コラム
妊活コラム最終回 ~私を支えてくれた本~
目次
「妊活」コラム最終回。
読者のみなさん、はむはー(定着)!
沖縄も12月に入り、着実に冬に向かっている今日この頃。今年はウィズコロナ3年目ということもあり、忘年会など人が集まる機会が増えている方も多くいらっしゃると思います。
私は先月からはじめた大掃除の総仕上げに入っておりまして、新しい年を迎える前に「空間のよどみ」的なものを一掃する所存です。
さて今回のテーマは「妊活中、私を励ましてくれた本」という内容です。6回目となるコラムですが、今回で「妊活(不妊治療)」をテーマにした内容は、最終回となります。
本コラム連載にあたり「35歳で不妊治療をスタートし、40歳で双子女子を妊娠・出産」した私自身の経験を、わりと赤裸々に綴ってきました。コラムを書く過程で不妊治療当時の辛かった気持ちを思い出して、胸が苦しくなったことも度々ありました。
そんなとき、編集担当Yさんに、その都度励ましてもらいながら連載を重ねてきました。Yさん、本当にありがとうございます(来年もついていきます!)。
妊活中、私を励ましてくれた本。
35歳から開始した不妊治療。
「子どもが出来ない」ことに対するプレッシャーから自己評価がどんどん低くなり、子どもを授かっていく友人たちとの付き合いが苦しくなり、昔馴染みの交友関係から距離を置きはじめていた頃のこと。私は自分の人生で辛いことがあるとき、いつも「本」にヒントを求めていたことを思い出していました。
ちょうどその頃。
仕事で出会った知人に、見晴らしのよい丘に建つブックカフェ「book cafe Bookish(西原町)」を紹介されました。店主・多田明日香さんは図書館司書という経歴をお持ちで、店では本にまつわる小規模なイベントを開催していました。私は治療と仕事に明け暮れるなか、”本好き”で多彩な経歴の人たちと出会える場所として、定期的に通うようになりました。
妊活モヤモヤ・真っ只なかの当時、店主の多田さんに「妊娠や出産に対して前向きになれる本」として、紹介してもらったのが『パリの女は産んでいる』中島さおり著(ポプラ社)です。
自分自身が不妊治療で辛い心情の最中、なぜ”出産にまつわる本”を積極的に求めたのか。
それは、当時ブームになった自己啓発本で「思考は現実化する」という内容が書かれており、”かなえたい将来=子どもを授かっている自分”を具体的に想像したい、という気持ちが常にあったからです。また単純明快に”出産大国の先進事例に触れてみたい”という気持ちもありました。
本には”アムール(愛)の国”と呼ばれるフランスの、先進的な出産事情が書かれていました。当時の感想を、私はInstagramで以下のように綴っています。
「Book Cafe Bookish」店主・多田明日香さんにお借りした『パリの女は産んでいる』再読了。
まだ産む予定はありませんが、いつかは産むかもしれないなーという気持ちと婚外子やシングルマザーが多くても、子どもが増え続けるこの国の実情を知りたくて手に取りました。
「日本には女の子とおばさんしか居ないが、パリの女性は何歳になってもオンナでいることを世間に求められる」ことや、出産に関する公的援助の充実(なんと!出産後に膣を引き締めるトレーニングがあり、それも公的資金でカバーされる←失禁防止・夫婦生活の充実・そのほかケア)、高齢出産が多く帝王切開をしても、出産後もビキニが着れるようあたり前のように目立たない切り方をしてくれたり、子ども抜きの夫婦のバカンスを世間が認めているので、バカンス専門⁈のベビーシッターの仕事がポピュラーにあること、出産後の社会復帰のしやすい環境などなど…これなら産みたくなるよなーというお国事情が満載。
そりゃ、事実婚が多くて離婚率も高いし、パリ在住で通訳をしている知人女性は「フランスの男性は手に負えない…フランス女性で苦労している人も知っているし…」と話していたけど、それでも「マダム」と日常からいわれ、何歳だろうが熱っぽい視線を浴びるフランス女性は、オンナとして幸せなんじゃないかと思うた訳です。(2012年)
いやもう、「映え画像」がメインといわれるSNSでどんだけ熱く語っているのか!?(Instagramは「文章が読まれない」ことで有名です。) それくらい日本と異なりすぎるフランスのお国事情に、当時の私は新鮮な驚きと衝撃を覚えたのでしょう。
今回コラムを執筆するにあたり、同作家の『なぜフランスでは子どもが増えるのか』(2010年初版:講談社)も拝読しました。”女性がのびのびと発言できる国/女性の立場が尊重される国”では、日本のように「出産や育児」がキャリア形成の妨げにならないと、フランスの歴史を踏まえながらていねいに語られていました。
四季が豊かでおいしい食べものにも恵まれた日本。フランスのように女性が生きやすい風土や制度が充実したなら、もっと魅力的な国になるのではないか?と考えずにはおれません。
「TABINEKO BOOKS」店主・堀家盛司さんによる選書。
さまざまな困難と苦しい妊活を経て、幸運にも五体満足に生まれてくれた双子もこの11月で六歳の誕生日を迎えました。私にとって11月は、四十路で母親になれた記念すべき月でもあります!
