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OTV報道部

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急に目の前に横断歩道が現れる感覚、県内にある危ない交差点。子ども達を交通事故から守る安全対策は。

浦添市にある小学校の通学路で、危ない交差点があると沖縄テレビに連絡があった。
一見するとわからない通学路の「見えない危険」の取材から、子どもたちを守る対策について考える。

一見すると問題ないように思えたが、目に見えづらい危険が...

2023年3月、沖縄テレビに寄せられた1通のメール。

メールの内容
「宮城小学校校区内で危険な丁字路があり、歩行者・運転者ともに毎日、危険にさらされております。もちろん、私たち校区内だけではなく他にもたくさんあるとは思いますが、まずはお話を聞いてもらえないでしょうか?」

メールを受け、浦添市の宮城小学校からおよそ100メートル離れたところにある丁字路の交差点に向かった。

横断歩道を渡った先には宮城小学校につながる遊歩道があり、毎朝100人近い児童が通る。

一見、何の問題もないように思えるこの交差点。 しかし、目に見えづらい危険が潜んでいた。

急に横断歩道が現れる感覚の要因は

この交差点がある道は、パイプライン(県道251号線)への抜け道となっていて、毎朝通勤を急ぐ車が多く通過していく。

交差点の横断歩道には信号機は設置されておらず、ほとんどの車が横断歩道を顧みず走っていく。

パイプラインへ抜けるとき、東の方角に向かっていくため朝日がまぶしく、太陽光が横断歩道に反射して50メートル手前まで来ても横断歩道がはっきり見えない。

急に目の前に横断歩道が現れる感覚に陥る。

状況の改善を求めて市や警察に相談

この場所を危険だと感じメールを寄せてくださったのは、宮城小学校PTAの津波古ヨシノさんだ。

週に2回、午前7時半ごろから8時過ぎまでの登校の時間帯にこの交差点で立哨活動を行っている。

津波古ヨシノさん
「なるべく車に急ブレーキをさせないように早めに止めるが、運転手側からすると『なんで止めるの?』と言われたこともありますし、『急に止めたら危ないだろ』と言われたこともあります」

津波古さんの他に2人が当番制で安全を見守りますが、ヒヤッとすることも多いという。

(Q.危険を感じることは? )

比嘉陽子さん
「子どもたちは、けっこう右左見ずに急に車道に飛び出してくるので、そこが危ないところです。車やバイクは朝急いでいるので、スピードを出すところが危ないです」

伊差川智恵さん
「道路の真んなかで立っていて、後ろから威圧、車が近寄ってくるような怖いというのはありました」

津波古さんはこの状況をどうにか改善しようと、市や警察に相談してきた。

津波古ヨシノさん
「春休みに警察官の方とお話ししたときは、信号機を付けるのは無理とはっきり言われたので、ハンプを付けたり、まずは警察官に立ってもらったりということを相談しました」

また、すぐ近くに2つ横断歩道があるのもこの交差点の特徴。

立哨当番が1人で同時に2つの横断歩道を見なければならず、目が行き届かないこともしばしばあるという。

一人ひとりが交通安全の意識を高めてもらいたい

津波古ヨシノさん
「私たちがいま学校側や地域とお話ししているのは、あそこの横断歩道を無くせないかということです。あそこをつぶすことによって、1つの横断歩道で安全に子どもを渡らせることができます。子どもが在校しているうちに、私ができることを変えていけたらと思っています」

さまざまな改善策を模索・提案しながら3人は、一人ひとりが交通安全の意識を高めてもらいたいと願っている。

伊差川智恵さん
「朝はみんな忙しいのでそこは分かるんですけど、学校の近くということで意識をちょっと変えて、子どもが通るであろうということでスピードを落としてほしいなと思います」

比嘉陽子さん
「子どもたちがいつも、いかに危険と隣り合わせか立ってみて分かることがたくさんあるので、できるときに1年に1回でも2回でも交代して、みんなで地域を見守っていけたらいいかなと思います」

信号機の代わりとなる交通安全対策

信号機が設置できれば子どもたちをより安全に渡らせることができるが、警察によると特に緊急性があり優先度の高い場所から設置が検討されるということだ。

警察には毎年、県内各地から信号機設置の要望が寄せられているということだが、予算の都合などもあり、要望が通る事例はわずかだ。

こうしたなか、県内では信号機の代わりとなる交通安全対策を施している通学路がある。

港川小のハンプ

浦添市の港川小学校の校門近くにある横断歩道。

少し盛り上がったつくりになっているため、スピードが出ていると通過しづらく、多くの車が横断歩道の手前でおのずとブレーキをかけている様子が見られる。

また、付近には「ハンプ」と呼ばれる凸部が設置されていて、乗り上げることで車の減速に繋がる。

中城南小の路面標示

中城村の中城南小学校の前の道路には、目の錯覚を利用した立体的なブロックに見える路面標示がある。

これは「イメージハンプ」と呼ばれるもので、運転手から見ると路面に凹凸があるように見え、速度を落とす効果があるとされている。

子どもたちの安全な通学のために、今できる方法で通学路が抱える課題を改善していくことが求められている。

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