫妻
「うん、なんとか大丈夫だった。そちらはみんな元気?」
小林真美江さん
「みんな元気」
新井良子さん
「懐かしくて。子どもたちが大きくなって…」
新井敏弘さん
「頑張ってるなとか、可愛くなったなとか。(オンライン)本当に素晴らしい」
新井崇史さん
「みんなの分、あげてるからね」
全員分のお線香を備え、8か所34人が一斉に手を合わせました。
新井崇史さん
「全員集まりました…初めてですね」
みんなでウートートゥ。ご先祖さま、また来年お会いしましょう。
*当時のリポート制作者・喜友名カメラマンのコメント*
コロナ渦でのウークイでしたが、新しい試みの中で暖かさを感じる取材でした。ウヤファーフジは驚いていたと思います!
注)「ウヤファーフジ」は琉球語で「ご先祖さま」のこと
【OTVライブラリーより/2020年9月3日放送】
※ご紹介している内容は2020年の放送当時の情報です。
※内容の一部を修正して掲載しています。
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