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“決断”をすれば、全ての出来事に意味を見出せる #10荒川颯<上>【KINGS PLAYERS STORY】
寺嶋良がオススメしてくれた本が人間性を変えるきっかけになった。“決断”の重要さを学んだ。
2021-22シーズンの途中、自分の内面が変わるための大きな転機があった。読書を始めたことだ。些細なことに感じるかもしれないが、僕の人間性を変える上で、大きなターニングポイントになった。理由は特にない。本当になんとなくだった。
まず、洛南時代から仲の良かった寺嶋が読書好きだったから、彼に「何かオススメの本ある?」と聞いてみた。紹介してくれたのは「大富豪からの手紙」と「運転者」という2冊。いずれも、ストーリーの中に人生を好転させるヒントが散りばめられている本だった。
物事を動かすに当たっての決断の重要さや、日々の地道な努力や周囲への感謝が運を“貯める”ことにつながるという考え方など、多くの学びがあった。これを機に読書にのめり込み、いろんな本を読んで考え方の幅を広げた。すると、うまく行かないことも含めて、「全ては意味があることなんじゃないか」と考えられるようになった。
自分が「決断」した道を行くために、「B1で活躍する選手になる」「Bリーグのトップ選手になる」ということを決めた。視野が広がったことで、この時期には謙虚さもだんだん身に付いてきていた。以前から努力はしていたけど、この頃からエージェントが主催するワークアウトに小まめに参加したり、練習内容を試行錯誤したりして、トレーニングの質も上がっていった。
そしたら、シーズン終了後にB1のレバンガ北海道からオファーが届いた。「大富豪からの手紙」にあった“決断”の項目には、ゴールを決めれば(決断)すれば、起こる全ての出来事に意味を見出せる、ということが書かれていた。決断をした瞬間に、物事が動き出す。その通りになって、本当に驚いた。
寺嶋には、自分の現状について相談をしたり、自己啓発のような本を紹介してほしいとお願いしたりした訳ではない。彼は「人にオススメする本を選ぶ能力がある」と自分で言っていた。おそらく、僕の置かれた状況や心中を察して、本をチョイスしてくれたのだと思う。感謝は尽きない。
2022-23シーズン、遂に目標の一つだったB1の舞台にたどり着いた。しかし、国内最高峰のレベルで、初めから通用するはずもない。またも、挫折を味わうことになる。

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