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くらしと経済編集部

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地方活性化の新たな担い手「関係人口」

小林
こんにちは。小林美沙希です。
人口の減少や高齢化など様々な問題を抱える地方。そんな地方を活性化する新たな担い手が注目されているようです。
野村証券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。

宮里
よろしくおねがいします。

地方活性化の新たな担い手「関係人口」

小林
タイトルにもある「関係人口」、 聞き慣れない言葉ですがどんな人口を指すのでしょうか。

宮里
一言で言えば「地域に関わってくれる人口」です。 地域との関わり方には、そこに定住している人や、観光で訪れる人のほかに、家族や親戚がその地域の出身である、過去にその土地に住んでいたことや勤務していたことがあるなど様々な形があります。このように、定住者でも観光客でもない立場で地域と関わりを持つ人々が、関係人口です。国土交通省は関係人口の中でも、定期的継続的に関わりのある地域があり訪問している人を「関係人口 訪問型」と定義しています。このような訪問型の関係人口は、3大都市圏に住む18歳以上の人口の2割強を占めています。

小林
なるほど。関係人口は今どういった点で注目を集めているのですか。

地方活性化の新たな担い手「関係人口」

宮里
はい。地方圏は今、地域づくりの担い手不足という課題に直面しています。しかし、地域によっては若者などを中心に、変化を生み出す人材が入り始めており、そうした地域外の関係人口が今後、地域づくりの担い手になっていくのではないかと期待されています。国でも、地方活性化の切り札として関係人口の果たす役割に注目しています。

小林
実際何か政策が動き始めているのでしょうか?

地方活性化の新たな担い手「関係人口」

宮里
総務省が、地域と継続的なつながりを持つ機会やきっかけを提供する地方自治体等の取り組みを「モデル事業」に採択して支援しています。例えば、新潟県村上市では まちづくり協議会や住民を中心に、村上市に縁のある人に向けた地域情報の発信、通年型の農業体験や農村の取材などを通じて外部の視点を取り入れる取り組みを進めました。 その結果、市外から26人が参加し、そのうちの35%の方が集落のイベントに参加するなど継続的な関係を深めることにつながっています。

小林
地元の住民とともに農作業などを行うことで、つながりを深めたわけですね。他にも取り組みはあるのでしょうか。

地方活性化の新たな担い手「関係人口」

宮里
はい、奈良県下北山村では裾野を拡大するための取り組みを行っています。この村では、人口減少と少子高齢化により中心産業である林業が低迷しています。 そこで、地域づくりに興味のある大学生をターゲットに定め、村の木材と空き家を活用した学生の拠点づくりというプロジェクトを立ち上げました。地域の自然や、製材作業を体験するツアーを通じて 住民との交流を図ったこのプロジェクトには、関東や関西の大学から38人もの参加があったそうです。

小林
これから村に関わっていく若い世代を育てることになりますから、まさに裾野を拡大する取り組みと言えますね。

宮里
そうですね。このように、 全国各地で地域に関わる関係人口増やそうと様々な取り組みが進んでいます。 またコロナ禍で広がった、普段の職場と違う場所で働きながら休暇を取る「ワーケーション」を関係人口の拡大につなげる動きもあります。

小林
関係人口の力を生かして、地方活性化が進んでいくことに期待したいですね。
宮里さん、ありがとうございました。

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