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OTV報道部

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物価高騰に続き電気料金の値上げは沖縄県経済にも影響

沖縄電力は2022年11月28日に2023年4月から一般家庭向けの電気料金の4割の値上げを国に申請したことを発表した。食料品やガソリンなど物価の上昇が続く中、電気料金の値上げは家計だけでなく県経済に広く影響することが懸念される。

電気料金値上げ 県民の反応は

Q.電気料金が4割ほど2023年春から上がる

県民
「やっぱり夏は湿気の関係もあるので、すごく高くなっちゃうんですね、クーラーずっとつけているので」

県民
「今年寒くなったらヒーターつけたりするので、やっぱり電気代(が上がるのは)大変だなと感じています」

県民
「(学校の)エアコンとかについて、暑いなあと思っていた一人なので、そこが(値上げで)もっと節制されるかもしれないとなると、だいぶきついかなと思います」

県民
「私がどう思っても決まっちゃうんでしょ。4割上がったら大変よ」

石炭価格の高騰が最大の要因

沖縄電力が経済産業省に申請した内容では、平均的な一般家庭向けのプランの値上げ幅が39.3%となっていて月額料金が約9000円の家庭は3500円ほど増加することになる。

国内ではこれまでに東北電力など3社が政府に値上げの申請をしているが、その値上げ幅は3割前後で沖縄電力の申請はこれを大きく上回っている。

その理由は沖縄電力が電力供給のほとんどを火力発電で行っていることが背景にある。
ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で主な燃料となる石炭の調達価格は2008年と比べて約4.6倍に。

燃料価格の急激な上昇が経営を圧迫し、2022年の経常損失は485億円と直近9年分の経常利益に相当する金額に上る見込みだ。

沖縄電力 本永浩之 社長
「県民の皆様に対して多大なご負担をおかけするというのは本当に心苦しい限りであります」

沖縄電力 本永浩之 社長
「ただ今の状況というのは、エネルギーの安定供給にすら大きな影響を与えかねない大変危機的な状況だと認識しております」

電気料金値上げが県経済に及ぼす影響

今回の電力料金の値上げは県経済にどのような影響を及ぼすのだろうか。

りゅうぎん総合研究所の武田智夫さんは県の家計調査結果の概況をもとに2人以上の世帯の1か月の消費支出からどの程度負担が増えるのか分析した。

2021年の各月の平均値から見ると、4割値上げした後の電気料金は約4000円増えた1万4326円。
エアコンなどの稼働が増える夏場はさらに増えることになる。

りゅうぎん総合研究所 武田智夫 常務
「例えば2022年の8月でいいますと同じような計算をした場合ですね、ひと月あたり5673円ということで、6000円弱の負担増ということになります」

政府は物価高対策として2023年1月から、1キロワットアワーあたり料金を7円を補助することにしていて、標準的な家庭で月2800円値上げが軽減される。

これを加味すると実質的な負担額は各月の平均で1300円夏場では約3000円の値上げとなる計算だが、政府の負担軽減策は2023年9月までとなっている。

りゅうぎん総合研究所 武田智夫 常務
「特に生活の苦しい家庭困窮世帯のところにしっかりとした手厚い支援をしていただきたい」

食料品や燃料費など様々な物やサービスの価格が上昇する中、電気料金の値上げが与えるインパクトは計り知れない。

りゅうぎん総合研究所 武田智夫 常務
「やっとコロナから回復始めた外食産業、それから観光関連産業全体にですね、影響を及ぼして結局、県の経済そのものが鈍ってしまう成長が鈍ってしまうということが考えられる」

沖縄電力は人件費の引き下げなどの経営効率化を図り、年間136億の費用を圧縮する計画も発表しているが、化石燃料への依存を弱めるために環境への負荷も小さい再生可能エネルギーの事業を加速させるなど県民が納得できる取り組みが求められている。

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