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OTV報道部

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ボリビアと沖縄の”経済交流”二つを繋ぐプロジェクトが始動

2022年11月、閉幕した世界のウチナーンチュ大会ではウチナーンチュネットワークを活用した経済交流についても期待する声が多く聞かれた。
実際にボリビアの県人移住地コロニア・オキナワと沖縄二つの沖縄をビジネス面でつなぐプロジェクトが始動している。

「ビジネス交流ができてはじめて移住地改革が本物に」

2022年10月29日、世界のウチナーンチュ大会に合わせて開かれた南米・ボリビアから里帰りした人々の歓迎会。

その席でも、こんな挨拶が──

ボリビア沖縄県人会 比嘉徹 会長
「ウチナーンチュのスピリッツ(魂)で今までは文化交流が盛んだったと思いますけど、ビジネス交流ができてはじめて、移住地改革が本物ではないかということを感じました」

経済交流に期待を寄せるウチナーンチュたちが暮らすのは、地球の反対側にあるボリビアの県人移住地コロニア・オキナワだ。
かつて原始林だった場所は今、大豆や小麦畑が広がるボリビア有数の穀倉地帯へと生まれ変わっている。その地で始動したのが「OKINAWA TO 沖縄 プロジェクト」だ。

牧場には不可欠な“穀物”の輸送コストが大幅に削減

2021年1月、コロニア・オキナワで栽培、加工された大豆20トンが沖縄へ向け輸出された。

届けられたのは石垣牛などを生産する石垣市白保にある「ゆいまーる牧場」。
牧場では、肉牛の肥育に不可欠な大豆粕などの穀物の確保に課題を抱えていたという。

石垣島ゆいまーる牧場 金城利憲さん
「大豆粕っていうのは国内ではもう確保ができなくなりまして、人件費が高い日本では製油工場はほとんど海外に出ていったんですね。(ボリビアから)どこかを経由してくれないかということで石垣島に運んだ次第です。」

牧場では、これまで外国産の大豆粕を仕入れてきたが県外の港に何度も立ち寄るため手数料がかさんでいた。それに対しコロニア・オキナワから運ぶ場合隣国のチリ経由で直輸入することにより輸送費が抑えられ、コストが大幅に削減できたという。

石垣島ゆいまーる牧場 金城利憲さん
「向こうからいろんなものを運べる。将来、日本の国民の食料供給基地として位置づけになるんじゃないかなと」

「ウチナーンチュが作った作物を沖縄へ」

ボリビアへウチナーンチュが移住して67年目にして故郷へ作物が届けられた。

コロニアで生まれた県系2世でボリビア沖縄県人会の会長を務める比嘉徹さんは、自身も小麦の製粉を手掛ける会社を経営していて、今後さらなる経済交流に期待を寄せている。

ボリビア沖縄県人会 比嘉徹 会長
「(ゆいまーる牧場との)ビジネスを例として、今後多くのコンテナがいろんなですね作物を、ボリビアでウチナーンチュが作った作物を沖縄に届ければなと思っております」

比嘉徹さんはコロニア・オキナワで生産された小麦で沖縄そばを作れたらと夢を膨らませているそうだ。

コロニア・オキナワの礎を作った1世の存在

その現在のコロニア・オキナワの礎を築いたのは戦後、海を渡った移民1世の皆さんだ。

長嶺成次さん、入植直後、原因不明の熱病で15人の同胞の命が奪われるなど苦労を重ねられた1世の方の、30年あまり前に撮影されたインタビュー映像を先日、放送したところ、大きな反響をいただき世界のウチナーンチュ大会にあわせ来県した、こちらの男性のご兄弟から話を伺うことができた。

故・ボリビア移民1世 長嶺成次さん
「亡くなった方たちの為にも頑張らんといかんなと覚悟をしておりました」

異国の地で命を落とした同胞を想い、声を詰まらせた移民1世の長嶺成次さん。その弟の長嶺オスカル・爲泰さん78歳だ。

長嶺オスカル(爲泰)さん(78)
「懐かしいですよ。(兄は)ひと回り上なんですよね」

古い映像を目にして、飲み水すらなかった最初の入植地の記憶が蘇る。

長嶺オスカル(爲泰)さん(78)
「沼の水を汲んで飲んだとかね。井戸を掘っても15m掘っても塩水しか出ない。それも懐かしいですよ。そういう経験があったからそれこそありがたみ、感謝の気持ちが湧くんですよ」

入植当時、移住地に学校がなかったことから長嶺さんは13歳で町に出て、奉公をしながら現地の夜間学校に通いスペイン語を憶えた。その後も苦学して農業学校や商業学校を卒業。そして、25歳の時にブラジル銀行の銀行マンとなり仲間を支援してきた。

「ウチナーンチュの魂と団結力」

小麦の製粉会社を立ち上げた比嘉徹さんもサポートした。

長嶺オスカル(爲泰)さん(78)
「銀行融資とか、いろいろねできないかということで、米州開発銀行の手続きなんかもやったことがあるんで」

長嶺オスカル(爲泰)さん(78)
「彼と親しいのもそういう信頼関係があるもんだから」

ビジネス面でもウチナーンチュネットワークの重要性を感じ、過去にWUBの会長も務めた長嶺さんに展望を伺った。

長嶺オスカル(爲泰)さん(78)
「ウチナーンチュの魂という団結力ですよ。世界にあるウチナーンチュの大きな資源、組織、影響力をいかすことによって、沖縄が自立する助けになると期待している」

2022年、世界中にいるとされる県系人は42万人、その多様な人材が沖縄の宝。ビジネスの面でもこのネットワークが今後さらに花開いてほしいと願わずにはいられない。

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