公開日
OKITIVE編集部

OKITIVE編集部

食を通じて、OKINAWA FOOD FLEA から伝えたい想い。

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア

2022年7月23日、24日。宜野湾マリーナ(沖縄県宜野湾市)にて、OKINAWA FOOD FLEAという食をメインにしたイベントが開催された。
両日とも夏空で、真夏の日差しを浴び、多くの人が汗を流しながらもイベントを楽しんでいた。テンポのよい音楽に包まれた会場では、店舗前に人々の列ができ、日陰ではファミリーがシートを広げ、買った食べものを分け合い、そして、たくさんの会話と笑顔であふれている。そんな「食のフェスティバル」OKINAWA FOOD FLEAを2014年に立ち上げ、主催している石井雄一郎さん。コロナ禍で2年半のイベント休止を経験するも、今回の再開を決定している。京都出身で沖縄在住の石井さんは、なぜこのようなイベントを開いているのか?その想いについて、今回OKITIVEがインタビューを行った。

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア

そもそも、なぜ沖縄に移住したのですか?

石井さん
「若い頃、海外で暮らしていたときに出会った沖縄出身の方が、移住するきっかけになりました。日本とか故郷に愛着の少なかった僕と違って、その人はすごく沖縄が好きだったんですよね。そこで沖縄の人は、故郷をすごく好きなんだって知ったと同時に、その理由を知りたくなりました。

それからしばらくして、いまから16年前になりますが、妻が『沖縄に住みたい』と言ってきたんです。僕にとっても沖縄はすごく気になる場所だったので、移住を決意しました。

移住して感じたのは、沖縄がすごく愛のあふれる島だということ。沖縄には、家族を大切にする文化が残っていて、親戚同士が大人数でよく集まったり。親が子育てで困ったときに、その子の祖父母が手伝ってくれたり。親と離れて暮らしていても、何かしらの繋がりがあったり。そうやって愛が繋がっている島だから、沖縄の人は沖縄が好きなんだろうなと気づきました。」

FOOD FLEAはどういう経緯で立ち上げられたんですか?

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア

石井さん
「2011年の東日本大震災のニュースを見ていて、『自分の力で世の中や地域をよくしていく方法ってないんだろうか』と考えるようになったのがスタートでした。

地域限定のお金を作るとか、いろんな案を考えたんですけど、『街をつくれないかな』と思い始めて。その街にはどんな物語があるのか考え、そこで思いついたのが『最高の日曜日』というものでした。

その日はカップルが2人でマーケットに出かけて、自分たちの好きな食材や気になる雑貨を買って。最後は『楽しかったね』って話をしながら、旦那さんが作った料理を二人で食べて、満ち足りた気分で眠りにつく。
そして、そんな日曜日が実現できる街を再現しようとつくったのが、FOOD FLEAでした。2014年の第1回は、僕が食べ歩いた中で本当にいいと思ったお店を1店舗ずつ口説きまわっていったんです。

あれから8年経ちましたが、コロナで2年半の休止があったことを受けて、今回のイベントは再び、第1回の開催だと思っています。原点に立ち返って、全店舗に沖縄の食材を使用してほしいとお願いしました。当日出品する予定のメニューを教えてもらって、選ばせてもらって。なかには、予定していたメニューから変更をお願いした店舗もありました。」

石井さんが出店されているGinoza Farm Labの3,000円ハンバーガーが話題ですね。

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア
OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア

石井さん
「今回のハンバーガーは、やえやまファームさん(石垣島の農業生産法人)とのコラボ商品なんです。やえやまファームがつくっている、有機栽培のパイナップルと、現地の農場でていねいに育てられた石垣牛を使用することに決めました。

2021年10月に、今回のコラボとか関係なく、やえやまファームをたまたま訪問していたんです。そのときに、食べさせてもらった有機パイナップルがとってもおいしくて記憶に残っていました。

その後、縁あって、企業としてのタイアップ(Ginoza Farm Lab × やえやまファーム)の話が持ち上がってきたんです。それは、1ヶ月ほどで決めなければいけないタイトなスケジュールでしたが、こだわり抜いたものを完成させました。(笑)

