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OTV報道部

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パイナップルの葉っぱや茎が服に変身⁉ 廃材活用でサステナブルな取り組み

沖縄が誇る特産品の1つパイナップル。2022年、沖縄のパイナップルが多くの社会問題を解決する新たな一手として、有名ブランドを含む多くの企業から注目を集めている。
パイナップルの廃材を服やストローに自由自在に変身させる企業を取材した。

オーガニックコットンより環境に優しい

パイナップルの葉っぱや茎の廃材を利用した、ストローやスプーンなどを販売する会社・フードリボン。

実は、ストローやスプーン以外にも農家の所得向上や児童労働などの社会問題の解決のために、パイナップルの廃材の新たな活用方法を見出した。それは、私たちが毎日着用している服だ。

フードリボン 宇田悦子 代表取締役
「オーガニックコットンよりも環境に優しい。そして、量としてもポテンシャルが莫大に量があるというものを普及させていくことができれば、本当に大きな市場が見込める」

「副次的に得られる資源が大切」

洋服には化学繊維と天然繊維が使用されている。化学繊維の服は、洗濯排水を通して繊維の一部が海に流れ、海洋プラスチックの原因とされる一方、天然繊維も国際的に児童労働などの問題を孕んでいると言う。

フードリボン 宇田悦子 代表取締役
「天然繊維の代表であるコットンがほとんど天然繊維を占めておりまして、そのコットンのなかでも児童労働の問題だったり強制労働の問題だったり、水資源を多用している事とか。あと、農業の中でも農薬を一番使用しているっていうことがありまして、サステナブルな素材が求められている」

これらの問題を解決するための手段としてオーガニックコットンが注目されているが、コットンの中でもオーガニックコットンの普及率は1%しかない。

そこで宇田さんは問題解決の突破口として、パイナップルの葉に着目した。

フードリボン 宇田悦子 代表取締役
「ただ、その1%以下のオーガニックコットンですらも、4000億円以上の市場がありまして需要はとてもあるんですけど、供給が追いついていないという現状があります」

フードリボン 宇田悦子 代表取締役
「繊維のために畑を新たに作るのではなくて元々私たちが食べている、食べるために作られているパイナップルやバナナの畑から、副次的に得られる資源ということがとてもポイント」

発展途上国の農家の収入が1.5倍に

宇田さんはパイナップルの葉っぱを特殊な機械に通して、洋服に使う繊維を取り出すことに成功した。

フードリボン 宇田悦子 代表取締役
「それがあることによって、今までは遠くの工場まで運んでそこで初めて繊維が抽出できるというようなところだったのが、農家さんが葉っぱや茎が要らなくなったタイミングでその機械にいれていただくことで、連続的に繊維が取り出せるというようなマシンになっています」

現在は特許申請中のため実物は公開されていないが、この機械を農家に貸出した後農家が繊維を抽出、重量に応じて利益の一部が還元される仕組みで今後、沖縄だけでなく全世界で展開される予定だ。

フードリボン 宇田悦子 代表取締役
「2022年の内にインドネシアとインドでスタートします。東南アジアの発展途上国っていうところが、本当に農家さんが貧しくてインドネシアとか月収が平均2万円。基本的にいつもの農家さんの作業に1日あたり数時間、この作業を加えていただくことで概算ではあるんですけども、農家さんの所得が1.5倍くらいになるんではないかと概算しております」

沖縄県内に天然繊維産業を作り、積極的にシングルマザーの方を雇用

沖縄美ら島ファーム 宮里政智 事務取締役
「この残った葉っぱの方を機械にかけて繊維を取っていく」

実際に沖縄で機械を使用しているパイナップル農家の宮里さん。

沖縄美ら島ファーム 宮里政智 事務取締役
「パイナップルは収穫すると果実をとったあとに葉っぱや茎が残るんですけど、処分するのも手間暇がかかって大変なところが一つあると。これが葉っぱのほうから繊維がとれるとなると、また一つ新たな付加価値が付くのではないかなと。またそういった形で利益が生まれるのであれば再度、人の雇用とかそういったことにも繋がるんじゃないかなと」

すでに有名ブランドを含む多くの企業からオファーを得ているというこの事業。宇田さんは、今後拡大していくにともない沖縄での雇用創出に繋げたいと話す。

フードリボン 宇田悦子 代表取締役
「原材料であるパイナップルとかバナナがあるのって日本国内でも唯一沖縄ですので。私たちのその原点のある沖縄の大宜味村に、こういった天然繊維産業っていう、モノ作り産業を作るっていうことを考えております。なので、県内の女性のシングルマザーの方を積極的に雇用させていただきたい」

観光業といった第三次産業が多く、製造業が少ない沖縄で今後パイナップルなどから獲れた、サステナブルな繊維や服が世界に届けられる日は、すぐそこなのかもしれない。

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