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8種の魚節ダシともちもち自家製生麺!進化系沖縄そば「金月そば」(恩納村)
自家製生麺が特徴的な「金月そば」は、2024年に創業16周年を迎えました。創業当時から生麺にこだわり、沖縄そばの可能性を探究し続けています。
2016年には沖縄県麦生産組合に加盟し、沖縄県産小麦「島麦かなさん」の栽培にも精力的に携わるなど、活動の幅が広いのも特徴的です。
弾力のあるもちもち食感の自家製生麺と、控えめだけどコクが深いスープは、まさに「進化系沖縄そば」!店主のこだわりと想いとともに、「金月そば」の魅力をたっぷりご紹介します。
目次
「金月そば」と書いて「きんちちそば」
赤い壁が目印の「金月そば」恩納店は、恩納村と名護市の境目辺りにあります。周辺には高級リゾートホテルが多くならび、観光客と地元客で常に賑わう人気店です。
「金月そば」と書いて「きんちちそば」。
「金」は店主の苗字「金城」から取ったもので、「月」は沖縄方言で「ちち」と読みます。そして「チチ」は、金城家のワンちゃんの名前だそう。
ご自身のルーツと大切なものが掛け合わされた名前に、沖縄そばへの熱い意気込みと深い愛情を感じます。
「金月」カラーの赤い椅子が目をひく店内には、テーブル席とお座敷があります。土日や祝日・繁忙期のお昼時は外に行列ができるので、待ちたくない人は早め、または時間をずらして来店するとよいでしょう。
ただし、14時を過ぎると完売するメニューも。どうしても食べたいメニューがある場合は、早めの来店をおすすめします!
店舗によってメニューが変わるのが「金月そば」ならでは!
「金月そば」の特徴は、お店ごとにメニューが違う点です。
全店舗共通メニューの「沖縄そば」のほか、それぞれの店舗でしか食べられないメニューがあるのは、「金月そば」ならでは!
恩納店は「つけそば」が、読谷本店は「坦々そば」が、国際通りむつみ食堂店では「そば+定食メニュー」が、Gala青い海店では、「塩そば」や「スパイス坦々そば」「ヴィーガンまぜそば」が食べられます。
「今日は恩納店のつけそばを食べよう」「今日は読谷本店の坦々そばを食べよう」などと、その日の気分で検討できるのもGOODです。
新店舗をオープンする際に味展開を決めるのは、店主の金城さん。しかし、熱量の高いスタッフによる提案を聞き入れ、新メニューが開発されることもあるそうです。
ただ働くのではなく、やる気のあるスタッフの提案をどんどん取り入れ、進化を続けるのが「金月スタイル」です。
沖縄そばへの想いは小麦栽培にまで広がる
沖縄そばといえば、商圏が狭く、客単価が低いイメージがあります。昔のように家族経営で切り盛りするだけでは、将来的に引き継ぐ若者がいなくなるかもしれないと危機感を持ち、レパートリーを広げて新しいタイプの沖縄そばを提供するようになったのだとか。
働くスタッフも食べてくれる人も、みんながハッピーになるために、商売として成り立つ経営方針を考え、日々探究し続けているそうです。
探究は小麦栽培にも派生し、沖縄県麦生産組合でも精力的に活動しています。
農薬・化学肥料不使用で栽培された沖縄県産小麦「島麦かなさん」は、沖縄そばやラーメン・パスタ・パン・スイーツなどで使われるほか、2020年にはオリオンビールとコラボして、クラフトビール「75BEER-ヴァイツェン」を季節限定で販売するまでに至りました。
「島麦かなさん」の豊作を祝う、年に一度の麦の収穫祭「おきなわ麦うまちー」も要チェックです!
現在「金月そば」の自家製生麺への県産小麦の配合は、全体の5%ほど。5%にとどめているのは、沖縄県で生産した小麦を独占するのではなく、県内の業者みんなで県産小麦を使いたいから。沖縄県産の小麦を広めるためには、さまざまな場所で使ってもらうのがベストと考えた結果です。
農家も自分たちにもGOODな方法を。16年の月日を経て、地産地消の先にある課題も一緒に考え、長い目で解決していくスタイルに変化していったそうです。
なお、Gala青い海店では、沖縄県産小麦100%の生麺を食べられます!
「金月そば」は生麺の弾力がとにかくすごい!
