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尚円王の出身地・伊是名島に1泊2日で行ってみた!(伊是名村)
沖縄本島からフェリーで1時間ほどの離島・伊是名島(いぜなじま)。農民から国王になった琉球・第二尚氏王統の開祖である尚円(しょうえん)王の出身地として知られる島です。本島の姿が見えるほどの距離感と近いのになかなか行く機会がない伊是名島。この王家ゆかりの島をシーズンオフにゆっくり訪ねてみました。
目次
伊是名島ってどんなところ?
伊是名島は、沖縄本島北の海上にある美しい海とサンゴ礁に囲まれた小さな島。今帰仁城近くの運天港から日に2便のフェリーで1時間程度かかります。その地形は起伏に富んでいて伊是名島を象徴する風景として有名な「陸ギタラ」「海ギタラ」など、海底から隆起したチャートと呼ばれる岩が織りなすダイナミックな光景が広がっています。
伊是名島といえば、琉球第ニ尚氏の始祖である尚円王(しょうえんおう)・金丸(かなまる)の生誕地。元は農民だった金丸が、時の王子に見いだされ出世栄達を果たし、さらには群臣の推挙を受け王の位を得たという逸話が歴史書に残されています。島には、金丸やその親族の足跡をたどる史跡がいくつも残されており、琉球の歴史にとっても重要な場所。
素朴な風景の中にも、王の出身地として整備された文化的な趣きが同居し、ほかのどの離島とも違う不思議な魅力があると感じました。
伊是名島と伊平屋島の違いは?
伊是名島は、隣にある「伊平屋島(いへやじま)」と間違われることが多い(名前も似てるし……)のですが、それもそのはず。1940年まで伊平屋島と伊是名島は「伊平屋間切」という行政区分だったんですね。竹富町の中に、竹富島だけじゃなくて小浜島や波照間島などが含まれているような感じです。
別の島なのに距離が近いせいか、観光スポット情報も同時に表示されたりするので注意したいところ。出発する港も同じ運天港ですが、2つの島をつなぐ航路は現在のところ、海上タクシー以外ありません。思わぬ時間とお金のロスになってしまいます。
伊是名島への行き方は?
伊是名島へは、沖縄本島の今帰仁村にある運天港からフェリーで約1時間。運行は1日2便ですが、 天候や海のコンディションによって欠航になることも。毎日の運行状況は、伊是名島の公式サイト(記事下の関連情報をご確認ください)にて確認できます。
▶伊是名島⇔運天港のフェリー時刻表(2024年1月現在)
伊是名発
09:00 発
13:30 発
運天港発
10:30 発
15:30 発
フェリーは車を載せる場合以外は予約不要です。ただし、席は先着順なので早めに到着しておくことをおすすめします。
料金は、大人(中学生以上)で片道1,840円、往復 3,500円(2023年12月現在)です。
往復券にすると片道で買うより安く買えます。帰りまで無くさないようにしましょう。チケットの有効期限は2週間です。
伊是名島への日帰り旅行はできる?
「船で1時間程度なら、伊是名島に日帰り旅行できるかも?」と思うかもしれませんが、それは残念ながら難しそう。というのも、1便で10:30に運天港から出発すると、伊是名島への到着は11:30前後。そして帰りの最終便は13:30なので、滞在時間は2時間弱しかありません……日帰りだと、着いたらすぐ帰る感じになってしまいます。
伊是名島への旅行は、1泊以上みておきましょう。今回1泊してみて、欲を言えば2泊は欲しいところだと思いました。
運天港への行き方は?
伊是名島への船が出発する運天港。沖縄旅行で行くなら「やんばる急行バス」が予約不要で便利です。港の目の前に止まりますので、荷物があってもラクラク。
自動車で那覇方面から行く場合は、最速でも90分程度(沖縄自動車道経由)を見ておいてください。
運天港があるのは、古宇利島に行く時に経由する屋我地島の対岸なのですが、私は途中まで伊江島に行く時の本部港(沖縄美ら海水族館の近くにある港)と場所を勘違いしていました……運天港と本部港は、それぞれ本部半島の反対側にあるので、間違えると船に間に合わないところでした。危なかったです。
もうひとつ注意したいのが、運天港には駐車場がないので、港付近にある有料駐車場に止める必要があることです。今回利用したのは、港が目の前の「宮里駐車場」(1泊1,000円)。ほかにも駐車場があり、港から遠ざかるほど駐車料金が安くなります。鍵を預けて駐車券をもらい、戻ってきてから精算する仕組み。現金精算のみなので用意を忘れないようにしましょう。
伊是名島内の交通手段は?
