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OTV報道部

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子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

2015年、沖縄で初めての子ども食堂としてオープンした「ももやま子ども食堂」。
通っていた当時小学5年生の少年は19歳になり、地域の役に立ちたいとボランティアとして携わるようになった。

子どもだけでなく「みんなの居場所」を目指して、新たな活動が展開している。

子どもたちを「独り」にしないための居場所づくり

「みんなのももやま子ども食堂」
月にのべ300人の児童生徒がここを訪れ、遊んだり、休んだり、ご飯を食べたりと思い思いに過ごす。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

2015年、沖縄で初めて子ども食堂として有志によって立ち上がった「ももやま」。

地域には子ども一人、もしくはきょうだいだけで食事をしたり、十分に食べられない子がいて、その背景には親の貧困がある。

子どもや家庭に手を差し伸べる「子ども食堂」の取り組みは、いまでは沖縄全体に広がった。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

オープンからまもない頃、ももやま子ども食堂を訪れた母親ときょうだいがいた。

3人の子の母親は、土曜日に仕事が入るとこどもだけを家に置いて出かけることになる。
そんな時、ももやま子ども食堂のスタッフは子どもたちを気にかけ、親子の不安に寄り添っていた。

3人きょうだいの一番上のお兄ちゃん、石川空飛(くうと)さん。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

当時は小学5年生だった空飛さんは、あれから8年が経ち19歳になった。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

空飛さんにとってももやま子ども食堂は、「もう1つの家」だと言う。

石川空飛さん
「家以外の落ち着ける場所がここなんですよ。気軽に来られるという感じ。安らぎとかくつろげる」

当初ボランティアとして携わっていた菅原耕太さんは、空飛さんの中学入学を見届けたいと職員になることを決めた。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

みんなのももやま子ども食堂 菅原耕太さん
「空飛が下の子たちを守っている、すごくしっかりしている感じだった」

当時の空飛さんはほとんど口を開かず、通ってはくるものの心を閉ざしたままだったという。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

ももやまで片づけや整頓を率先してやっていた空飛さん。
そんな彼を見た菅原さんは、高齢者宅を訪問するボランティアへ参加しようと誘った。

手の届かない場所の掃除をしたり、重い荷物を運んであげるなど手助けをするうちに、空飛さんの気持ちに変化があった。

石川空飛さん
「ありがとうね~、助かったよという言葉が多かったかな。めっちゃうれしいですよ。ただうれしくて、またやりたいという意欲が出てくる」

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

高校生になっても毎日欠かさずお年寄りの庭の水やりを手伝うなど、地域と関わることで自信をつけてきた。

この経験を「三方良し」と語る菅原さん。
お年寄りの笑顔と空飛さんの成長。そしてももやまが目指す道を見つけることができたからだ。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

みんなのももやま子ども食堂 菅原耕太さん
「子ども食堂に来ているのは、ただ『困っている子どもたち』という見られ方をされていた。でもそうじゃないことを証明した。彼らは十分に地域で活躍できるんです」

年齢にかかわらず地域のみんなを繋ぐ場所を作りたい

子どもは地域の中で育つ。
誰もが気軽に訪れる交流の場でありたいと願い、おととし一般社団法人となった際、名称を「“みんなの”ももやま子ども食堂」に変えた。

現在は「沖縄市子どもの居場所運営支援事業」の補助金を活用し、おおむね18歳以下を対象に「夜の子どもの居場所」を開いている。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

今後はクラウドファンディングなどを活用したり、マンスリーサポーターからも継続した寄付を得ることで、年齢問わずより多くの人が交流できる場をさらに展開していきたいと考えている。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

特に力を入れているのはマンスリーサポーターの募集だ。
定期的にサポートしてくれる人がいれば毎月の収入予測が立てやすく、場所の拡大や人員の確保に充てられると期待している。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

ももやまが生活の一部だったと語る空飛さんは、この場所で安らぎも自信も得てきた。

石川空飛さん
「自分がここまで成長できたのも、ももやま子ども食堂のおかげ。恩返しで手伝いに来たり、子どもたちと関わってもっと成長したい。これからこの場所をもっと良くしていきたいという思いがある」

空飛さんは将来、人の役に立つ仕事、ボランティアに携わる仕事に就きたいと考えている。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

みんなのももやま子ども食堂 菅原耕太さん
「子ども・若者は、ステージさえ整えば地域に活動できる、活躍できるんですと証明していきたい。誰もがそういう可能性があって引き出していく、それを一緒に見つけていくだけかなと思います」

「ももやま」は現在、夜の子ども食堂だけでなく、乳幼児と親が集う子育てサロンを展開し、公民館を使った遊び場の提供も手掛けている。

また、今後は高齢者の居場所づくり、引きこもりの若者などが集う仕掛けづくりなど、年齢を問わず多くの人が関われる場所を目指すことにしている。

子ども食堂に出会って8年。19歳になった青年が抱く「人の役に立ちたい」という夢

より多くの人に運営を下支えしてもらうことで、誰もが立ち寄れる場を増やしたい。それがももやまの目指す「みんな」の居場所だ。

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