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夢は結果ではなく、旅路だ #10荒川颯<下>【KINGS PLAYERS STORY】
Bリーグ全体から「最後あいつにボールが渡ったら怖いよね」と思われるくらいにならないと、価値はない。
CSは個人的に苦手意識があった島根が初戦の相手で、リズムに乗り切れないままクオーターファイナルが終わってしまった。CSはより気持ちの勝負になって、空気感も変わる。呑まれてしまった部分もあると思う。
三遠ネオフェニックスとのセミファイナルは1試合目で24分2秒出場した。得点は4点のみだったけど、CSの空気感に慣れてきた感覚はあった。ただ、その後も宇都宮ブレックスとのファイナル第1戦まで、大きな活躍はできなかった。

でも、CSを通してメンタルが落ちるようなことは一度もなかった。「自分のプレーをする」「打てたら打つ」。コートに立った時は、ずっと同じ気持ちだった。
ファイナル第2戦では3ポイントシュート3本を決め、13得点を挙げることができた。繰り返しになるが、この試合もメンタルに変化はなかった。やってきたことを出せただけ。そんな感覚だった。
もちろん、大舞台で活躍できた気持ち良さはあった。レギュラーシーズンから、各地区の上位陣との試合でいいパフォーマンスを出せたことがほぼ皆無だったので、その意味で成功体験にもなった。ただ、第3戦は安易なターンオーバーを2回して無得点。優勝を勝ち取れず、本当に悔しい最後だった。
シーズンを通して、成長できた感覚はある。ただ、まだ何も成し遂げていない。1試合で20点、30点を取れるような選手でもない。CSで1試合だけ活躍できたからといって、天狗になるわけもない。
そもそも僕の性格上、ゴールはないと思っている。Bリーグ全体から「最後あいつにボールが渡ったら怖いよね」と思われるくらいにならないと、価値はない。やれることは、まだまだたくさんある。自分の理想像に向け、試行錯誤をしながら、日々やるべきことを積み上げていく。
コービー・ブライアントの「夢は結果ではなく、旅路だ」という言葉の意味を噛み締めて、僕はこれからも夢の旅路を歩いていく。

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