伊是名島で旅行者が使える交通手段には、レンタカーと原付・レンタサイクルがあります。個人的におススメなのは圧倒的にレンタカー。実際に走ってみてわかったのですが、伊是名島は起伏が多い地形で、道路には日よけなどはありません。健脚で日焼けが気にならない方以外はレンタカーにした方が無難です。
港のすぐ近くにある「伊是名レンタカー」が島の唯一のレンタカー屋さん。カラフルな配色ですぐにわかります。事前に予約しておくと受け渡しがスムーズですよ。
Information
- 伊是名レンタカー
- 住所
- 沖縄県島尻郡伊是名村字仲田177-6
- アクセス
- 仲田港から歩いてすぐ
- 電話
- 0980-45-2394
- URL・SNS
- 公式WEBサイト
伊是名島の宿泊は?
伊是名島で今回お世話になったのはこちらの「GuestHouse上里商店」。もともとは雑貨店だった建物を改装して宿にしたとのこと。3室だけの小さな宿ですが、自宅のようにくつろげます。
食事の提供はありませんが、お食事処は紹介してもらえます。歩いていける距離にもお店があるので「その時に気になったものが食べたい」という私のようなタイプにはピッタリの宿でした。
Information
- GuestHouse上里商店
- 住所
- 沖縄県島尻郡伊是名村字諸見5066
- アクセス
- 仲田港から車で3分・徒歩10分
- 電話
- 090-1081-5628
- URL ・SNS
伊是名島でどこを見る?
伊是名島は小さい島。車で1時間もあれば一周できますが、心惹かれる風景がある度に車を停めていると、時間がたつのはあっという間。「せっかく来たならここは見て」というスポットからご案内しますね。
伊是名城跡・伊是名玉御殿
伊是名島の南東に位置する伊是名城跡。まるでピラミッドのような自然の地形を活かした城です。伊平屋島出身の佐銘川大主(さめかわうふぬし)により築城されたといわれています。
そしてそんな伊是名島の中腹に位置するのが、伊是名玉御殿(いぜなたまうどぅん)。
「あれ?『たまうどぅん』ってどこかで聞いた気がする?」と思った方もいるかもしれません。首里の「玉陵(たまうどぅん)」と同じく、こちらも陵墓。尚円王の息子である尚真王によって築かれました。
「伊是名玉御殿」には、尚円王ゆかりの人々が眠っています。施錠されているので中に入れませんが、遠くからその威容を見るだけでも何かを感じ取れるような気がするパワースポットのような場所ですよ。
シラサギ展望台
GuestHouse上里商店さんから一番にオススメされたのがシラサギ展望台。時間に応じて1日中楽しめる場所と言っていいかもしれません。
左手に伊是名城跡を、右手には切りたった岩山「陸(アギ)ギタラ」と「海ギタラ」を共に眺められ、眼下に広がるのは「日本の渚100選」にも選ばれた二見ヶ浦海岸を望むことができます。シラサギ展望台は、伊是名島よくばりセットみたいな場所ですね。
東南に向かって開けている場所なので、朝日も夕陽も楽しめる島内の絶景スポット。今回は満月の日に行ってしまったのですが、晴れた日には星空も楽しめそう。
個人的にはまずここに来て、見て気になったスポットに車を走らせる……という楽しみ方をおすすめしたいです。
ギタラ展望台
シラサギ展望台からも見えた「海ギタラ」を間近に眺められるのが「ギタラ展望台」。ギタラとは「切り立った岩」とか「鋭くとがった岩」という意味だそう。
海の向こうに薄っすら見えるのは沖縄本島。この距離感なら確かに「渡ろう」と思えるかも。しかしフェリーでも酔う私は、一生島の中で過ごしていそうです。天気が良いと伊江島も見えます。
南西方面に見えるのは「屋那覇島」。沖縄最大の無人島で、夏シーズンのシュノーケルスポットです。夏も再訪してレポートしたいですね。
陸ギタラ
海ギタラに対して、陸側でひときわ大きくそびえたつのが「陸ギタラ」。陸ギタラを見るおすすめスポットは、海側ではなく実は陸側。
ふもとから見るとその大きさをより一層実感できます。