そして
双子と同じ誕生日にオープンした本屋「TABINEKO BOOKS(沖縄市)」があります。
こちらの本屋さんは、私が情報収取として楽しく拝聴しているFM沖縄「Fine!」の水・木曜の担当パーソナリティでもあり、また経営コンサルタントの顔を持つ堀家盛司さんが店主をつとめられています。
堀家さんには、私が担当したコミュニティラジオ番組にゲスト出演してもらったご縁で出会いました。そのラジオ内で、本屋を開店した理由のひとつを「『生きづらさを感じている人たちのヒントになるような本』が置かれている本屋を営みたかった」と語られていたことが印象的でした。
今回、お忙しい堀家さんに無理をいって、「悩める人におススメしたい本」の選書を依頼したところ、快諾してもらえたので、さっそくご紹介したいと思います。(堀家さん!ありがとうございます!)
TABINEKO BOOKS・堀家誠司さんによる選書
人さまの人生に何かを示唆するなど、おこがましいにもほどがあると考えているところがありますが、我が身を振り返ると、「なんだか最近どん詰まっているな…」と感じるとき、何かが変わるきっかけは、たいてい自分以外の誰かからもたらされてきたように思います。
それは、何気なく手にした(ときには探しに探して出会った)本の一節だったり、自分以外の誰かが何気なく放った一言だったり。もたらされたのは、他者の思考や視点、物語です。目や頭が疲れたとき、温かいタオルを目の上に乗せて血流を調節するのと同じように、誰かからもたらされた何かによって、滞っていた何かがほぐれ、目の前の世界が動き始めるような感覚が訪れたことがありました。というわけで、おこがましいながら本をご紹介することにします。
生きることには悩みはつきもの。ご紹介した本が、その悩みとの付き合い方に何かよきものをもたらしてくれることを願っています。(堀家さん)
「相談の森」燃え殻 著(ネコノス)
人それぞれに生き方があるので、人それぞれの悩みがある。たとえば、特定の誰かからの絶対的低評価に悩む相談者には、著者からの高評価も聞いてみてはと助言が送られる。家族に迷惑をかけているという悩みには、著者の実体験から、家族に代わり温かい言葉が贈られる。悩みながら答えたという数々の回答には、著者自身の悩みの人生が投影されている。私たちは、相談と回答を傍から見つめたり、ときには自分と重ねたり。読後感は温かい。
「マイ仏教」みうらじゅん 著(新潮社)
子どもの頃から仏教に魅せられたという、みうらじゅん氏の仏教との向き合い方。そこにはみうら氏が学び実践してきた仏教の教えや修行が真摯に説かれているのに、仏教の意外な魅力や面白さが加わると、なぜか笑いがこみ上げる瞬間も。この本には人生を、人のために生きながらも、自分の人生も楽しく、楽しそうに生きるための知恵と工夫が詰まっている。それがマイ仏教なのかもしれない。
最後に。:みなさんの人生に幸あれ。
このコラムが公開される頃、みなさんはどんな年の瀬を過ごしているのでしょうか?一年を振り返ってみると、社会的にも激動の年だったと思います。今年は、OKITIVEコラム「19ペディア」を通して、「妊活」をテーマにしたコラムをたくさんの方々に読んでいただけたことを、心から感謝申し上げます。
妊活コラムは今回で最終回ですが、来年はテーマを一新し、より一層「私らしい内容」のコラムをしていく予定です。
まだ四十路で人生の若輩者の私がいうのも何ですが、人生は思いどおりにいかないのが大前提です。それでも、どんな状況でも自分を信じて前進する人に「運」は味方するのではないか?と思うことがあるのです。そして、その「運」は私と出会ってくれた人たちの「善意」の集大成のような気もする今日この頃。
読者のみなさまにおかれましても、くる年がよりよい一年になることを願っています。
また来年!元気なあなたと再見!
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