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平良 いずみ

平良 いずみ

お酒がなければ・・・

平良いずみアナウンサー(OTV 沖縄テレビ)よんな~よんな~通信

ずばり、お酒がなければ、この仕事を続けてこられなかったと思う。

プハーっと美味しいお酒が飲めると思えば力が湧くし、何よりお酒で自分の数多の失敗を忘れることができるから。
気付けば、アナウンサーという仕事を初めて20年あまり。
これまでの失敗は数知れず。
どんなに準備をしても言葉は生き物。
状況に合わせて瞬時に的確な言葉を紡ぐのがアナウンサーの仕事だが……
私は言葉がポンポン出て来ない。しまいには言葉ひとつひとつの前で立ち止まり考えて込んでしまう。つまるところ、アナウンサーには向いていないのだ。

失敗談をあげればきりがないが、新人の頃、生中継で、プロジェクトを成し遂げる家族を見守っていたお祖母様が涙した際、「熱いものが込み上げ目頭を押さえていらっしゃいます」と言うべき所を「目尻を熱くしていらっしゃいます」と言ってしまい、感動のシーンを台無しにしてしまった事がある。
最近でもニュースの特集後のコメントを言った後、自分が発したグダグダなコメントに穴を掘って地下道をつくり、このまま姿を消せたらと何度思ったかわからない。

と書いていたら、ただの酒飲みのたわごとになりそうなので軌道修正。
なぜ、アナウンサーに向いていない私がこんなにも長い間、仕事を続けてこられたか。
それは、取材で想定をはみ出す場面や言葉に出会えるから。

7年前、障害を理由にした差別をなくすための条例づくりに向けた動きを6年間にわたって追っていた。
主人公は、障害のある人々の自立を助け支援する沖縄県自立生活センター・イルカ代表の長位鈴子さん。

番組「障害者魂!」より 2013年放送
番組「障害者魂!」より 2013年放送

無関心な社会に一石を投じるため、鈴子さんは持ち前のユーモアで仲間を勇気づけながら力の限りを尽くしていた。

様々な壁を乗り越え、迎えた条例成立の日の朝-。
県議会の傍聴席に現れた鈴子さん顔には……

まぶたの上に大きな大きな目が書かれているではありませんか。
当時話題になった”レディガガメイク”との事。

長位鈴子さんのレディガガメイク
長位鈴子さんのレディガガメイク

「いやいや、想定を超えすぎー」と心の中で呟いて、理由を尋ねた私に鈴子さんはこう言ったー
「施設や病院にいて、条例成立の瞬間に立ち会えない仲間の分まで、しっかりとこの目で見届けたい」と。

とめどなく涙が溢れた。

「県共生社会条例 成立の日」2014年4月
「県共生社会条例 成立の日」2014年4月

自分の想像をはるかに超える場面、言葉に出会える。
だから取材、そして、ドキュメンタリーづくりはやめられない。

そんな感動に胸を震わせた日は、美酒に酔いしれる。
制作過程で失敗を繰り返し、自信を失い、あがき、苦しんだことなどケロリと忘れて、またお酒を片手に企画書を書いてしまうのでした。

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