今回は、スタンダードな「沖縄そば」と「つけめん」をいただきました。
まず先に注目していただきたいのが、麺の盛り付けの美しさです。透きとおったスープのなかに美しくならぶ麺は、見ているだけでも心が躍ります。
そして「金月そば」特有の、生麺に練り込まれたつぶつぶ。このつぶつぶが、沖縄県産小麦とのこと!香りをより楽しんでもらえるようにと、県産小麦は小麦粒の表皮部分であるブランが使用されています。
口に運ぶともちもちとした弾力に、驚きを隠せません。噛めば噛むほど小麦の味と香りが口のなかに広がり、麺そのものの味がすごい!語彙力を失うほど、衝撃的な食感と味わいです。
「沖縄そばってボソボソしてるよね」と、かつて沖縄県外でいわれた言葉に悔しさを覚え、「弱点を克服して強みにしよう」と、創業当初から生麺にこだわり続けてきた金城さん。当時沖縄そばの生麺は珍しかったため、「これは沖縄そばではない」といわれたことも。
逆境をのり越え、さらに県産小麦の栽培で地域や業界を巻き込んでしまうパワーがすごい!!
カツオ・サバ・ニボシ・トビウオなどの8種の魚節ダシで、時間をかけてていねいに取られた「金月そば」のスープは、最後まで飲み干せるように、体にやさしいスープをめざしたそう。
ほんのりした味付けに、旨味がぎっしり詰まっています。そのまま両手で器を挟んで、ぐぐぐっと飲むのがおすすめ!
「金月そば」のスープは、朝ダシをとって冷蔵庫に保管し、注文に合わせて必要な量だけを温め直しています。理由は、鍋の上澄と底で味が変わらないように、常にベストな味を提供したいから。
余分に煮込まず、低温抽出で飲みやすい部分だけを使っているからこそ、透きとおった味わいが維持できるのでしょう。
「天然黄金ダシ」と呼ばれるほど味わい深い「金月そば」特製スープを、まずは存分に味わってみてください。
柔らかく煮込まれたお肉は、醤油の味でもなく黒糖の味でもなく、しかし確かな風味を感じる上品な味わい。
「金月そば」特製の二番ダシで煮込んで、さらに特製ダレに浸して味入れしています。島豆腐との相性も抜群です。
濃厚な「天然黄金ダシ」に、お肉の甘じょっぱいタレが、きんちち特製太麺とよく絡む!
「すべてはこの一杯から」といわれている「沖縄そば」。
全店舗で提供しているメニューなので、まずはスタンダードな味を食し、「金月そば」のこだわりを噛み締めるのもおすすめです。
じゅーしぃも、「金月そば」ならでは!
三枚肉を混ぜ込むスタンダードなものではなく、ダシで炊いたごはんに鶏五目を混ぜたものです。
炊き込むのではなく、あとで混ぜるのが、「金月そば」のこだわり。ダシがおいしいと、過度な味付けをしなくてもしっかりと風味が出るんですね。家庭料理に活かしたいと思います!
「金月そば 恩納店」はこれ!沖縄そばのつけそばスタイル!
恩納店では、「金月そば」こだわりの自家製生麺を、つけ麺スタイルで味わえます。
はじめた当初は「沖縄そば×つけ麺」が珍しかったため、「金月そば」の名を一躍有名にしたメニューです。
豚骨とハーブ鶏を3日間かけて煮込んだベースに、最後に上質なカツオ節で仕上げた特製豚骨スープ。コッテリしているけどサラリとした飲み心地で、ご年配の方から子どもまでリピートされている逸品です。
もちもちの生麺にしっかりと絡まるスープで、食べ応えもバッチリ!
スープの味は、スタンダードな「沖縄つけそば」のほか、自家製唐辛子味噌と独自のダシをブレンドした「つけそば 赤だれ」、香ばしい桜エビの味噌ダレの「海老味噌つけそば」から選べます。
寒い日は「赤だれ」が、暑い日は「沖縄そば」や「沖縄つけそば」が人気ですが、「海老味噌つけそば」も外せない!!やさしい味から濃い味まで揃っているので、その日の気分によって選べるのもGOODです。
沖縄のソウルフードを来世に残すために
人の心を豊かにするものってなんだろう、と思ったときに、自分にとっては沖縄そばだったとおっしゃる金城さん。
年末年始に友人が自宅に集まった際に、お父さまがよく沖縄そばを作ってくれたそうです。中学から沖縄を離れ東京で暮らすなか、お父さまが作る沖縄そばは、故郷を忘れないシンボルになっていったのでしょう。
沖縄そば業界のみならず、飲食業界全体に新しい風を吹かせ続ける「金月そば」。沖縄そばがこれから先もずっと沖縄県民から大切にされるように、さまざまなことに挑戦する姿は、沖縄の代表的フードを扱うことへの責任と想いの現れなのかもしれませんね。
店舗によって楽しめる味が違う「金月そば」は、全店舗制覇してお店ごとの味を試すのがおすすめです。
恩納店の「海老味噌つけそば」は近日リニューアル予定とのことなので、お楽しみに!
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