さらに、陸ギタラのふもとには、海に向かってブランコが設置されているんです!緑に囲まれ、伊是名ブルーの海を眼下に漕ぐブランコ。最高の気分が味わえますよ。
ハートのサンゴ礁
仲田港から徒歩約5分の場所に位置する「臨海ふれあい公園」の近くで、晴れた日の干潮と満潮の間に見られる「ハートのサンゴ礁」。
海中からハートの形に浮かび上がるサンゴ礁は、地元の人でもなかなか見られないラッキースポット。お天気と潮のタイミングが合ったらぜひ行ってみてくださいね。観光協会さんのInstagramで、見える場所をマップにしてくれていますよ。
Information
- 臨海ふれあい公園
- 住所
- 沖縄県伊是名村諸見565-4
- 電話番号
- 0980-45-2534
- アクセス
- 「仲田港」から徒歩約6分
- URL・SNS
- 参考サイト
伊是名島で琉球の歴史をたどる
銘苅家住宅(めかるけじゅうたく)
銘苅家は、尚円王の叔父にあたる家系。赤瓦の屋根も美しく、石垣は首里城と同じ技法で作られているそう。現在見られるのは明治時代に再建されたものです。
この銘苅家と、伊是名玉御殿を結ぶ道として整備されたのが「サムレー道」。サムレーは「士」と書き、侍にあたります。
向かいには「サムレー道」という石畳の道が。こちらは「伊是名玉御殿」と「銘苅家」(子術)を結ぶ道で、
なお、銘苅毛住宅の近所には銘苅家ゆかりの方が営む琉球古民家の宿「銘苅家別邸」があります。1棟貸しで最大10人まで宿泊できるそう。伊是名ビーチの近くでのんびり島時間を過ごせそうです。一度宿泊してみたいですね。
Information
- 銘苅家住宅(めかるけじゅうたく)
- 住所
- 沖縄県伊是名村字伊是名902
- 営業時間
- 9:00~17:00(銘苅家は無人となっています)
- 休日
- 年中無休
- 料金
- 無料
- アクセス
- 仲田港より車で10分
尚円王御庭公園
尚円王生誕580年を記念して整備された公園。尚円王出生の場所でへその尾が埋められたと伝わる「みほそ所」の背後にあります。
伊是名村出身の版画家・名嘉睦稔さんによる若き日の金丸(尚円)像はフェリーの絵にもなっていて「少年よ、大志を抱け」のクラーク像のようなポージング。名嘉睦稔さんといえば、美浜アメリカンビレッジの「ボクネン美術館」を構えるアーティスト。こちらもぜひ今度取材したいですね。
ちなみに、尚円王の像はもうひとつあり、通水節公園(かいみじぶしこうえん)内に「尚円王乗馬像」があります。こちらは2015年の尚円王生誕600年を記念して建てられたもの。恋人に会った帰りに、名残惜しげに振り返る様子が彫像になっています。
ちなみに、仲田港にも名嘉睦稔さんの大きな絵がありますよ。
Information
- 尚円王通水節公園
- 住所
- 沖縄県島尻郡伊是名村仲田
伊是名集落のフクギ並木
銘苅家住宅付近の伊是名集落には、昔ながらの沖縄の風景が残されています。特にフクギ並木とサンゴの石垣は風情があって、ゆったりとその辺を散歩したくなるはず。
こういう石垣はハブの住処になるため、戦後はどんどんコンクリートに置き換わりましたが、伊是名島にはハブがいないので、今でもずっと残されているそうです。
伊是名村ふれあい民俗館
尚円王の親戚筋にあたる銘苅家や名嘉家などの収蔵品も保管・展示されています。土日月に加えて祝日がお休みなので、観光で訪れるのは難しいかもしれません。ですが、ここで伊是名島の歴史を確認してから各スポットを回ると、より解像度が高まりますよ。
Information
- 伊是名村ふれあい民俗館
- 住所
- 沖縄県伊是名村伊是名196-129
- 電話
- 0980-45-2165(伊是名村ふれあい民俗館)
- 営業時間
- AM9:00~PM17:00
- 休日
- 土・日・月・祝日 ※年末年始休業
- 料金
- 大人(高校生以上) 200円
小人(小・中学生) 100円 - アクセス
- 仲田港より車で10分
伊是名島での食事は?コンビニはある?
