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下地 友香

下地 友香

知れば知るほど面白い!華麗なるカレーの歴史

カレーマイスター下地友香のカリーライフ(嘉例生活)

目次

もともとインドにカレーは存在しなかった!?カレーはどうやって世界に広まっていったのか?

カレーといったらインド!と思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
もともとインドでは、ミックススパイスの「マサラ」を数ある料理に使う調理法がありました。このスパイスがイギリスに伝わり、スパイスとともに具材をスープで煮込んだ料理が「カレー」と呼ばれるようになりました。

インドがイギリスの植民地だったころ、インドではスパイスが栽培されていました。このスパイスを初代インド総督ヘイスティングスがイギリスに帰国の際に持ちかえり、19世紀にイギリスではじめて混合スパイス(いわゆるカレー粉)が作られました。これがイギリス内で大ヒット!スパイスで煮込んだ料理はカレーと名付けられ、フランスではソースとして発展し、ドイツではカレー粉をふりかけて食べるカレーソーセージなど、さまざまな国で調理法を変えて世界に広まりました。

インドの伝統的なスパイス市場
インドの伝統的なスパイス市場

日本にカレーが伝来したルーツは!?日本人で初めにカレーを食べた人は!?

文明開化とともに、イギリス由来の煮込むシチュースタイルのカレーが日本で広まります。
横浜の港から伝来の説、横須賀の海軍から伝わった説、北海道のクラーク博士が広めた説など諸説ありますが、いずれにせよ、鎖国体制の崩壊により西洋文化が流入し、居留地や駐屯地の外国人を通して、日本にカレーが入ってきたとされています。

そして、日本人ではじめてカレーを食べた人は、物理学者の山川健次郎といわれています。1871年(明治4年)に米国留学に向かう船上でライスカレーに出会ったと記録に残っています。それ以前だと1860年、福沢諭吉の著書「増訂華英通語」に「Curry」の表記があり、はじめてカレーという言葉を紹介してはいるものの、福沢諭吉が実際にカレーを食べたという記録は残っていませんでした。

山川健次郎氏 最初にライスカレーを食べたとされる日本人。
山川健次郎氏 最初にライスカレーを食べたとされる日本人。
明治時代初期、カレーは高級料理でした。
明治時代初期、カレーは高級料理でした。

明治時代、カレーはハイカラな高級西洋料理として日本中に広まりました。しかしカレー粉が高価だったため、庶民が家庭で作ることはありませんでした。それから食品メーカー各社による国産のカレー粉販売が始まったことで価格が下がり、明治時代後期から徐々に家庭料理として広まっていきました。

沖縄のカレー事情!食堂の黄色いカレーは沖縄名物!

さて、沖縄でカレーといったら、食堂の黄色いカレー!これぞ名物ですよね。
小麦粉とカレー粉を、沖縄そばに使用する鰹や昆布のダシで溶いていくのが基本的な作り方です。ラードを使用しているお店も多く、ぽってりとした粘性があります。
具材は豚肉などの肉と、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンというカレーの三種の神器といわれる野菜に加えて、なんとピーマンが入っている場合が多いです。沖縄移住当初の私は、「カレーにピーマン?」とびっくりましたしたが、黄色いカレーにマッチしていてクセになります。

これぞ沖縄の名物カレー!食堂の黄色いカレー(はつみ食堂:浦添市屋富祖2-1-1)
これぞ沖縄の名物カレー!食堂の黄色いカレー(はつみ食堂:浦添市屋富祖2-1-1)

沖縄のカレーの歴史!創業50年を超える老舗カレー店も!?

那覇カレーグランプリを2014年に始めて開催した頃は、沖縄にはカレー専門店が少なく、出店者を集めるのがたいへんだった記憶があります。最近ではカレー専門店が増え、全国的に大ブームのスパイスカレーや北海道スープカレーなど、全国のご当地カレーを楽しめるお店もできました。
そのなかで、時代が変わっても沖縄県民に愛され続けるカレーの名店があります。そんな歴史を感じる老舗カレー店をいくつか紹介させていただきます。

まずは、1965年創業の「カレーの店たんぽぽ」です。今年で創業57年、名護市内で営業している歴史あるカレー屋さんです。
ソースポットで提供されるカレールーは、見るだけでわくわくしますね。濃厚なカレーは長年愛され続けているのも納得の味です。

創業57年の老舗!カレーの店たんぽぽ(名護市大南1-11-7)
創業57年の老舗!カレーの店たんぽぽ(名護市大南1-11-7)

そして、1983年に創業した「カレー専門店ポケットマーニー」。こちらも歴史があり、創業39年です。
一番人気のインド風チキンカレーは、学生時代に食べた思い出の味という方も多く、県民の舌を唸らせてきました。
日本人の口に合うように、スパイス感やトロミが絶妙なバランスで、何より白米のおいしさが際立ちます。

一度食べたらやみつきインド風チキンカレー!ポケットマーニー(首里寒川町1-4)
一度食べたらやみつきインド風チキンカレー!ポケットマーニー(首里寒川町1-4)

続いて、1988年10月に那覇市樋川に「カリータイム」がオープンします。今年で創業34年になりますが、まさにいま流行りのスパイスカレーに仕上がっています。巧みなホールスパイス使いなど、34年前にどうやって学ぶことができたのだろうかと、改めて取材に伺いたいほどです。パンチがあり弾けるスパイス感、サラサラ系のルーはライスによく合います。

弾けるスパイス!月替わりカレーも人気!カリータイム(那覇市樋川1-34-5)
弾けるスパイス!月替わりカレーも人気!カリータイム(那覇市樋川1-34-5)

そして、1995年に「食堂インド」がオープンします。
本場のインド窯タンドールで焼き上げられたナンが人気で、香ばしさとモチモチ食感がたまりません。スパイスの香りが複雑に重なり、トロミのあるルーがナンにもライスにも合います。
今でこそ沖縄でもインドカレー店が増えて人気がありますが、27年前に桜坂で創業された時代から、スパイスを熟知したカレーやタンドール窯で焼きたてのナンを出していたのは、先見の明がありますよね。

香ばしくてモチモチのナンが人気!食堂インド(那覇市牧志3-8-29)
香ばしくてモチモチのナンが人気!食堂インド(那覇市牧志3-8-29)

その後、インドカレーやネパールカレー専門店、そして空前のブームのスパイスカレー専門店が続々とオープンします。それでも愛され続けるカレーの名店の味は現在もファンを魅了しています。

今回のコラムでは、私が調査した範囲での歴史ある沖縄老舗カレー店の紹介させていただきました。さらに探求してみても、面白い情報がありそうですね!また新しい発見があれば、OKITIVEで紹介させていただきます。

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