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世界を巡るフォトグラファー・ヨシダナギ作品が沖縄に初上陸!約3年ぶりの写真展「HEROES RELOADED」

世界中の秘境を巡り、さまざまな民族や文化に焦点を当てた作品を発表しているフォトグラファー・ヨシダナギさんの沖縄初となる写真展が、2025年8月29日(金)~10月22日(水)にて浦添市美術館で開催される。
コロナ禍を経て約3年ぶりの展覧会となる「HEROES ―RELOADED―」では、ヨシダさんが捉えた、ヨシダさんにとっての“HERO”たちの極彩色に彩られた肖像が並ぶ。
写真展の開催にあたって、今回の展示に込めた思いや少数民族の人たちに向けるまなざし、そして沖縄についての話をヨシダさんにたっぷりと語ってもらった。

—今回の写真展は「HEROES ―RELOADED―」というタイトルになっていますが、このタイトルに込められた意味と展覧会の内容について聞かせてください。
タイトルの「RELOADED」は続編とか、フィルムを再装着するっていう意味があるんです。コロナ禍で活動期間が空いてしまって、コロナが明けてからまた旅に出て彼らに会いに行こう、ということが起点になって作った写真集なので、そのようなタイトルになりました。
—同名タイトルの写真集も発売されていて、その作品を携えて日本各地で展示をしているという形ですね。ヨシダさんのステートメントには「幼い頃から少数民族に恋焦がれた」とありました。ヨシダさんが被写体にしている少数民族の方々に惹かれる理由を教えてください。
幼少期の頃にテレビで見て、本当に純粋に「こんなにカッコいい人たちがいるんだったら、こうなれたらいいな」って思ったんですよ。子どもが「仮面ライダー」とかに憧れるような感覚があって。それがきっかけです。
テレビでマサイ族の姿を初めて見て、まだ「マサイ」っていう名前についてもちゃんと分かってなかったし、マサイの人たちが海外から来たということすら全く分かってなかったんですが、「こうなりたい!」という思いは強くありました。

—カラフルで鮮やかで、輪郭バキバキにきまったヨシダさんの写真のは、憧れのカッコよさへの思いを込めて撮影したものということですね。
そうです。初めて彼らを見た時から、私の中では「マサイ=ヒーロー」という感じなんですよ。その後に出会った少数民族の人たちも、私の中ではヒーローであるっていう気持ちが最初から変わってないので、そんなヒーローたちを紹介するというテーマで「HEROES」というタイトルをつけています。
—撮影や制作に取り組む中で、コロナ禍の前後で変わったこと/変わらなかったことについてお聞きしたいです。まずは変わったところから聞いてもいいですか。
変わったことは、すごく前向きに積極的に自分の活動を続けていこう、というか続けたいと思うようになったことです。
今までは私の活動って、趣味の延長でアフリカに通って彼らに会いに行って、自己満足で彼らの姿を伝えるっていうことをやってたつもりで。写真家という肩書が後からついてきたんですね。むしろ仕事で行ってる方が、彼らと過ごす時間が仕事的になりすぎちゃって、ちょっと自分が思っているものと違うなって感じることもコロナ前には結構あって、モヤモヤしてた部分があるんですけど。
コロナで彼らに会えなくなった時に、今まで私が過ごしてた彼らとの時間はすごく尊いもので、テレビでマサイを見たことから始まったんですけど、色んな少数民族に導いてもらっていったことを考えるようになったんです。私の活動はもちろん彼らがいなきゃ成り立たないものなんですけど、テレビを見て応援してくれる人たちがいたからこそ、アマゾンの先住民との距離も縮まり、繋がったと思えるようになった。
そして私が彼らから託されてるのは「自分たちの姿を知ってほしい」っていう彼らの思いなので、今になって写真家じゃなくなってもいいやって言うのは、やっぱりモデルをやってくれた人たちに対してすごく無責任だなって。
それと、応援してくれる人たちがいたから10年間、自分のこの活動ができたって言うことに遅まきながら気づかされて、今の仕事をすることになったことは、責任を持って続けなきゃいけないし、彼らに託された思いを作品にし続けて、彼らの言葉を代弁していけたらなと思うようになりました。

