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OTV報道部

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人気バンド・HYが名曲『帰る場所』に込めた思い ブレイクの裏にあった葛藤、故郷を離れ頑張る人へ

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沖縄県うるま市出身の人気バンド「HY」が、故郷に対する思いを込めて作った一曲「帰る場所」。その印象を街で聞いてみると…。

那覇市 10代:
CM?

那覇市 40代:
勝連とかあの辺の海のイメージ

那覇市 40代:
歌声がスーッと身体に入る。聞きながら、うるって来るような

那覇市 40代:
良い意味で沖縄のおばちゃんを泉さんが表しているような。訛りも偽ることもなく、いいなと

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「夢を追って頑張って」と励ます歌

「帰る場所」(2014年、作詞作曲:仲宗根泉)は、2020年にオリオンビールがコロナ禍の応援ソングに起用。県内アーティストが歌い継いだ、うちなーの心や歌を忘れるなというメッセージが綴られている。

もともとは、ボーカルの仲宗根泉さんが夢を追って上京した仲間のために作った歌だった。

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HY 仲宗根泉さん:
上京した友達が夢にくじけそうになったときに「沖縄いいな、沖縄帰りたい」としょっちゅう言っていたので、沖縄は逃げずにいつでもここにあるから、あなたはあなたの夢を追って、もうちょっと頑張ってきなさいっていう励ましの歌

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歌を送った仲間の1人が、「平川のおじさん」で一躍脚光を浴びた歌手の平川美香さん。泉さんとはいとこ同士で、上京した当初からよく相談に乗ってもらっていたという。

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平川美香さん:
よし、歌手になって頑張るぞ!って半ば強引に行ったもんだから、簡単に弱音も吐けないし。助けてとも言えない状況だったから、歌を聞いたとき嬉しかったし、曲の最初はエイサーじゃないですか。もう涙がふわあって出てきて…

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「帰る場所」がリリースされたのは2014年。その前年、平川さんとは入れ違うように、HYは東京の大手音楽事務所を離れ、沖縄に自らの事務所を設立。まさに故郷に「帰ってきた」タイミングで生まれた歌だった。

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曲が心の支えになれたら…沖縄を離れて気づいたこと

HY 名嘉俊さん:
転機というか再出発というか、そこら辺もあるのかな、少しは

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HY 仲宗根泉さん:
それはもう潜在意識のレベルですね。いよいよ沖縄から第二の人生を自分たちで切り開いていくぞって意気込んでた気持ちと、自分自身、この島に対する思いというのがどんどんすごく強くなってきていたので、多分そのタイミングですべてが重なって

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2000年代に沖縄インディーズの代表格として一気に全国区に上りつめたHYは、ヒット曲を連発。華やかなステージの裏で多忙を極めていた。

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HY 名嘉俊さん:
全都道府県を3カ月ツアーして、それが終わってやっとゆっくりできるかなと思ったら、もうすぐ次のレコーディングをするから。「曲はあるんだろうな?」みたいな感じになって、「いやいや…」みたいな

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HY 仲宗根泉さん:
どんどんみんなが人格崩壊みたいな感じになって、たぶんそれが一番、自分たちが沖縄にいなきゃいけないってわかった理由だと思う

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沖縄を離れて気付かされた心の拠り所、故郷への思い。当時の自分たちと同じ境遇にいる人たちの心の支えになれたらと、その思いを歌に込めた。

平川美香さん:
自分たちが辛い状況だよっていうのは、あんまり話されたことがなくて。アーティストとしてもがいていた中で美香頑張れ!ってエールを送ってくれたんだと思うと、感慨深いものがありますね

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故郷を愛する思いは万国共通 沖縄から世界へ

「帰る場所」が収録されているアルバム「GLOCAL(グローカル)」。ローカルとグローバルを繋ぎ合わせて作った言葉で、HYの再出発を機に掲げたテーマでもある。

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HY 名嘉俊さん:
より地域に密着して、地域で得たパワーを国際的に世界に発信していく。また、世界で得たものを地域に全部繋げていくっていう「More Local、More Global」は、自分たちで掲げたテーマ

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HY 新里英之さん:
世界に向けてって言うと、すごく大きなことのように感じてしまう。でも世界に飛び出していってるものって、そこに根付いているものを輝かせるためにやっているもの。特にエイサーとか。世界に広げるぞじゃなくて、エイサーを守り続けているから、だからこそ世界にいっているんじゃないかな

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その言葉通りHYは現在、世界中に沖縄の音を届けている。故郷を愛する思いは万国共通。沖縄を離れる仲間に贈った「帰る場所」は、今や海の向こうでも歌われるようになった。

泉さんは、伝統や文化への関心が薄れつつある今だからこそ、ウチナーンチュにこの歌を聞いてほしいと語る。

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HY 仲宗根泉さん:
今ここにいるとそれが当たり前と思いますけど、それが無くなったら、人って大切にしとけばよかったって思うじゃないですか。今の沖縄もそうだと思うんですね

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HY 仲宗根泉さん:
何十年前と比べると人も物も増えて、自然だけが壊されていくみたいな、そういうところにも私たちは目を背けず一緒に、本当に沖縄が好きってどういうことかな、ということを考えながら歌っていきたいかな

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