食事は、仲田地区を中心に食堂や居酒屋があります。コンビニはありません。自動販売機やスーパーや共同売店がありますが、全体的に値段がお高めなので、必要なものは島に渡る前に買っておいた方がよさそうです。
ざっとみたところ、お店の定休日が多いのは火曜日。個人で営業されているお店が多いので、お盆や年末年始、清明祭の時期はお休みになりがちです。もしそのあたりに来訪する予定の方は、お食事付きの宿にしておいた方が無難かもしれません。
太陽食堂
伊是名漁協の近くにあるカフェレストラン。
伊是名島は実はお米が名産。そこで、島で生産されるお米を中心に様々なグルテンフリーの商品を生産し、美味しいパスタや麺料理として提供しているのがこの「太陽食堂」です。私が訪れた時は平日のランチタイムでしたがほぼ満席。人気のほどがうかがえました。
メニューは洋風、和風、中華などさまざまにアレンジしており、制覇したくなるような品揃え。スイーツもあるのでカフェタイムに立ち寄るのも良さそう。
私は肉みそ豆乳麺をいただきました。出汁と豆乳のスープは飲み干したくなる滋味のある味わいで、麺はカッペリーニタイプの細麺。お土産に麺を買って帰りました。
Information
- 太陽食堂
- 住所
- 沖縄県島尻郡伊是名村字勢理客1542
- 電話
- 0980-45-2120
- 定休日
- 火曜日※火曜日が祭日の場合は翌日(予告なくお休みすることもあります。)
- アクセス
- 仲田港より車で5分
- URL・SNS
- WEBサイト
まるとみ亭
夕食をいただいたのは、諸見にある「まるとみ亭」。「民宿まる富」の道向かいにある居酒屋さんで、会社や団体の宴会にも使えそうなほど席数も多いです。お店の方とお客さんの会話を聞いていると、地元の方たちの利用も多い感じ。
居酒屋なので「尚円の里」「伊是名島」など、島ならではの泡盛もあり、充実しています。
メニューは、お寿司と沖縄料理。ちらし寿司をご飯少な目でお願いしました。イクラも載った豪華版が登場。
せっかくなので、沖縄料理もと思い、ソーメンチャンプルーとイカのゲソ揚げも。せっかくだから大人数で来て、ワイワイ食べるのが楽しそうです。
Information
- まるとみ亭
- 住所
- 沖縄県島尻郡伊是名村諸見137
- 電話
- 0980-45-2666
- 定休日
- 日曜日
- アクセス
- 仲田港より車で5分
- URL・SNS
- WEBサイト
菓子の島 かみやま(パン・ケーキ)
伊是名島の小麦で作られた小麦粉を使ったパンやケーキ、クッキーを提供しているお店。最近ではクッキーが地元新聞に取り上げられ、一躍人気商品に。お店が定休日でも、クッキーは港にあります。
なお、パン、ケーキの焼きあがり時間も決まっています。実は食パンが切れていたことを思い出し、帰る日に買って帰ったのですが、ふわっふわでとっても美味しかった。また食べたいですね。
Information
- 菓子の島 かみやま(パン・ケーキ)
- 住所
- 沖縄県伊是名村字仲田764
- 電話
- 0980-45-2363
- 定休日
- 土・日・月曜日
- アクセス
- 仲田港より車で5分
- URL・SNS
伊是名島のお土産は?
お土産の品ぞろえが一番良いのは仲田港の売店。ですが、売店は船の出稿時間に合わせて開店します。出航前に早めに着いて購入するのが良さそうです。
お土産の定番は、泡盛やモズク。また、稲作が行われているので、お米そのものも実は人気が高い商品。米粉を使った太陽食堂の麺やマカロニも気になります。
今回購入したのはこちらの3品。「菓子の島 かみやま」のクッキーには、尚家の紋である「左三つ巴」が刻印されています。味は、ショートブレッドのような密度の高いサクサク感があり、力強い小麦の風味がしっかり。
イチゴバターは、同じく「菓子の島 かみやま」の食パンを焼いて美味しくいただきました。太陽食堂のカッペリーニは、和洋中いろいろなお料理に万能に使えそうで楽しみです。
沖縄の原風景と豊かな自然が残る貴重な離島・伊是名島。今回は1泊しましたが、あっという間でした。次は、夏シーズンに再訪して伊是名ブルーを満喫したいですね。
▼参考サイトなど
・ 伊是名島公式サイト
・ 伊是名島公式Instagram
・ 伊是名島観光協会Instagram
・ やんばる急行バス
・ GuestHouse上里商店Instagram
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