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真境名 育恵

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沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供えも大切だけど、一番はご先祖様に新年を迎えられた感謝を伝えること

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

読者の皆さん、お久しぶりです。
なんと最後のコラムから半年ぶりの登場でございますが、皆さんお元気に過ごされてますでしょうか?
さて、2024年が明けて早くも2月となり、時候の挨拶は「立春の候・・・暦の上では春となりました・・・

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

「立春」は二十四節気のひとつで、2月4日頃~2月18日頃。」と、厳しい寒さが和らいで暖かい春に向かうことを予感させるご挨拶に変わっていきますが、「旧暦」においてはまだ年が明けてないって知っていましたか?
というわけで、今年最初のコラムは「旧正月」についてお伝えします。

目次

「旧正月」とは?

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

現在では沖縄でも多くの地域で主流となっている、新暦(太陽暦)の正月は、新正月と呼ばれていて、明治時代以降に沖縄に導入されたという歴史から大和正月(ヤマトソーガチ)と呼ばれたりします。それに対して沖縄で古くから祝われてきた陰暦(太陰太陽暦)による正月は、旧正月、旧正のほか、沖縄正月(ウチナーソーガチ)と呼ばれることもあります。
その名の通り、沖縄では新正月では日本風にお祝いをして、旧正月には沖縄風の飾り物やお供え物が用意されます。
旧暦行事が今も色濃く残る糸満市などでは、現在も多くの家庭で旧正月を盛大にお祝いします。これは糸満市だけではなく、漁業が盛んな漁師町で見られる傾向です。

旧正月はいつやるのか?(2024年は2月10日)

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

さて、では2024年の旧正月はいつやるのでしょうか?
今年の旧正月は2024年2月10日(土)になります。
今年はたまたま、週末に「旧正月」が当たっていますが、新暦上、休日じゃない場合でも、沖縄の伝統料理を中心とした正月料理を囲んでお祝いをします。

地域によっては旧正月も親戚めぐりをして、仏壇に家族の健康祈願をしたりお年玉を準備している地域もあります。
私は生家も嫁ぎ先も那覇なので、親戚めぐりをしたりすることはありませんでしたが、沖縄特有の正月料理を準備して、仏壇に供えるというのが一般的でした。

そして、旧暦を中心に生活していた琉球王国時代には、本島北部の国頭村辺戸大川から水を汲んで、首里城に献上するお水取りという行事もありました。
10数年ほど前から、このお水取り行事は復活しています。琉球の最北端の聖地とされる安須社(アスムイ・あしむい※)に流れる辺戸大川(へどうっかー・ウッカー)の水を、若返りの聖水として大切にしたといわれています。

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

昔の各家庭では集落に沸く湧き水を汲んで、若水としたらしいのですが、現在では旧正月の朝一番に汲む各家庭の水道水で良いと言われているようです。

※安須社(アシムイ)は、沖縄本島北部の「やんばる」と呼ばれる地域にある大石林山を指す言葉です。安須社は琉球で最初にできた聖地と伝わり、島建ての神アマミキヨが降り立ち作った場所と言われています。

旧正月のお供えもの

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

旧正月には、アカガミと呼ばれる赤、黄色、白の三色の紙を重ねて敷いたうえに、みかん、ウチャヌク(もち粉で作った白もちを3段重ねたもの)、花米、タントィクブ(炭に昆布を巻いたもの)、貨幣をのせて、仏壇やヒノカン、床の間に飾りそれぞれにお供え物をして、新年と家族の健康祈願を祈ります。

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

正月の定番料理であるお雑煮の代わりにモツがたっぷり入った「中身汁」を作ったり。

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え
沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

豚肉と白かまぼことこんにゃくを煮て白みそで仕込んだ「イナムドゥチ(いなむるち)」。

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

昆布や大根と豚のソーキ肉をじっくり煮込んだ「ソーキ汁」を食べて旧正月のお祝いをします。

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

私が経験した旧正月

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

生家は那覇(現在の「のうれんプラザ ※」近辺)で長年お菓子屋を営んでいたので、旧正月は市場が賑やかで旧正月の祝い料理に必要な昆布などを売る乾物屋さんや、沖縄の伝統料理には欠かせない豚肉を扱う精肉店が、大変、繁盛していたことが印象に残っています。

現在でも旧正月近くになると那覇の公設市場や、栄町市場に足を運び、旧正月のお祝い料理の材料を購入するお年寄りは多くいます。
しかし、沖縄を代表する大型スーパーマーケットでも、旧正月にまつわる一式が売られているので、仏壇の世話をするウフヤーアンマー(仏壇持ちの女性)の世代交代により、お祝いの簡略化は進んでいくだろうと思います。それは、旧暦行事により過剰負担ともいえる家事を担う沖縄女性にとっては、よい側面もあるのではないかと、仏壇持ちの家に嫁いで感じたりすることもあります。

※のうれんプラザは、沖縄県那覇市にある農協関連のショッピング施設です。2017年12月にオープンし、かつて「県民の台所」として親しまれた「農連市場」が生まれ変わりました。

旧正月に想うこと

沖縄の旧正月2024年は2月10日。旧正月準備・お供え

新暦でのお正月が一般的になった現代において、旧暦のリズムで行う年中行事は、自分たちのルーツである「ご先祖様」を大切にしている気持ちを、子々孫々に伝えていくためにあるものだと個人的には思います。
先輩方が大切に守ってきた年中行事が、現代を生きる世代に踏襲されていくには、多少の簡略化も受け入れていくことも大切ではないでしょうか?

大事なのは家族でご先祖様に新年を迎えられた感謝を伝えることに尽きるのではないか?
と個人的には思う次第です。

次回は『屋敷拝み(やしきうがん)』をご紹介する予定です。

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