最初はやえやまファームの有機パイナップルと、Ginoza Farm Labで取り扱っている牛肉でハンバーガーにしようと話していたんです。でもせっかくやえやまファームがSDGsや循環型農業に積極的に取り組んでいるので、やえやまファームの食材を感じられる石垣牛とパイナップルを使用しようと方向転換していきました。そして、完成したのが今回の3,000円ハンバーガーなんです。」

やえやまファームについて

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア
OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア
OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア
OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア
OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア
石井さんとやえやまファーム中川社長

石井さん
「正直、この牛肉をハンバーグにして食べるのって、ものすごく贅沢なんですよ。このランクだと、小さな塊のステーキで数万円とかで出しているお店もあるぐらいですから。でも、僕はどれだけ高い値段でも出していいと思っていました。例え、ひとつ1万円のハンバーグになっても…

この商品は、毎日売るような商品じゃなくて、FOOD FLEAが開催する特別なときにしか提供できません。だから、お客さんも『たまには、贅沢しようよ』と、いいものを相応の値段で買ってくれることが多いんです。特にいまは、コロナでみんななかなかこういう場所に来られない。だから、商品もスペシャルにしたいと思ってます。

それに、今後、沖縄にいらっしゃる多くの観光客の中にはお金持ちの方もいるはず。そういう方は、もちろん家庭的な定食も食べるんですけど、毎日それだけじゃ嫌なんですよ。せっかくその土地に来たんだから、その土地の高級なものも食べて帰りたいと思うはずなんです。そういう価値を沖縄の飲食店は提供できるようにならなきゃいけない。だから今回のコラボバーガーはその先陣を切っている感覚でもあります。」

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア
OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア

石井さん
「FOOD FLEAを見回ってみればわかると思いますが、ほかの飲食系のイベントよりも、価格設定が少し高いです。これは僕が、各店舗に『安売りはしないで』とお願いしているからです。200円安くしようかと悩むなら、200円高くしてでも勝負できる自信のあるものを出してほしいと声をかけています。主催者である僕が、その先頭を切って、高くても自信を持って出せる商品を売っているんです。」

先ほど3,000円のハンバーガーをいただきました。お肉が本当に柔らかくジューシーで。中に入ったパイナップルの絶妙な酸味と甘みが、お肉やコクの深いソースとマッチして、とってもおいしかったです!

石井さん
『料理人は、自分の作った料理をおいしいと言ってもらうことが幸せなんですよ。とはいえ、こういうイベントでも調理しているとなかなかそういう声は拾いづらいから、僕は買っていった方のほっぺを見るようにしています。おいしいものを食べた人って、頬の骨格が上がるんです。

それから、FOOD FLEAに来場してくれた方が帰るときの会話に聞き耳を立ててみたり。そこでいい会話が生まれ、巡り巡って料理人になりたい人が増えたり、今回のやえやまファームさんのような第一次産業の想いを伝えることができたら本望です。」

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア

最後に、FOOD FLEAを通して伝えたいことを教えてください

石井さん
「僕は、この食のイベントを30年続けて、3世代の人にまで伝えたいと思っています。
ここには、手作業で、想いをこめて料理をつくる料理人が集まっています。それを、小さな子どもたちが見て、料理を食べて、『おいしいな』『こんな料理をする人になりたいな』『大人になったらあんなフードトラックに乗りたいな』と思えるような場所にできたらいいなと思っています。」

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア

石井さん
「自分ができること、やりたいことをやるって、すごく重要なことだと僕は思うんです。
その一歩目が憧れや夢だと思っているんですよね。だから、子どもたちがやりたいことを見つけられるイベントにしていきたいと思っています。」

OKINAWA FOOD FLEA_沖縄フードフレア

石井さんの話をお聞きしてから、実際にもう一度会場を見回ってみた。
商品を受けとった後すぐに、口にしたお客さんに「おいしい?」と聞くお店の人。お客さんの笑顔の頷きに、彼の顔も綻んでいた。
会場には確かに、子どもたちも多く参加していた。
暑い中でも料理をつくり、届ける。そして、そのおいしさが届いたことを確認して、笑顔になる。そんな一生懸命な大人の様子を、子どもたちに届けたいという想いこそが、このFOOD FLEAを30年続けていきたい一番の理由かもしれない。

> OKINAWA FOOD FLEA
> Ginoza Farm Lab

あわせて読みたい記事

HY 366日が月9ドラマに…

あなたへおすすめ!