暮らし
SNSマーケティングの最前線
──経済のスペシャリストであるブルームーンパートナーズのーズの仲座健二さんとともにお伝えします。
仲座さん
「今回のテーマは『SNSマーケティングの最前線』です。」
今や多くの企業が投稿するのに費用がかからないSNSを活用して自社の商品をPRしています。
今回はそのなかでも斬新なアイディアでSNSのフォロー数を増やし収益アップにつなげている映像クリエイターに話をうかがいました。
人気のSNS「TikTok」で今話題沸騰中のアカウント「ど素人ホテル再建計画」。
その名の通り、経営経験のない男性が倒産寸前のホテルの黒字化を目指すという前代未聞のプロジェクト!気になるその再建方法とは?
ど素人さん
「とにかくSNSでバズらせて(話題となって)認知を広げるということです」
さまざまな戦略でホテルをPRし集客をはかる、注目のSNSを活用したマーケティングをご紹介します。
赤字だったホテルを大黒字へ
やってきたのは恩納村前兼久にあるホテル「バズリゾート」。
この方がホテルの再建を託された、ど素人さんです。
仲座さん
「こちらのTシャツはなんでしょう」
ど素人さん
「4610、僕はホテル再建の素人なので4610と数字で書いています」
もともと海外を旅しながら旅行代理店向けの記事や動画を作成したり、SNSのコンサルティング業を手掛けていたど素人さん。
なぜ突然沖縄のリゾートホテルの再建を引き受けたのでしょうか。
ど素人さん
「マイナスって少しでもいじったらめちゃくちゃプラスになるポテンシャルが眠っていると思っていて、そういうのがすごく好きなんですよ」
ど素人さんが来る前はホテルの稼働率は15%で、客室の料金もピーク時の3分の1まで低下。従業員も2人まで減ってしまい、ホテルの管理が難しくなるという悪循環が続いていました。
そんな状況でも宿泊者の感想やホテルの評価が高いことに「再建への光」が見えたといいます。
ど素人さん
「ホテルの予約ってまず認知をしてそのホテルの存在を知って、レビューが良かったら泊ると思うんですよ。どの予約サイトをみてもレビューは良かった。ということは認知だけが足りていない。認知に関しては、PRは僕の得意分野なので」
ホテルを広く知ってもらうために2022年2月にはじめたTikTokは「ど素人が大赤字ホテルを再建する」というこれまでにない企画が話題を呼び1週間でフォロワー数が2万人を超えました。(現在は約6万人)
すると瞬く間に全国にホテルの名が知れ渡り、予約も急増!
ど素人さん
「稼働率は3~4倍ぐらいにあがったのかな、売上でいうと前年比796%を出した月があったりとか、すごい売上あがったりとか」
ホテルの経営方針などをSNSの公募で決める!
これほどTikTokのアカウントが注目された理由のはプロジェクトのユニークさだけではありません。
ど素人さん
「YouTubeで視聴者全員参加型経営会議というのをやっていて、僕は重要なものを決める時にそこに参加してくれたみなさんと一緒にライブ形式で今後こういう道をいくか、こういう道を行くかどっちがいいかという話をしています」
ど素人さんはホテルの名前をはじめ、各部屋のコンセプトなど重要な経営方針を全てSNSで公募しフォロワーの多数決によって決めるというシステムをとっています。
ど素人さん
「(SNSを見ている)人たちがホテル経営に少しでも関われるとめちゃくちゃ面白いコンテンツになると思っています。」
さまざまな企業からの協賛で費用をかけずにホテル改装へ
さらにフォロワーからのコメントが増えることでSNSのAIが「これは人気の投稿だ」と判断し、より多くの人に動画を拡散させるという仕組みも活用しています。
しかし、いくらSNSで人気なったとはいえ大赤字のホテルに客室を改装できる費用はあるんでしょうか…
ど素人さん
「企業から無料でいいので作らせてくださいという依頼がすごく来るので」
ど素人さんの発信力に魅力を感じた県内外の企業から「協賛」として改装に必要な資材やスタッフが無償で送られるのでホテルとしては費用をかけずに改装することができました。
ど素人さん
「その代わりに僕はSNSの使いかたを教えてあげたりとか、(企業の)売上に繋がるような施策を考えたりとか、そういったことでウィンウィンみたいな感じでお互いやらせてもらっています」
また、企業に出資してもらい、学生が無料で泊まれるという特別な客室を作りました。
名古屋から写真を撮りに来た大学生
「インスタグラムがたまたま流れて来て、『あ、ここ無料じゃん』と思って決めました。ありがたい以外の言葉が出ないですね」
ど素人さん
「月に1万円払うスポンサーを20社集めて年間契約で12万払って頂いて1年間は黒字を確定させるんですね。」
ど素人さん
「スポンサーは何のメリットがあるかというと学生ならではの、学生でしか解決できない企業のお困りごとを解決してもらったりとか、改善提案をして頂いています」
ど素人さんはSNSを駆使してホテルの再建を目指すだけでなく、コロナで落ち込んだ沖縄観光も一緒に盛り上げていきたいと語ります。
ど素人さん
「うちのホテルは16部屋しかないので、そこにだけ(SNSの)影響力を使うのではなくてホテル以外にも沖縄全体が盛り上がるようなことをどんどんしていきたいです」
SNSマーケティング行政も注目!
仲座さん
「こうしたど素人さんのSNSマーケティングの手法を行政も注目しています!!こちらをご覧ください。」
SNSを通して市民の声を聞き、積極的に市政に反映させようと2022年10月からTikTokをはじめた浦添市。
その企画構成や撮影をど素人さんが務めています。
ど素人さん
「政治というのは堅いイメージで、SNSは若者の最先端この真逆のものをくっつけることによって、いったいどんな人なんだと気になると思うんですよね」
開設4カ月でフォロワー数は1万2000人を超え、多くの若者にも認知されています。
浦添市の新成人
「若い人の話をたくさん聞いてもっと浦添市を盛り上げてほしいなと思います」
浦添市 松本哲治市長
「若い人たちにどういうふうにして政治だったり行政だったりを届けるかというのを大きな課題でもあったので、特にTikTokを使っている若い層のみなさんに声を届けるという意味では、より有効かなと思っています」
今回浦添市の成人式で撮影したTikTokは100万再生に迫る勢いで多くの人に「浦添市」をアピールすることに成功しています。
今日の一言
──さて、仲座さん今回のテーマから見えてきたことはなんでしょうか。
仲座さん
「視聴者も巻き揉む!参加型SNSマーケティング」です。
SNSの見ている側の声が反映されるため、思わずその動向を追って、応援したくなるコンテンツになっているほか、その視聴者が宿泊者やスポンサーにもつながっていくと考えられた仕組みになっています。沖縄を盛り上げる新たなモデルになると感じました。
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