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長嶺 真輝

長嶺 真輝

「箱根の片道」から大胆変更…規模拡大3年目で“ジャンプ”した宮古島大学駅伝。箱根駅伝シード校が7校も参加したワケ

2月に駅伝…青学・黒田主将「立ち位置を見極められる」

「箱根の片道」から大胆変更…規模拡大3年目で“ジャンプ”した宮古島大学駅伝。箱根駅伝シード校が7校も参加したワケ
タスキを受けて走り出す青山学院大学3年の新キャプテン黒田朝日(右)=第3中継所

もともとは、以前から島内で合宿を張っていた立教大と芝浦工業大に宮古島の選抜チームを加え、練習を兼ねて競い合う交流色の強い大会だった宮古島駅伝。観光の閑散期に当たる冬場の新たなコンテンツ作りを目指して2023年に規模を拡大すると、青山学院大や東洋大などが同年に参加した。その後も國學院大や中央大、早稲田大など強豪校の参戦が年々増えている。

選手たちのコメントにもあるように、コースとなっている宮古島の海岸沿い道路は起伏が激しく、風も強い。新チームが始動したばかりの2月に、この過酷な道のりで行われる駅伝に参加することは、各チームにとってどのようなメリットがあるのだろうか。

箱根駅伝2連覇中のチームで重積を担う青山学院大の黒田キャプテンに聞くと、今シーズンの目標も含めてこんな答えが返ってきた。

「どこの大学も主力をメインに出しているという感じではないですが、自分のチームと隣りのチームの差というか、自分たちが今どのくらいの立ち位置にいるかはある程度見極められると思っています。目指すところは箱根駅伝3連覇です。現状では力不足だと思うので、しっかり1年間力を付けて、来年のお正月を迎えられたらなと思います」

個人で出場するマラソン大会やトラックでの競技会は多いが、「三大駅伝」以外で他校と駅伝で競い合う機会は多くはない。区間ごとの特性に合わせた布陣や、位置取りなどの駆け引きは駅伝ならではの難しさがあるため、世代替わりしたタイミングで「チームで戦う」という意識を共有する意味でもプラスになっているのだろう。

國學院大の前田監督も「駅伝を走る機会って、ありそうでなかなか無いんです。今は新チームになってスタートアップの時期なんですけど、箱根を走れなかった若い選手を出すこともできる。『ヨーイドン』のハーフマラソンよりも駅伝の方が難しいので、こういう大会を開いてもらえるのは非常にありがたいです」と感謝を口にする。

これから主力メンバー入りを狙う選手にとっても、「アピールの場」としての意味合いは強い。

國學院大のアンカーを担った鎌田は2年前の箱根駅伝で8区を走り、区間6位の好走を見せたが、前シーズンは三大駅伝の出走は無し。それを踏まえ、「去年は大事なところで故障してしまい、ずっと悔しい思いをしてきた1年でした。今後も各大会でタイムを出し、チームの顔になっていきたいです。出雲、全日本、箱根を走り、3冠を成し遂げたいです」と気持ちを新たにしていた。

前田監督いわく、チームでは「宮古島駅伝に出たい」と希望する選手も増えてきているという。それだけ大会の価値が浸透してきているのだろう。

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