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登録有形文化財「屋宜家」沖縄県産の海藻”アーサそば”と自家製ジーマミ豆腐とジューシー。食後には”沖縄ぜんざい”(八重瀬町)

那覇空港から車で約30分。八重瀬町の静かな集落に佇む沖縄そばと茶処「屋宜家(やぎや)」は、平成21年(2009年)に国の登録有形文化財に指定された貴重な古民家を活用したお店です。
赤瓦屋根と緑豊かな庭に囲まれながら、アーサそばや黒蜜ぜんざいを味わう時間は、沖縄の原風景と文化を肌で感じられるひとときとなるでしょう。
目次
文化財の古民家「屋宜家(やぎや)」で感じる沖縄の時と空間


八重瀬町の静かな集落に佇む「屋宜家(やぎや)」は、昭和戦後に建てられた建築でありながら、琉球建築の趣を色濃く残した赤瓦の古民家です。
戦後の物資不足のなかで、店主・屋宜利夫さんのおじいさまが港や材木店に何度も足を運び素材を集め、いちから手づくりで建てた家を大切に守り続けています。
この家は、国の登録有形文化財にも指定されており、敷地内には指定を受けた構造物が5つあります。






「ひんぷん」は魔除けや目隠しの役割をもつ塀で、中国の塀風門をもとに沖縄で発展しました。
「屋敷囲い」は石や木でできており、防風・防火のためにフクギやガジュマルなどが植えられています。
広々とした庭やひんぷんのある玄関先など、沖縄の先人たちの知恵や工夫が活かされた伝統的な構造でありながらも、誰もがほっとするような居心地のよい空間です。
*主屋:国指定の文化財として登録されているため制度的に「主屋」と呼ばれますが、観光ガイドなどでは読み手に伝わりやすいように「母屋」という言葉を使うこともあります。
人気店へと成長した「屋宜家(やぎや)」のはじまり


現在の店主・屋宜利夫さんは、かつて日本トランスオーシャン航空の機長を務めていた人物です。約40年にわたるパイロット人生では、総飛行時間約2万時間を記録し、多くのお客さまと大好きな空の旅をともにしてきました。
そんな日々に一区切りがついたのは、お父さまが他界されたときのことです。
「生まれ育ったこの思い出深い家をどうしようか」と悩んでいたところ、奥さまの「多くの人に見てもらいたい、みんなに開放しよう」というアイデアに心を動かされ、なるべく当時のままの姿で「屋宜家(やぎや)」を2007年11月にオープンしました。
飲食業はまったくの未経験からのスタートでしたが、日々メニューの研究と試行錯誤を重ねたことで、観光客はもちろん、国内外の著名人や地元の方々にも親しまれるお店に。琉球建築の趣の中でゆったりと過ごせる時間も魅力となり、今や大人気のお店です!
「屋宜家(やぎや)」といえばアーサそば!




看板メニューの「アーサそば(単品1,050円・セット1,410円)」は、沖縄県恩納村産の海藻・アーサ(ヒトエグサ)を麺に練り込み、香り豊かに仕上げた一品。
かつお出汁のやさしいスープに、三枚肉の旨みと青ねぎの爽やかさが加わり、つるんとしたのどごしの麺があとを引きます。
セットには、沖縄料理の定番中の定番であるジューシー(沖縄風炊き込みご飯)やジーマミ豆腐(ピーナッツを使った豆腐)、もずくなどが付いており、沖縄の味を一度に楽しめるのも魅力のひとつ。
特にジーマミ豆腐は、毎朝手づくりされる隠れた人気メニューで、専用のタレも試行錯誤の末に完成した自信作です。ジーマミ豆腐の単品追加注文やお持ち帰りを希望される方も多いのだとか。
ぜひセットで、「屋宜家(やぎや)」自慢の味をご堪能ください。
もちろん、メニューには普通の麺もあります。
アーサが練りこまれた麺ではなく定番の沖縄そばも楽しめるので、沖縄そばを食べるのは初めて!という方も満足できること間違いなしです!
食後に味わいたい、「屋宜家(やぎや)」の沖縄ぜんざい

沖縄の「ぜんざい」といえば、金時豆と白玉の上に氷をのせた、かき氷仕立ての甘味です。
ふっくらと煮上げた豆のやさしい甘みと、氷の清涼感が心地よく、暑い季節にもぴったり。黒蜜の品のある甘みと豆の自然な甘みが調和し、まろやかな味わいに仕上がっています。
すっきりとしているので、少しだけ甘いものが欲しいときにも、気軽に楽しめる一品です。
沖縄の風にほどける場所「屋宜家(やぎや)」で味わう、静かな時間



赤瓦の屋根、風を受ける縁側、沖縄でみかける花々、香ばしい出汁の香り。
戦後まもなく建てられた「屋宜家(やぎや)」の家屋は、時代が変わってもなお、変わらぬまなざしで人々を迎え続けています。
沖縄を深く愛する人にこそ訪れてほしい、静かでやさしい時間がここにあります。
一杯のそばとともに、心をほどく旅をはじめてみませんか。
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