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長嶺 真輝

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”琉球の小さな巨人”17歳の須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場!U18カテゴリからただ一人…

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
河村勇輝選手(右)とハイタッチする須藤春輝選手(中央)

プロバスケットボールBリーグのオールスターゲームが2023年1月13〜14日、茨城県水戸市のアダストリアみとアリーナで開催された。初日はスリーポイントコンテストなどの各種イベントや、リーグの若手選手とアジア枠の選手が戦うアジアライジングスターゲームなどが行われ、メーンのオールスターゲームは最終日に実施された。

2日間をとおしてスター選手たちが各イベントを大いに盛り上げたが、Bリーグトップチームのプレーヤーが参加する主要5イベントのなかで、ただ1人だけ「U18」(主に高校生のカテゴリ)のBリーグユースチームから参加した選手がいた。琉球ゴールデンキングスU18の主将を務める那覇市出身の須藤春輝選手(17)だ。

日本代表の2大エースガードである富樫勇樹選手(千葉ジェッツふなばし)と河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)、昨シーズンのBリーグMVPである藤井祐眞選手(川崎ブレイブサンダース)など国内トップの選手たちと肩を並べ、ドリブル、パス、シュートの精度を競う初日の「スキルズチャレンジ」に出場した。将来有望なウチナーンチュの活躍を現地からリポートする。

緊張も持ち味発揮!トップ選手から助言も

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
コート上に設置された壁穴にボールを放る須藤選手

地元チームの茨城ロボッツで主将を務める平尾充庸選手に続き、2番目に登場した須藤選手。会場が暗転するなか、眩いばかりのスポットライトを浴び、MCに「琉球の小さな巨人」と紹介されて特設ステージから登場した。そのときの心境は「めちゃくちゃ緊張してて、覚えてないっすね。あんまり(笑)」。観戦も含め、オールスターゲームに来ること自体も初めてで、この日の午後に会場入りしてから緊張のしっぱなしだったという。

スキルズチャレンジは事前に決められた「ドリブル→パス→フリースロー→ドリブル→パス→スリーポイント」の各関門をとおり、いかに速くゴールするかを競う。須藤選手を含め、Bリーグでも際立って技術に優れた7人のプレーヤーが参加した。

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
富樫勇樹選手(左端)や河村勇輝選手(右端)らとイベントを楽しむ須藤選手(左から3人目)

須藤選手は支柱の間をジグザグに進むドリブルエリアをスムーズに通過し、フリースローとパスも一発でクリア。「フリースローをいい感じに1本で決められたので、ちょっとほぐれました」と振り返る。ただ最後のスリーポイントはなかなか決まらず、4本目で成功させて記録は33.8秒で6番目の速さだった。ちなみに、優勝した河村選手はオールスタースキルズチャレンジの歴代最速タイムとなる20.9秒を叩き出し、須藤選手は「さすがの一言ですね」と脱帽した様子だった。

イベント前の控え室では、富樫選手から直接「フリースローとかスリーポイントも結構キーになるから」と助言をもらい、河村選手からも「かましちゃえ」「楽しんで」と気さくに声を掛けてもらったという。Bリーガーを夢見る自身にとっては憧れの存在である選手たちと交流し、「この雰囲気を味わえただけでもよかったと思います」と満面の笑みを浮かべた。

「ユース育成特別枠」のサプライズ発表

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
スキルズチャレンジ後、インタビューに答える須藤選手

那覇市の松島小学校2年のとき、友人に誘われてバスケをはじめた。ひとつ上の代は九州を制覇するほどの強豪チームだったが、小学校5年生の頃から主力として試合に出場していたという。松島中学校でも1年生の頃から試合に出ていたが、「将来はプロになりたい」という明確な目標が指針となり、元プロ選手がコーチを務めるなど、よりプロの環境に近い琉球ゴールデンキングスU15に加入した。

現在は那覇高校2年生で、琉球ゴールデンキングスU18の主将を務める。身長170cmのポイントガード。持ち味はドリブルやパスの高いスキルに加え、激しいディフェンスや仲間への声掛けでチームを引っ張る強烈なリーダーシップだ。昨年8月に行われた、BリーグU18チームの全国大会に当たるU18チャンピオンシップではチームを3位に導き、自身は大会ベスト5に選出された。

