草生えた話、草刈った話【リップサービス金城晋也の「こちら舞台袖」】

草生える（くさはえる）

この言葉は、インターネット上のコミュニティやSNSなどで見られる「笑える、面白い」という意味のネットスラングです。笑ったことを表現する「w」が複数ならぶと「www」とまるで草が生えているように見えることから、この表現が誕生したといわれています。

「リップサービスのネタ、面白すぎてマジ草生える」←使い方としてはこんな感じです。よかったらいますぐTwitterに書き込んでみてください。…書きましたか？

そう、我々お笑い芸人は「草を生えさせる」お仕事なんですね。どうすればみなさんに草を生やしてもらえるのか、日々考え続けています。そんな僕が、今回は「草を刈った」お話。リップサービス金城晋也の「こちら舞台袖」はじまりはじまり。

草刈る（くさかる）

台風一過のある晴れた日曜日、息子の通う学校で行われたPTA作業へ行ってきました。息子は今年の春に入学しましたので、僕もはじめてのPTA作業。ドッキドキドンPTA一年生です。

今回の作業は「グラウンドの草刈り」。王道中の王道、ザ・PTA作業ですね。事前に配布された学校からのお便りに「草刈り機を持参できる方はご協力お願いします」と書いてありましたが、ウチにそんなたいそうな装備はありません。軍手と汗拭き用のタオル、それに水筒、の無課金アバター状態でいそいそと学校へ向かいました。さて、驚いたのが草刈り機持参の方が意外と多くいらっしゃったこと。僕が好きでよく見ている「ありんくりん」のYouTube内のキャラクター「役場の臨時職員・當間さん」みたいな方がチラホラおりました。いくら課金したんだろう、なんて一瞬思いましたがその方々はきっとPTA六年生でしょう。貫禄の佇まいでした。

グラウンドの端の端

一方で無課金アバターの僕。学校側からお借りした鎌を持つことで、なんとか佇まいは形になりましたが、ここでまた一つ問題が。実をいうと、まともに草刈りをしたことがないんです。たかが草刈り、されど草刈り。PTA六年生の當間さん（仮名）に「なんですかその手つきは！」と怒られるのをおそれて、グラウンドの端の端、極力目立たない場所で作業を行いました。この時点で僕のモチベーションは「草刈るぞ！」よりも「とにかく足手まといにだけはなるまい！」の圧勝。なかなかの無力感です。

せっかく労力を注ぐわけですから、それぞれの得意分野で学校に貢献できたらいいなと思いませんか？「ちょっとした動画編集をしてくれませんか？」「最高に盛り上がる学年レクを考えてくれませんか？」こんな依頼ならきっと草刈りよりは力になれます。草刈り機は持っていませんが、MacBookと編集ソフトと芸歴16年のキャリアは一応持っているわけですから。部活動にも体育系・文化系があるように、PTA作業にもそれはあって然るべきだよな…そんなことを考えながら端っこでちまちまと草を刈っていたら、背後から「ブーーン！」とモーター音が。「はい、この辺り一気にやっちゃいますねー」とそこには草刈り機を構えた當間さん（仮名）。僕が15分かけて刈ったところと同じ面積を、ものの2秒で刈っていきました。嘘でしょ！マジ草生える。

草刈りといえば、僕の母校のお隣・八重山農林高校では「草刈り大会」というなんとも珍しい行事があります。刈った草の重さを競うというシンプルなルールで、参加者は全校生徒。優勝者には「黄金の鎌」が贈られる、なんとも草な、素晴らしいイベントです。ちなみに今年は全校生徒合わせて7.7トンもの草を刈ったそうで、これは全国屈指の草刈り強豪校といえます。もしPTAがドラフト制度なら、八重山農林から多数の一位指名が…なんてしょうもないことを考えていると、また後ろから「ブーン！」。すぐに持ち場を譲りました。

そうこうしているうちに、作業は無事に終了。いい汗かいて、グラウンドもきれいになって、とても気持ちのよい日曜日の朝でした。PTAのみなさま、本当にお疲れ様でした。

草刈りの翌日は「メタバース空間での漫才」のお仕事。振れ幅がすごい！（この話はまた次回にでも）