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「旦那は貸してもハサミは貸さない」92歳の女性理容師 建物の老朽化で60年以上の歴史に幕
60年以上続く理容室が閉店
今帰仁村で60年以上にわたって人々の髪を整えてきた理容室が1月10日に最後の営業を終えた。
今帰仁村にある喜屋武理容室の店主、喜屋武米子さん。
今帰仁村出身の米子さんが理容師の免許を取得したのは、今から68年前の1954年で、沖縄が本土復帰する前。商売道具のハサミも年代物だ。
喜屋武理容室店主 喜屋武米子さん:
これ、復帰しないまでは100ドルだった。100ドルするハサミがあるかとみんなに笑われて。買ったら、2、3年研がない、研いだことないですよ
刃こぼれ知らずのハサミを巧みに使い、60年以上にわたって訪れた地域の人たちの髪を整えてきた。
喜屋武理容館店主 喜屋武米子さん:
耳はまだ元気、口は達者
まだまだ元気な米子さんだが、自宅も兼ねている建物は老朽化。取り壊されることとなり、このタイミングでハサミを置くことを決めた。
喜屋武理容館店主 喜屋武米子さん:
もういいと思っている。もう93にもなって、もういいと思っています
最終営業日に常連客集まる
最後の営業日となった1月10日、店には常連客たちが集まり、米子さんをねぎらった。
店の常連客 玉城薫さん:
髪もふさふさだったんだけど、あんたいつの間にか髪もなくなっているさと言いながら、この間、最後に喜屋武さんにハサミいれてもらいました
喜屋武理容館店主 喜屋武米子さん:
高校時代に散髪しに来るから、これは早めにはげるねと思っていた
店の常連客 玉城薫さん:
見透かされていたね、当時からね
子どもの頃から通い続けて65年。米子さんのお客さんとして最後に髪を整えてもらうのは、上原豊哲さん。
店の常連客 上原豊哲さん:
(通って)65年くらいになりますね、腕もすごいですよ
ポリシーは「旦那は貸してもハサミは貸さない」
理容師歴67年、米子さんにはポリシーがある。
喜屋武理容館店主 喜屋武米子さん:
旦那は人に貸しても、ハサミは貸さない。息子にも娘にも誰にも触らせなかった、旦那は貸しても、これは貸さない
店の常連客 上原豊哲さん:
感無量です、ありがとうございます、長い間
営業を終えた翌日の1月11日、建物に感謝し解体工事の安全を祈願した。
この日は近所の人も多く駆けつけ、理容師の役目を終えたあとも、米子さんのそばには常連客の笑顔があふれていた。
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