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くらしと経済編集部

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新たな広告媒体として注目されるトイレ

後間
こんにちは。後間秋穂です。近年、様々な広告媒体が生まれている中で、新しい広告媒体として「トイレ」に注目が集まっています。今回はそのお話について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんにうかがいます。よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

後間
これまで、トイレで、広告を目にする機会というのはあまりなかったような気がしますが。

宮里
これまで日本では、トイレを広告媒体に使う例は、そう多くありませんでしたが、この3年ほどで商業施設などのトイレを活用した広告事業が急増しています。
シンプルな例としては、
・壁にポスターを貼る、
・トイレットペーパーのホルダーにステッカーを貼る、
・トイレットペーパーそのものに広告を印刷するなどの方法があります。
一方で、最近増えているのは「デジタルサイネージ」です。デジタルサイネージは、ディスプレイに動画などを表示するシステムで、時間帯や見る人によって内容を変えられる、などの特徴があります。このデジタルサイネージを活用した広告を、トイレ個室の壁に設置する動きが出てきています。

後間
動く広告には、目が行きやすいですから、広告媒体としての効果が期待できそうですね。

宮里
トイレの個室空間は、広告媒体として他にはない特性をそなえています。まず、情報量が少ない空間であるため、集中して見てもらえる可能性が高まります。
さらに、人の目が気にならないため、コンプレックスに関わるようなデリケートな広告も展開でき、じっくり見てもらえるのも、個室のメリットです。
また、ビルの屋上広告の場合、認知されたかどうかの確認は難しいですが、トイレ個室ならセンサーで入室数を計測でき、認知されたと見ることができます。
さらに、トイレは男女別になっているのが一般的ですので、性別に特化した広告展開ができる利点があります。性別だけでなく、オフィスビルで働く人の年収などの属性に合わせて、ピンポイントで広告内容を絞り込むこともできます。
例えば、50代の社員が多いオフィスなら介護関連の広告が有効、といった想定がしやすくなります。誰もが一人で利用し、ある程度の時間を過ごす空間だからこそ、一歩踏み込んだ広告内容にできることが、トイレ広告の特質と言えます。

後間
個室空間ならではの特性を活かせば、まだまだ様々な可能性がありそうですね。

宮里
東京・銀座のある料理店では、トイレ個室の壁にデジタルサイネージを設置し、アプリや転職サービスなどの広告を流し、更にお店のメニューの紹介することで注文に結びつくこともあるそうです。設置費用はシステム運営会社が負担し、月額広告料の2割が店側に入る仕組みで、店はトイレ個室の壁を利用して、副収入を得ることができます。
また、東京のある百貨店では、今年1月からオフィス街の複合型ビルのトイレで、高級ファッションの洋服をレンタルするサブスクリプションの広告を流しはじめました。オフィスで働く女性をターゲットに、静かな空間でサービスの仕組みを詳しくしっかり伝えることが目的です。
東京のあるスタートアップ企業は、専用アプリを入れたスマートフォンを画面にかざすと、生理用品が無料提供されるというサービスを始めました。広告の収益を原資に活用していて、女性特有の課題解決を目指す社会貢献性をも備えた取り組みです。

デジタルサイネージによるトイレ広告例

宮里
これまで情報の空白地帯だったトイレ空間は、デジタルサイネージを起点に、有力な広告媒体に進化する可能性がありそうです。

後間
今後、トイレで様々な広告を目にする機会が多くなりそうですね。

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