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長嶺 真輝

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「箱根の片道」から大胆変更…規模拡大3年目で“ジャンプ”した宮古島大学駅伝。箱根駅伝シード校が7校も参加したワケ

國學院大学が大会2連覇 前田康弘監督「4冠狙いたい」

「箱根の片道」から大胆変更…規模拡大3年目で“ジャンプ”した宮古島大学駅伝。箱根駅伝シード校が7校も参加したワケ
アンカーを担い、優勝テープを切る國學院大学3年の鎌田匠馬=宮古島市陸上競技場

レースは小雨の降る午前9時に号砲が鳴った。前日あたりから冷え込み、南国ながら気温は12℃前後。絶好の駅伝日和となった。

名だたる大学名が刻まれたタスキを掛けた選手たちが、宮古島市陸上競技場に設置されたアーチの下から一斉にスタートする。「ワイドー!」。集まった住民の声援を背に、縦列を成したランナーが島内のコースへと勢い良く駆け出していった。

中盤からきつい上り坂が続く1区(10.8km)は競り合いが続き、最終盤のラストスパートで抜け出した沖縄出身である順天堂大1年の池間凛斗(八重瀬町出身、東風平中学校ー宮崎県・小林高校卒)がトップでタスキを繋いだ。2区(12.2km)で國學院大1年の浅野結太が先頭に躍り出るも、エース区間で最長の3区(20.1km)で順天堂大2年の小林侑世が抜き返し、この2校がトップを争う構図となった。

4区(10.0km)では、9位でタスキを受けた青山学院大学3年のキャプテン黒田朝日が4人抜きの快走を見せ、29分29秒で区間賞を獲得。起伏の激しいコースで「場所によってキツイところがありましたが、かなり追い込めました」と手応えを語った。

その後も先頭は順天堂大と國學院大のデッドヒートに。最終6区(18.6km)でアンカーを担った國學院大3年の鎌田匠馬が中盤で順天堂大2年の荒牧琢登を交わし、さらにその後ろから青山学院大1年の飯田翔大も迫る中、鎌田が逃げ切って先頭で陸上競技場に帰還。2位順天堂大と28秒差の4時間8分38秒で國學院大が2連覇を飾った。

前半はラップが上がらずに苦しんだという鎌田。しかし、後方を走る運営管理車に乗った前田康弘監督からの声掛けが力になった。

「前田監督から『駅伝は頭で走るものじゃなくて、しっかり気持ちで走るものだよ』と言われ、気持ちを切り替えられました。ゾーンに入ったような状態になり、不思議と体が動きました。箱根よりも全然タフなコースだったので、今後の大会でも攻めの走りができるようになっていくと思います」

國學院大は前のシーズン、大学三大駅伝のうち出雲駅伝(6区間、総距離45.1km)、全日本大学駅伝(8区間、総距離106.8km)で2冠を達成。初優勝となった全日本では1区を3年の嘉数純平(那覇市出身、北山高校卒)、アンカーの8区を3年の上原琉翔(同)が担い、沖縄県勢も躍動した。ただ、最大のタイトルであり、初優勝を狙った今年1月の箱根駅伝は総合3位に終わった。

それを念頭に、前田監督は「昨年は宮古島駅伝を含めて『裏3冠』をしたのですが、箱根で負けて4冠はできませんでした。今年も宮古島で1冠目が獲得できたので、出雲、全日本、箱根を含めた4冠を狙えるようにしっかり頑張っていきたいと思います」と快挙を見据えた。

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