カレー,グルメ,コラム
広大な面積のインドは、北部と南部でカレーの特徴が異なる!?
主食も異なる北インドと南インド!
日本のおよそ9倍という広大な国土面積を誇るインド。北部の都市カシミールが九州付近、南部はフィリピンあたりの緯度なので、北と南では気候が大きく異なります。
1年を通して暑い南インドに比べ、北インドの冬期は5~8度も気温が低いため、栽培する農産物も異なってきます。寒さのある北インドでは小麦、温暖な南インドでは稲作の栽培が盛んです。そのため、カレーと一緒に食べる主食も、北インドでは小麦を使用したナンやチャパティであり、南インドではお米になります。
インドカレーと一口にいっても、主食の異なる北インドと南インドではカレーの特色も異なります。それぞれ紹介していきましょう!
こってり濃厚、ナンやチャパティによく絡む北インドカレー
インドカレーといえば、スパイスが効いたとろみのあるカレーと、ふんわり焼かれたナンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?日本のインド料理店の定番であるナンは、北インドの主食です。ナンはインド宮廷料理由来の高級料理なのでレストランで食べることが多く、タンドール窯を持たないふつうの家庭ではフライパンで簡単に調理できるチャパティの方が一般的です。小麦粉の全粒粉を薄く伸ばして、こんがり焼いたものがチャパティになります。
とろみのある濃厚なルーは、いくつかの香辛料をブレンドしたガラムマサラというミックススパイスを使用しています。そこに牛乳や生クリームなどの乳製品を加えてまろやかにし、具材もチキンやマトンなど肉類が中心で、こってりとした味わいです。カシューナッツなどをペースト状にしてカレーにとろみやコクをプラスし、濃厚に仕上げているのも特長です。近年、日本でも人気のバターチキンカレーは、北インドカレーに該当します。
沖縄県内にも北インドカレーをおいしく味わうことができるお店が多数あります。タンドール窯で焼かれたナンを提供するタージ沖縄もそのひとつで、クリーミーで濃厚なルーは香ばしいナンと相性抜群。肉由来のこってりとした旨味が小麦の味わいとよく合います。
あっさりスパイシー、お米に合うサラサラ系の南インドカレー
南インドカレーは、北インドカレーと比べると水分が多く、さらっとしていて、スパイシーなのが特長です。
ココナッツミルクやフルーツも使い、あっさりまろやかな味わいでありながら、スパイスもしっかり効いています。具材は魚や野菜、豆類が使われることが多いので、肉類を使用する北インドカレーよりはさっぱりとした味わいです。また、ミカン科の植物の葉であるカレーリーフや、カラシナの種子であるマスタードシードを多用し、ココナッツミルクなどの食材を使う点も、南インドカレーの特長です。
沖縄県内で南インドカレーが食べられるお店はまだまだ少ないですが、読谷村のカレー専門店コフタでは南インドカレーを提供しています。南インドには「ミールス」と呼ばれる定食のようなスタイルがあり、コフタではその「ミールス」を楽しめます。大きなプレートにお米、カレー、副菜やスープなどの小さな器がいくつも乗せられて、すべてを混ぜながら食べることによって、味や栄養バランスがとれるように考えられています。
主食を米とし、汁物やおかずをバランス良く食べる、日本の一汁三菜の食文化に近いなと、ミールスを食べる度に思います。
広大な国土面積を誇るインドでは北部と南部で、主食も変われば、カレーの特色も変わるのは面白いですよね。
寒い北インドでは脂肪分の多いこってりしたカレーで体を暖め、反対に南インドでは食欲をアップさせるスパイシーであっさりしたカレーで暑さをしのいでいるのですね。さらに細かく分析すると、東部のフィッシュカレーや、西部のポークビンダルーカレーなども有名です。インドカレーには実に多くの種類があり、地域にこだわってお店を探してみるのもカレー通の楽しみ方のひとつです。
ネパールの国民食ダルバートで味わうネパールカレー
続いて、インドのお近く、ネパールのカレーやスリランカのカレーの特色も気になりますよね。
まずは、沖縄県内に多いネパールカレー。ネパールカレー店といってもインドカレーをメインにしており、一部ネパールカレーをメニュー化しているケースが多いと感じます。しかし、ネパールの一般的な食事といえば、やはり「ダルバート」。ダルバートを中心に提供しているお店が、ネパールカレーの専門店です。
沖縄で働く外国人労働者で一番多いのがネパール国籍の方。アルバイトをしながら学ぶ留学生も多いですよね。そのようなネパールの学生の拠り所になり、仲間でカレーを楽しんでいるのを見かけるカレー屋さんは思い浮かびませんか?その店こそが、ネパールの国民食ダルバートが食べられる本場ネパールカレー屋さんだと思います。浦添市勢理客にある「ネパール食堂くまり」も、そのひとつ。私が訪問した日も、やはりネパールの学生で溢れていました。
ダルバートとは、ダル(豆のスープ)、バート(ごはん)という意味。そこに、タルカリ(野菜などのおかず)と、アチャール(漬物)が加わり、セットになった食事のことです。日本でいう定食ですね。ネパール食堂のくまりでも、ダルバートをいただけます。ニンニクやショウガなどを効かせ、どれもしっかりした味付けなので、ごはんが進み、日本人にもどこか懐かしく、しっかりくる味わいです。
スパイシーでココナッツ風味香るスリランカカレー
スリランカは、南インドに近いため農産物やスパイスも、ほぼ一緒です。しかし、カレーにおいては少し異なり、スパイスをホールではなく潰してから使い、ココナッツミルクを多用する特色があります。
名護市にあるラッキーランカは、本場スリランカカレーを提供するお店です。お米、カレー、おかず、アチャールなどをプレートに乗せて、混ぜながら食べるのがスリランカ流。スパイシーで、ココナッツミルクの風味が広がり、アチャールの酸味や食感を楽しめ、食べ進めるほどさまざまな表情を見せるカレーです。
今回は、インドカレーの地域による特色や、周辺国のカレーを紹介いたしました。
いつも行っていたインドカレー専門店が北インド系か南インド系なのか考えてみたり、ネパールのダルバートやスリランカレーを味わってもらうキッカケになれば嬉しく思います。また新しい発見があれば、OKITIVEで紹介させていただきますね。
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