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OTV報道部

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“伝統行事”か “動物保護”か 糸満ハーレーのアヒル取り競争をめぐって波紋

500年の歴史を誇る糸満ハーレーの名物、「アヒル取り競争」をめぐって波紋が広がっている。“伝統行事”か“動物保護”か、それぞれの立場の声を伝える。

「恐怖を感じている かわいそう」「泳ぎの技術向上を目指すもの」

海人(うみんちゅ=漁師など海に関わる人)の街で旧暦の5月5日に行われる糸満ハーレーは、およそ500年の歴史を誇り、航海の安全や豊漁を祈願する伝統行事だ。

このなかで多くの人が参加し、盛り上がりを見せるのが「アヒラートゥエー(アヒル取り競争)」。

アヒルを海に放ち捕獲することに、さまざまな捉え方がある。

「アヒルが追いかけられて恐怖を感じている」「かわいそう」

「アヒルとの知恵比べ」「泳ぎの技術向上を目指すもの」

もう、すでに時代に合っていない

2023年7月10日、県庁で会見した動物愛護の活動をする東京のNPO法人・アニマルライツセンター。

アヒルが骨折や窒息、衰弱する恐れがあるとして、2015年から廃止を求めている。

NPO法人・アニマルライツセンター 岡田千尋 代表理事
「糸満ハーレーのアヒル取り競争のように、動物たちに苦痛や恐怖を与え暴力的に扱うということが、もうすでに時代に合っていないのではないかと思います」

センターは、今年もアヒルを捕獲する際に首を掴むなど乱暴に扱う行為が見られたとして、糸満ハーレー行事委員会の委員長と参加者2人を動物愛護法に反していると、警察に刑事告発したことを明らかにした。

NPO法人・アニマルライツセンター 岡田千尋 代表理事
「伝統だったとしても、いろいろな形で代替していくことで社会は成り立っています。動物虐待という負のイメージを持たないものに変えていただくことが必要だと思います」

センターでは、生きたアヒルを景品にすることをやめて、動物以外のものを使用することを求めている。

中止を求める手紙は県外から「残すべきものは後世に伝えていく」

「アヒラートゥエー」を含む糸満ハーレーの行事は、糸満市の指定民俗文化財に選ばれている。

批判の声があることを踏まえ、行事委員会は事前におよそ50人からなる委員に諮(はか)ったところ、85%以上の賛成が得られたということだ。

糸満ハーレー行事委員会 東恩納博 委員長
「ハーレー行事委員会の皆さんの半分以上が反対だと言うなら、これは当然、実施できないと思います」

行事委員会には、2023年、「アヒラートゥエー」の中止を求める手紙が84通寄せられ、すべて県外からのものだった。

東恩納委員長は、地域に根付いている歴史のある行事を、外部から反対の声があるからという理由でやめるわけにはいかないと訴えた。

糸満ハーレー行事委員会 東恩納博 委員長
「残すべきものは後世に伝えていかないといけないという、大きな責任感を感じていますので、大事に守っていきたいと強く思っています」

市民は「アヒラートゥエー」をどのように捉えているのだろうか。

糸満市に住む女性
「やっぱり伝統的にあったほうがいいのかなと思います。ハーリーは地域のものですから」

糸満市に住む男性
「イベントを特に問題視する必要はないんでしょうかね」

糸満市に住む女性
「昔からの伝統は残してほしいです。(動物)愛護者の方たちにとって虐待に見えるのでしたら、虐待に見えないようにしたらいいかなと思います」

行事委員会は、捕獲する際にはアヒルに危害を加えないように参加者に呼びかけているほか、アヒルがけがをしないように専用のネットも用意していることも知ってほしいとしている。

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