—ヨシダさんの彼らに臨む意識の持ちように変化が訪れたんですね。
そうですね。良い意味ですごく前向きな気持ちになりました。
—逆に変わらなかったもの、コロナの有無に関わらず同じだと感じたことはありますか。
今まで色んな人に出会ってきているんですが、その中で自分にとって1番魅力的に映ってる人たちは、やはり少数民族とか先住民と呼ばれる人たちで、私はずっと彼らのことを1番カッコいいなと思っていることは全く変わらないですね。
—ステートメントには「私の作品はある意味、かれら民族(とその肖像)の消費かもしれません」という葛藤も書き込まれていますが、そうした心情にはどのように向き合いながら制作や展示に臨んでいますか。
その気持ちや葛藤がなくなることは、この活動してる限り消えることはないだろうなって思っています。私の活動に限らず、何か表現をすることで全ての人から賞賛を受けるというのは難しいと思うんです。だからこそ、自分がどっちを見るか、目を向けるかということが大事だと思っています。でも、やっぱり自分が彼らと接触することによって変わってしまう文化っていうのは、少なからずあるとは思うんです。
ただ、私がモデルをやってくれた少数民族や先住民族の方々たちからの話を聞いている限りは「自分たちの文化を伝え続けたい、残していきたい」「自分たちだけで自分たちの文化を伝えることには限界があるから、外の人間にも力を貸して欲しい」という人たちが多いというのが実感としてあるんですね。
だから私は、「文化を壊してしまうんじゃないか」という葛藤はあるんですけど、彼らの「文化を残したい」とか「伝えて欲しい」っていう思いの方に耳を傾けて、彼らの思いを少しでも形にして残していけたらな、ということで活動を続けています。

—今回の展示作品に関して、これまでは訪れたことない場所にも行かれたそうですが、その中でも印象的な場所はありましたか?
今までとは違う所だとメキシコですね。メキシコってなかなかメディアに取り上げられていなかったり、観光地化されていても治安の問題もあったりして、国内でもほぼ無名に近いチチメカという民族の人たちがいるんです。その方たちに会えたことが自分の中では心に残っています。
チチメカの人たちは「服従しない犬」と呼ばれていて、この呼び方は現地語では蔑称に近いのですが、チチメカの人たちはそれを誇らしい呼び名として使っています。そして自分たちの生活を「動物的な文化に基づいた生活」としていて、文字がなくて口伝でしか文化を伝えきれなかった。
生存することだけに重きを置いていた人たちなので、残っている文化は少ないと聞きました。
現在、チチメカは2000人ほどしかいないそうなんですが、昔は生きるために闘っていたけれど、今は自分たちの文化を残すために闘っているという彼らの言葉を聞いて、すごく心を揺さぶられました。彼らの文化を残す・継承するお手伝いが微力なりにもできたらいいいなと思っています。
—ちなみに、あまりメディアにも出てなかったり、知られてなかったりする少数民族の方々とかって、どう探し出してアプローチするんでしょうか。
今話したチチメカ族に関してはですね、私と同じような写真を海外で撮影している大先輩の写真集で見かけたんです。情報は少なかったんですけど、その写真を頼りにメキシコ現地に問い合わせてたどり着きました。
あとは、少数民族のモノクロ写真などがあれば、それを徹底的にリサーチして、この国だろうということが分かったら実際に現地に行ってみて、写真をもとに探していくっていう、すごいアナログな方法をとることもあります。
それと、少数民族のもとに行くと、あなたたちと同じような人たちを探してるんだと伝えれば、隣の民族にちょっと変わった人たちいるよとか、新しい人たちを教えてもらえることもあるので、人づてで聞くこともありますね。

