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金城 わか菜

金城 わか菜

インタビューのチカラ【金城わか菜のカフを下げて】

金城わか菜アナウンサー(OTV 沖縄テレビ)のカフを下げて―

目次

インタビューの基本は「オープンクエスチョン」

オープンクエスチョンという言葉をご存じでしょうか?
相手へ問いを投げかける際、「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、「何を?」「なぜ?」「どのように?」と問いかけることです。

医療現場やビジネスシーンで、患者や商談相手の言葉を引き出す手法として「オープンクエスチョン」は浸透しています。
相手に自由に応えてもらうことで、一度に多くの情報を得られたり、その人の考えや気持ちを深掘りできることがメリットで、想定していなかった新しい事を知り得る場合もあります。
(逆に「yes/no」の二択で回答できる質問はクローズドクエスチョンと呼ばれるそうです。)

インタビューのチカラ|金城わか菜のカフを下げて
沖縄市のギリシャチーズ専門店(2022年)

私たちアナウンサーや記者といった取材者も、常にオープンクエスチョンをすることを心掛けています。
「どんな背景があって、こうなったのですか?」
「今後どういった展望があると思いますか?」
「逆に懸念されることは何でしょうか?」
各分野の専門家にインタビューをする場合はこういった感じです。

「街録」と呼ばれる街行く人の声を聞く場合は、かなりハードルがあがりますが、大人が相手だと割とスムースに会話は進みます。
編集で質問部分をカットしてしまっても成り立つことがほとんどで、VTRがコンパクトに収まるという利点もあります。

インタビューのチカラ|金城わか菜のカフを下げて
最近はZOOMでのインタビューも増えました(2023年2月)

一筋縄では行かないインタビュー相手、ずばり子ども!

が!!
しかしこのオープンクエスチョン、子どもを相手にするとなんと難しいことか!
例えば祭り会場の親子連れにマイクを向けた場合…
「きょうお祭りに来てどう?」
「たのしかった~」
「なにが楽しかった?」
「…」
「どんなことが一番楽しかったかな?」
「…」
ここでゲームオーバー…。
モジモジしはじめた子に手を変え品を変え話しかけたとしても、てんでダメ。
しまいには「うえ~ん」と泣かれてしまう。

たしかに、幼い子は今どんな気分なのか、どうしてそんな気分なのかなんて、逐一考えて言語化して過ごしているわけではありません。
知らない人から急に質問攻めにされて泣いてしまうのも当然です。

あぁ楽しい気分を台無しにしてしまってごめんね…。
その子への申し訳なさと、撮れ高ゼロという焦りで、私も泣きたくなる。
きっと同じような経験をしたことがある取材者は多いのではないでしょうか?

キャリアを重ね、取材中に心が折れてしまうことはなくなりましたが、これといって「私流インタビューのコツ~子ども編~」はいまだに確立しておりません。
「撮れたらありがたや~」
そう祈りながらマイクを握りしめて、親子連れを追いかけています。

インタビューのチカラ|金城わか菜のカフを下げて
助産院で「命の授業」についてインタビュー(2022年)

「子どもの居場所」で耳を傾ける

「今どう思っている?って聞いてもらう機会って少ないんですよね。大人でも全然ない。」
去年の暮れ、沖縄市にある「みんなのももやまこども食堂」を取材した時のことです。
スタッフの菅原耕太さんが、いつもの穏やかな口調で言いました。
「若い彼にとっても、自分の歴史を振り返るいいチャンスになると思うんです。」

インタビューのチカラ|金城わか菜のカフを下げて
ももやま子ども食堂 8年目の取り組み(2023年1月)

2015年にオープンしたももやまこども食堂。
家庭で十分に食べられない子や、一人で食事を摂る子をあたたかな食事で支えるために開設された
沖縄初のこども食堂で、私も開所準備の時から取材をする機会をいただいています。
オープンから8年目を迎え、地域の子どもや若者が気軽に集える居場所の現在地を伝えたいと、
小学生の頃からももやまに通う一人の青年に話を聞きました。

インタビューのチカラ|金城わか菜のカフを下げて

中学校1年生で白血病となり、入院生活を繰り返してきた彼。
家族の支えはもちろん、ももやまのメンバーの存在が彼の活力となっていました。
普段から物静かだという彼は、一つひとつ言葉を選びながら、時間をかけて話してくれました。
真剣に向き合うことが大切ですが、逆にプレッシャーを与えすぎるのも良いインタビュアーではありません。
初めて会った時はしばらく沈黙が続く時もありましたが、取材を重ねるたびに、表情が緩んでくる彼が印象的でした。

インタビューのチカラ|金城わか菜のカフを下げて

先日、スタッフの菅原さんに街でばったり会った時のこと。
「特集の放送後から、彼が成長したのを感じます。がらりと大きく変わったというわけではないけど、何かしら自信につながったんじゃないかな。今もいろんなことにチャレンジしようとしていますよ。」と話してくださいました。

うれしい瞬間でした。
決して驕ってはなりませんが、メディアにこんな力もあったのかと気づかされ、少し認められた気がして、天にも昇る心地でした。

放送はこちらからもご覧いただけます。
https://youtu.be/QVMXXXiEJfA

自分自身へ問いかけながら

メディアの仕事は、誰かの生活に何かしらの影響を与えます。
報道の仕方によっては、取材した人や視聴者を深く傷つけてしまう危険性も秘めています。
それを十分理解しながら、「私は何のために伝えているのか?」
というオープンクエスチョンを、常に自分自身に向けることを忘れずいたいです。

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若者の居場所kukuluのメンバーが県知事選へ託す思い(2022年)
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浦添市 子育て支援拠点問題 事業者に聞く(2023年)

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