その功績やバスケに取り組む真摯な姿勢がオールスターゲームの主催者に評価され、今回のサプライズ選出につながった。

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
ドリブルで関門をクリアする須藤選手

スキルズチャレンジに参加した1月13日には、もうひとつのサプライズがあった。琉球ゴールデンキングスが、Bリーグが今シーズン創設した「ユース育成特別枠」(BリーグのU15、U18チームの選手をトップチームに登録できる制度)を活用し、須藤選手を選手登録することを発表したのだ。これにより、Bリーグ1部(B1)の公式戦に出場できる可能性が出てきた。

育成特別枠の選手としての意気込みを聞くと、「育成枠に入っても将来B1でプロ契約できるという保証されてることではないですし、体験入部のようなものです。それでも、いろんな学びがあると思うし、そういう経験をキングスU18に持ち帰ったときにチームに還元できるようにしたいです。B1で活躍することが将来の夢なので、ステップアップにつなげていけるようにいろいろなチャレンジをしていきたいです」と力強く語った。

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
U18オールスターゲームに出場した(左から)佐取龍之介選手と須藤選手

須藤選手は1月14日に行われた「U18オールスターゲーム」にも、琉球ゴールデンキングスU18のチームメートである佐取龍之介選手とともに出場。貴重な経験を積み重ね、自らの夢へと一直線にひた走る”琉球の小さな巨人”から今後も目が離せない。

コー・フリッピン選手がダンクコンテスト制覇!

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
鮮烈なダンクを決め、他選手から称賛を受けるフリッピン選手

初日のそのほかのイベントでは、ダンクコンテストに出場した琉球ゴールデンキングスのコー・フリッピン選手がオンラインでの実施だった2021年に続き、またも優勝を達成した。予選の1本目は自らボールを高くを放り、バウンドしたボールを空中でつかんでバックダンクする離れ技を披露。50点満点中48点の高得点を獲得して決勝に駒を進めた。

2人で競う決勝では琉球ゴールデンキングスのチームメートである今村佳太選手がボードの側面に当てたボールを空中で掴み、そのままゴールに豪快に叩き込んで会場を沸かせた。視聴者によるSNS投票の結果、78%を獲得して頂点に立った。優勝後のインタビューに応じたフリッピン選手は「優勝して沖縄を代表できることがうれしい。応援ありがとうございました」とうれしそうに語った。

”新旧キングス”対決で会場沸かす。来年は沖縄アリーナ開催

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
並里成選手(右)のディフェンスをドリブルで交わす今村佳太選手

14日にはメーンのオールスターゲームが開かれた。琉球ゴールデンキングスからはファン投票で選ばれた今村佳太選手とジャック・クーリー選手が桶谷大ヘッドコーチ(HC)率いるチーム「B.BLACK」で先発を務めた。

対するチーム「B.WHITE」にも沖縄出身の並里成選手(群馬クレインサンダーズ)や狩俣昌也選手(B2・長崎ヴェルカ)のほか、古川孝敏選手(秋田ノーザンハピネッツ)、橋本竜馬選手(レバンガ北海道)、ジョシュ・スコット選手(宇都宮ブレックス)と元キングスのプレーヤーが数多く出場。指揮官も元キングスHCの佐々宜央HC(宇都宮ブレックスHC)が担い、”新旧キングス”対決の様相となった。

須藤春輝選手がBリーグオールスターに出場
味方のスリーポイントを賞賛する並里成選手(中央)

試合では今村選手のパスを受けたクーリー選手が豪快にアリウープダンクを叩き込み、並里選手が激しいディフェンスを観客を魅了するなど、それぞれが持ち味を発揮した。

コロナ禍の影響で3年ぶりに開催されたBリーグオールスターゲーム。来年は沖縄アリーナで開催されるため、イベントの最後には今回の開催地をホームとする茨城ロボッツの平尾主将から今村選手にボールが渡される引き継ぎセレモニーが開かれた。今村選手は「来年は沖縄開催ということで、茨城さんのように、そしてもっと楽しんでいただけるような会場づくり、プレーができればと思います。沖縄アリーナで待っていますので、よろしくお願いします」と来県を呼び掛けた。

(記事・写真 長嶺 真輝 )

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