—撮影の際、モデルになる人にはどのように交渉するんでしょうか。
純粋に「あなたたちのことをすごくカッコいいと思っていて、会いに来た」ということと、その姿や文化を世界中の人たちに紹介したいということを伝えています。
—皆さんどんなリアクションをしますか。
リアクションは、みんな「自分たちの民族が1番カッコいい」と思ってることもあって、自分たちの文化を「カッコいい」と思って、わざわざ写真におさめたいと言ってくれる人がいることには純粋に喜んでくれます。
「自分たちのことを知って欲しい」「自分たちがいることを知ってほしい」という人たちが思ってる以上に多いので、そこはやらない理由がないというか。宗教上の理由から女性のモデルさんが父親の許可が必要で顔が曇る瞬間もあったりするんですけど、でもやっぱり皆さん考えてること思ってることは万国共通な部分があるので、こちらの思いを伝えると意外とスッと受け入れてくれる人が多いです。

—色々な場所を訪れているヨシダさんの目には、沖縄はどんな場所に見えていますか?
沖縄は「スタンダードな日本」っぽくない雰囲気と空気感があって、そういう場所が自分の国にもあるっていうことがすごく良いなって思っています。
やっぱり日本って、京都的な日本のイメージがどうしても強いんですけど、そこに南国的な空気とか、暮らしている人の考え方も違ったりだとか、日本の多様性の部分が沖縄や北海道にはあって、そういう部分も含めて私は良いなって思ってます。
—沖縄での撮影はしたことありますか。
やりたいなとは思っているんですよ、琉球衣装の撮影。いつか機会があったら撮りたいですね。
—沖縄でヨシダさんの作品を待ち侘びてるファンや、これから初めて見る人も多くいると思うんですけど、皆さんにひと言メッセージをもらえますか。
沖縄での展示は初めてで、今回は作品がすごく増えたとても良いタイミングで展示させてもらえることになりました。
世界にはまだまだ美しい人たちや文化があるということを感じてもらって、色んな国の人たちを見て気持ちだけでも旅行した気分になってもらえたら嬉しいです。
ヨシダナギ氏本人によるトークショー&サイン会
日時
・8月29日(金)13時~
・8月30日(土)1回目)11時、2回目)14時から
場所
浦添市美術館 講堂
備考
・各回定員40名
・当日物販コーナーにて書籍を含む3,300円以上お買上げのお客様に先着で入場券を贈呈いたします。
・入場券の贈呈は1日お一人様1枚までとさせて頂きます。
・サインは会場で購入した商品1点となります。
・3歳未満のお子様は膝上観覧可能です。
・入場券の再発行は致しかねますので紛失しないようご注意ください。
・会場のスペース上、立ち見となる場合もございますので予めご了承ください。
・トークショー&サイン会での写真撮影はご遠慮ください。
展示会インフォメーション
Information

- ヨシダナギ「HEROES RELOADED」@浦添市美術館
会期
2025年8月29日(金)~10月22日(水)
会場
浦添市美術館
〒901-2103 沖縄県浦添市仲間1丁目9-2
時間
9時30分~17時00分(金曜は19時00分まで、最終入館は閉館30分前)
休館日
月曜日、但し9月15日(月)、10月13日(月)は開館
入場料
一般1,300円(1,000円)、大学・専門・高校生1,100円(800円)小・中学生600円(500円)、3歳以上300円(200円)
※()は前売料金
※3歳未満、障がい者手帳、療育手帳を提示の方は無料(介助者有料)
※混雑時は入場制限を行う場合がございます。
プレイガイド
・浦添市美術館
・ファミリーマート(イープラス)
・ローソン(Lコード82627)
・チケットぴあ(Pコード687-307)
・セブンチケット(セブンコード111-998)
・アソビュー!(当日券のみ)
・コープあぷれ(前売券のみ)
・デパートリウボウ(前売券のみ)
お問い合わせ
沖縄テレビ事業部
098-869-4415(平日9:30~12:00、13:00~17:30)- 地図
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