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奈良から西表島に移住2年目「工業を民藝化」する挑戦『教えて島暮らし 〜沖縄移住者の声〜』
東京から沖縄本島の那覇まで南西に約1,600km、那覇からさらに南西に約400~500km離れた場所に位置する八重山諸島は、石垣島を中心とした12の有人島と多くの無人島から構成されています。
この連載では、石垣島を中心に八重山諸島の島々に暮らす移住者から「島暮らし」のリアルな体験談や思いを紹介していきます。
今回は、奈良出身、移住2年目の松本 亮(まつもと りょう)さん 37歳を紹介します。
目次
奈良から西表島へ移住
Q:出身地はどこですか?西表島に移住して何年目になりますか?
A:出身は奈良県です。移住して約2年になります。
Q:家族構成を教えてください。
A:妻が一人いますが、西表島へ単身移住です。
10年以上通った八重山で電動三輪車のレンタル事業を立ち上げる
Q:お仕事は何をしていますか?
A:西表島で電動三輪車のレンタル「西表島hop on」を運営しています。
Q:お住まいはどうしていますか?
A:上原地区にある工場をお借りし、仕事をしながらそこで暮らしています。
Q:移住した理由を教えてください。
A:元々、八重山には10年以上遊びに来ていて、好きだったからです。また電動で小型の乗り物を用いたお仕事をしようと考えた時に、相性が良さそうかなと思い移住しました。
西表島の魅力は、想像の先に人の顔が浮かぶこと
Q:西表島の魅力を教えてください、それはなぜですか?
A:自分たちの手で物を作ったり、修理したりしておられる方の数が多いことです。
物が手に入りにくいという不便の裏返しでもあると思いますが、物の構造や修理方法などについて詳しい方が多い印象があります。その結果、その人だから使っているものや、ここにしかないものがまだ残っていることがおもしろいです。
いろいろなことがシンプルであることも魅力のひとつだと思います。
都会では人の数が多いこともあり見えない恐怖と戦わないといけないことが多い気がします。西表島では、これは誰が楽しんでくれて、誰が楽しめないかなぁと想像した時に顔が浮かぶということがとても良いことだと思います。
もちろん予想を外すことも多いのですが、その時も外したことがすぐに分かるので、良い環境だなと思います。
Q:移住してよかったことを教えてください。
A:内地で会社に勤めていた時もさまざまな経歴の方がいらっしゃいましたが、西表島では会社とはまた違った経歴の方たちからお話しを聞ける機会が多いことはとても楽しいです。
自分で家を建てた話、土地の開墾を頑張った話、土地の開墾を止めさせようと頑張った話、初めてツアーを作った時の話など、住んでいないと聞けなかった話がたくさんありますね。
Q:移住して困ったことはありますか?
A:特にないのですが、輸送費の高さには驚く時があります。また、僕はありがたいことに困らずに暮らさせていただいているのですが、たくさんの種類の中から住まいを見つけることはできないと思います。
その代わり、住めることそのものがよりうれしいですし、決まった場所に合わせて暮らすということはおもしろいです。
Q:地域の行事に参加していますか?
A:僕はまだ少し触れるくらいにしか参加していません。
みなさんとても一生懸命に行事に取り組んでおられ楽しそうですし、かっこいいです。それでいて、僕のような人にも優しく誘ってくださいますが、強制はされない。だからこそ様々な関わり方が許され住みやすい環境になっているのかなと思います。
地域の行事に関してもいろいろな意見があるだろうなと、顔が浮かぶのが魅力ですね。
西表島の暮らし
Q:西表島の医療はどうですか?
A:私自身はお世話になったことはありませんが、付き添いでお邪魔しても、診療所の先生や看護師さんも優しいです。
Q:本土に帰ることがあればどのくらいの頻度で帰りますか?
A:3ヶ月に1回程度でしょうか。
Q:買い物はどうしていますか?
A:西表島にあるスーパーでの買い物が基本で、売っていないものはネットや石垣島で買い出しをしています。
今までの人生で最も近くにスーパーがある暮らしが、まさかの西表島でもできていて便利です。
西表島で『工業を民芸化』を目標に
西表島をドライブしていると、松本さんが手がける色鮮やかなグリーンの電動三輪車(トゥクトゥク)をよく見かけます。
松本さんの今後の目標や、やってみたいことを聞きました。
「僕たちは『工業を民藝化』しようと考えてお仕事をしています。この活動は、一般的に工業製品だと考えているものを、暮らしに合わせて、暮らしの中で作っていくことから進んでいくと考えています。その一歩目として、自分たちの車両を自分たちで作ることを直近の目標としています。
作ると言っても自分たちで考えた車両を作って売るだけでは、今までの乗り物と何も変わりません。そのため、電動三輪車に触れてもらえる機会を増やすためのサービスを展開しつつ、早い段階で周囲の方たちに製作に関わっていただけるようにしていきたいです。
車両に関することだけでなく、日々の暮らしに関することや、立ち話をするためだけでも僕たちの事務所(自称:基地)に遊びに来ていただけると嬉しいです」
西表島に移住し、松本さんは人の顔が見える環境で、「誰が喜んでくれるか」「誰が一緒に楽しんでくれるか」「あの人ならどう思うだろうか」と日々暮らしの中で人の顔を思い浮かべながら仕事をしています。
まさに、「暮らしが仕事、仕事が暮らし」。
松本さんの夢がいっぱい詰まった、未来の西表島の暮らしを作り上げていく「基地」に語らいに行ってみませんか。
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