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『ちける、ふちゃい、ちんぱる…この言葉の意味、分かります?』【リップサービス金城晋也の「こちら舞台袖」】
明けましておめでとうございます!なんて新年の挨拶から始まりましたが、このコラムを書いている時点で2024年はもう18日ほど経過しています。お正月に張り切って立てた「今年の目標」はもう薄っすら忘れてきている頃でしょうか?(僕は忘れました)
リップサービス金城晋也の「こちら舞台袖」今年もどうぞ宜しくお願いします。
目次
きいやま商店のライブに行ってきたどー
2024年はとにかく元気にスタートしたい!と思い、1月6日コザミュージックタウン・音市場にて行われた「きいやま商店」さんのライブに行ってきました。
今さら説明は不要かと思いますが、「きいやま商店」は石垣島出身の3人組エンタメバンド。従兄弟・兄弟で構成され、ユニット名の「きいやま商店」は3人のおばあちゃんが以前まで営んでいたお店の名前でもあります。そう、石垣島出身ということで僕の大先輩。ちなみに「きいやま商店」も僕の実家のほど近くにありました。
きいやま商店の楽曲は、その肩書き「エンタメバンド」からも分かる通り、一緒に歌って踊って楽しめるものが殆ど、とにかく元気をもらえます。特にライブでの盛り上がりは「圧巻」の一言で、老若男女全ての層が渦を巻くように熱狂する様を見ながら「こんなにも人を楽しませる人がいるのか」と感動すら覚えるほどです。
「島の言葉」のパワー
そして、きいやま商店ライブ最大の魅力とも言えるのが「島の言葉」です。(※今回のコラムでは「石垣島の方言」「方言由来の言葉」「島特有の若者言葉」などをひっくるめて「島の言葉」と表現しています)
ライブ中のMCはもちろんのこと、歌詞の中にも島の言葉や地名がたくさん出てきます。ライブ会場がコザだろうが那覇だろうが、この「島の言葉」を聞くだけで、一気に里帰りしたような気分にさせてくれるのです。飛行機代が浮きます、いつもありがとうございます。
例えば『まるでーど!』という曲の歌詞に出てくる「あだら」。これは島の人が割とよく使う言葉です。牛乳をこぼした時、鳥のフンが肩に落ちてきた時なんかに反射的に「あだら!」とか「あだりー!」と言います。「やっちまった」とか「嘘でしょ!?」というニュアンスでしょうか。「あだら!じんがねーらん!」は「嘘でしょ、お金がない!」という風に変換できます。
「びーて」という言葉も歌詞の中に登場します。「びーて」は「(酒に)酔って」という意味。「酔う」ことを「びーる」というのでその活用形です。(ちょっと古文の授業みたいになってますね)泡盛で酔っても日本酒で酔っても「びーる」なんです。面白いですよね?
曲名の「まるでーど!」もそもそもよく使う言葉です。「美味しい」「まずい」「可愛い」「怖い」など、最近はなんでも「やばい」と表現する傾向にありますが、島の人はこの全てを「でー」「でーだな」「でーど」などと表現します。「あれ(あいつ)の彼女みた?でーど!」という具合に。この「でーど!」の意味は前後の文脈や喋り手の顔から読み取ります。なんて高次元なやり取りなんでしょう。
「考えてみたら、島でしか聞かないな」と思う言葉はまだまだあります。僕の年代で特によく聞いた・よく使った言葉をいくつかピックアップして紹介します。あ、紹介するどー。
【ふちゃい】ダサいという意味です。洋服や小物に対しても使いますし、サッカーでシュートを外した時にも言われます。「今の、でーふちゃい!!」よく言われたなぁ。
【ちける】格好つけるという意味です。もっと掘り下げると、格好つけてる人をいじるようなニュアンスです。「格好つけんな!」は「ちけんけー!」、ちけてる人は「ちけしゃー」です。ちけしゃーは総じて「ふちゃい」のです。
【きっさ】とっくに、というニュアンスでしょうか。「いつ出かけるば?」「きっさ行ってきたど!」と言う感じで使います。決して「喫茶」に行ってきたわけではありません。
【がばー】先述した「あだら」にやや近い意味です。「汚い!」と言う時によく使いますが、「卑怯!」「ずるい!」というニュアンスで使うことも同じくらい多い言葉です。一人だけおもちゃを買ってもらった兄弟に対して「がばー!」なんて言ったりします。
他にも「こっぱる」は固まる、「ちんぱる」はつねる、「だらふしゃー」は怠け者…僕が島で育ったのは高校卒業までなんですが、なんだかそれを象徴するような語彙ですね。もう少し美しい言葉を紹介したかったのですが…お許しください。
今年の目標パート2
2024年、僕は38歳になります。いつの間にか、島で過ごした時間よりも、島を離れてからの時間の方が長くなりました。10代、20代の頃は「ふちゃい」という理由で島の言葉や訛りを隠し、「ちけて」標準語で話そうとしていましたが、この歳になって、島の言葉にグッと愛着が湧いてきたのが正直なところです。
ちょうど忘れていた頃ですので、ここでもう一度新年の目標を立てたいと思います。
「島の言葉で漫才を作る!!」
2週間で忘れませんように。忘れたら、でーど!!
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