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OTV報道部

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平和の尊さをファッションの切り口から発信。慰霊の日に県内初のファッションショーに向けたオーディション

戦争の記憶を継承し、平和を願う尊さをどのように若い人に伝えることができるのかをこれまでにないファッションという切り口から発信しようとする試みが始まっている。

未来ある子ども達のためにデザイナーの思いに迫る。

一人の日本人、ファッションデザイナーとしてできることは何か

2023年4月23日に沖縄市で開催されたオーディション。

参加したのは3歳から15歳までの子どもたちだ。

オーディション参加者①
「ピンクと紫がキラキラしているお洋服を着たいです」

(Q.かずはちゃんの好きなことは何ですか?)

オーディション参加者②
「お歌とダンスです」

子どもらしい受け答えがあるいっぽうで、9歳になるこちらの子は…

オーディション参加者③
「私にとって平和とは、家族や友達みんなが楽しく仲良く過ごせることです」

これは、2023年の慰霊の日に県内で初めて開催するファッションショーに出演するモデルと司会者を選ぶためのオーディションだ。

企画したのは、デザイナーの鶴田能史さん。

tenbo代表デザイナー 鶴田能史さん
「私は一人の日本人として、ファッションデザイナーとして、ただただ服を発信するだけじゃなくて、そこには平和へのメッセージをどうしても届けたいです」

社会的なメッセージも、ファッションに届けることができるのでは

会場の一角に展示されたドレスは、鶴田さんが手掛けたものだ。

「千羽鶴」をデザインに取り入れているのが特徴で、沖縄や広島、長崎の平和祈念資料館に寄せられて展示を終えたものをゆずり受けて活用している。

鶴田さんは、戦後70年の節目の2015年に初めてファッションに平和のメッセージを取り入れた。

tenbo代表デザイナー 鶴田能史さん
「かっこいい服や綺麗な服だけをやるのでは、私のなかではどうしても心が空っぽになっていた。社会的なメッセージと言われているもの、人がなかなか踏み込むことができないことですらもファッションに届けることができるのではないかと思いました」

8年前の平和をテーマにしたファッションショーの反響は大きく、その後も広島と長崎に原爆が投下された日に平和を願うショーを開催するに至った。

慰霊の日での開催にむけて鶴田さんは「命と向き合う一日にしたい」と意気込んでいる。

tenbo代表デザイナー 鶴田能史さん
「私はファッションで平和の尊さを伝えるだけではなくて、沖縄戦のこともファッションショーを通して知るきっかけになってもらいたいというのがあります」

出演するモデルは障害のあるなしにかかわらず、多様性を重視していることも大きな特徴だ。

また、子ども達が抱く平和への思いに焦点をあてていて、なかには自身が考える平和について取り組んだ活動を積極的にアピールする人もいた。

オーディション参加者④
「こういうコスモスピースという絵を描いています。ひとつひとつハートのマークでできていて、これは一人ひとりの個性をハートで表現しました」

審査員
「調和がとれているという状況をコスモス・宇宙というワードを選ぶセンスがいいなと思いました」

オーディションに出会う人達からデザインを生み出していく

145人の応募があったなか、書類選考を通過した49人がオーディションに臨み、高学年の子どもたちは戦争について学んでいたり、祖父や曾祖父の戦争体験を聞いていたりした。

オーディション参加者⑤
「私の祖父が子どものとき、みんなで防空壕にいるなか、米兵から『出てきなさい、保護するから大丈夫だよ』と言われて、おじいちゃんが出て行こうとしたときに、残酷なんですけど首を切られて…。本当にかわいそうで。そういう話を聞きました」

鶴田さんは平和を構築するためには、次の時代を担う子ども達へバトンを繋いでいくことが重要だと考えていて、ファッションデザイナーとして自分らしい発信の仕方で慰霊の日を迎えたいとしている。

tenbo代表デザイナー 鶴田能史さん
「2023年4月23日のオーディションで出会う人達から、デザインを生み出していきます。私自身もワクワクしています。子ども達から生み出されるデザイン。そこから作り上げられる平和のファッションショー。ぜひ、いろんな人に楽しみにしていただけたらと思います」

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