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“決断”をすれば、全ての出来事に意味を見出せる #10荒川颯<上>【KINGS PLAYERS STORY】
人間性もひっくるめて評価をされる。「このままじゃダメだ」。そう思った。
僕が初めてプロと関わりを持ったのは、大学2年生の時。当時B2だった島根スサノオマジックの練習に参加させてもらった。特別指定で入る希望を持って行ったけど、2日くらいで「絶対無理だ」と思った。まだ、プロのレベルに達していなかった。
大学4年生だった2019-20シーズンには、ライジングゼファーフクオカの特別指定選手になり、B2で11試合に出場した。ただ、コロナ禍に入った影響で、翌シーズンの契約が決まっていない状態でシーズンが途中終了した。当時もまだ自信だけはあった。福岡から契約をもらえなかったことは、GMとの面談に臨む自分の傲慢な姿勢も影響したと思う。

なんとか滋賀レイクスに練習生として受け入れてもらい、2020年12月には当時B2だったFE名古屋とプロ契約を結ぶことができた。ただ、福岡の時も同じだったけど、練習ではいいパフォーマンスが出せても、試合でそれを発揮できない。試合に臨む上で準備不足だったし、「自分はできる」という思いが先行して、それに体が追い付いていなかった。案の定、シーズン終了後はFE名古屋も含め、どのクラブからもオファーはもらえなかった。

それまでは、オファーがもらえないことに対してエージェントの方に不満を示したりして、本当に心が未熟だった。ただ、FE名古屋を退団した後、これまでのプロキャリアで一番壮絶な時期に入る。このあたりから、徐々に“尖り”が丸みを帯び始めていったように思う。
この時のオフには10チーム近くのトライアウトを受けた。仙台89ERSや三遠ネオフェニックス、長崎ヴェルカ、熊本ヴォルターズなど、全国各地を巡った。しかし、なかなか思うような契約を勝ち取ることはできなかった。
その間に面倒を見てくれたのが、横浜エクセレンスの石田剛規GMだった。「颯は絶対に上のカテゴリーでやれるから」と言ってくれて、チームに所属していない自分に対して住む場所の提供や練習参加の許可を出してくれた。最終的にはオファーもくれて、2021-22シーズンの契約を結んだ。今でも、心から感謝している。
トライアウトを通して、選手として感じたこともあった。プレー面で突き抜けている部分が自分にないということに加えて、契約を勝ち取るためには、コミュニケーションなどを含めた人間性も大事なんだということだ。それもひっくるめて評価をされる。
「このままじゃダメだ」
そう思った。
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