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真栄城 潤一

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沖縄の琉球王国ルーツ南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」

琉球王国の始祖・尚巴志王ゆかりの地である南城市佐敷を舞台に、歴史と文化を体感する観光ガイド「佐敷まーい」が始まっている。
「まーい」とは、うちなーぐち(沖縄言葉)で「まわる、めぐる」ということを意味しており、直訳すると「佐敷めぐり」。佐敷まーいでは、地域に点在する尚巴志王にゆかりあるスポットをめぐることで、体を動かして歴史や文化を感じられるような観光サービスが提供されている。

また、今回のプロジェクトではVRやARといったデジタル技術を導入することで、“体験型観光の拡張“に取り組んでいることも試みの1つとして注目しておきたい。
今まで行ったことのないややディープなスポットは、定番の沖縄観光スポットでは飽き足らない旅人や歴史好きに、きっと刺さるはずだ。

目次

360度映像から手元まで、3種のVR映像

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
道の駅がんじゅう・南城

佐敷まーいのVR体験ができる場所は、世界遺産「斎場御嶽」のすぐ隣にある「道の駅がんじゅう・南城」。体験ブースは入場してすぐ真正面に設置されているので、一目瞭然でわかるはずだ。

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
VR体験のブース。入ってすぐ真正面にある
南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
注意書きと使用方法はこんな感じ

8K高画質の映像を体験することができるVRコンテンツはA、B、Cの3種類があり、VRゴーグルを着用してから手元に用意されているそれぞれのQRコードをVR端末のカメラで読み込めば、映像がスタートする仕組みになっている。

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
視界を完全に覆って没入感を高める。耳元で音声も流れてくる

VRコンテンツの1つ目、Aの映像は「尚巴志王の道を旅する〜風と祈りの南城巡礼〜」。VRブースのあるがんじゅう駅から始まり、佐敷上(さしきうぃ)グスク、月代宮、石畳道、イビの森など、10ヶ所以上を紹介しながら、尚巴志王が歩いたとされる道を座ったまま主観視点で巡ることができる。

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
画像だと伝わりづらいが、動いていく映像の360°をぐるりと見渡せる

この映像は360°見渡せるようになっており、左右はもちろん背後まで広がる映像の中に身を置いているような感覚になる。尚巴志が礎を築いた琉球の歴史と南城市の文化の香りの一端を、座ったまま堪能できるだろう。

ただし、隣に座っている人がいるかもしれないので、体を動かして視界を堪能する時にはくれぐれもご注意を。

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
この丼にめちゃくちゃ寄ります

続くBの「南城グルメう・まーいVR」は、南城市にあるカフェやレストランの料理やスイーツが高解像度の映像で立体的に目の前に現れ、とりわけアップになったまぐろ丼は、マグロのぶつ切りの表面のテクスチャー、海ブドウ1粒1粒の質感も感じることができる。

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
バーキの編み込みは丁寧かつ細かい作業で、手際の良さに感心を禁じえない

Cの「南城伝統工芸体験VR」では、シーサー作り職人やバーキ(竹かご)作り職人の手元を、自分が作業しているかのような主観視点で体験できる。
独特な道具を要所要所で使いながら、素手で土をこねてシーサーを作っていく過程を間近で見る貴重な機会だ。

バーキは、沖縄で古くから使われてきたホウライチクで編む伝統的な竹かごで、農作物や魚、小物を運ぶ生活必需品だった。網目の1つ1つを丁寧に編み込んでいく細かい作業を目の当たりにすれば、思わずため息が漏れるだろう。

デジタル技術によって拡張される歴史・文化の体験

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
道の駅に設置されている南城市のパネル。色んなスポットが紹介されている

南城市佐敷は、15世紀前半に三山(北山・中山・南山)を統一し、琉球王国を樹立した英雄、尚巴志王(しょうはしおう)が生まれた地。尚巴志は、父・尚思紹と共に、佐敷城(佐敷上グスク)を拠点に勢力を拡大し、最終的に首里を王城と定め、海外交易を盛んにして王朝繁栄の礎を築いた。
さらに南城市には、琉球の創世神アマミキヨが住み着いたとされるミントングスクや、稲作発祥の伝説が残る受水走水(ウキンジュハインジュ)、日本の名水百選に選ばれた垣花樋川など、琉球の信仰や暮らしの記憶が漂う場所が点在している。

南城市をVRで巡る、琉球王国のルーツを辿る体験ガイド「佐敷まーい」
道の駅からの眺め。けっこうな高台にある

こうした、ある意味で「メジャー」なスポットのほかにも、暮らしの息づかいを感じられるような細かな場所も無数にあるため、佐敷まーいプロジェクトのようにデジタル技術を導入しながら歴史と文化をより身近に感じられる「体験型観光」を目指す試みには、沖縄を何度も訪れている人や歴史ファンにとって、これまでとは違った角度で沖縄を見直すことで新たな魅力を発見できる可能性があるはずだ。

その試みをぜひ現地で体感してもらいたい。

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