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沖縄の伝統を守り続ける泡盛づくり – 比嘉酒造のおしごとに迫る【沖縄おしごと図鑑】
沖縄県のさまざまなお仕事を実際に働いている人たちの声をもとに紹介する「沖縄おしごと図鑑」。
沖縄県内の小・中学校に配布されているこの教材は、身近な企業の仕事を通して働くことの意義や目的を学べる貴重な資料です。
今回は、その中から沖縄の伝統的なお酒「泡盛」を作る比嘉酒造を訪ね、その魅力に迫ります。
600年の歴史を持つ沖縄の伝統酒
調査を担当するのは中学生のりゅうきさんと小学生のりりあさん。彼らは読谷村にある比嘉酒造を訪れました。
案内役を務めるのは工場で泡盛を製造する宮里さんと研究員の中村さん。
りゅうきさんとりりあさんが比嘉酒造のおしごとについて訪ねると、「私たち比嘉酒造は、沖縄の伝統的なお酒である泡盛を作っています。沖縄は昔琉球王国だったんですが、その頃から約600年の歴史がある沖縄の伝統的なお酒で、お米と黒麹を使ったお酒です」と説明してくれました。
比嘉酒造は1948年に創業。以来、沖縄の伝統的なお酒、泡盛を作り続けています。現在では年間270万本もの泡盛を販売するまでになりました。
泡盛ができるまで - 製造工程を見学
宮里さんの案内で泡盛の製造工程を見学します。まず最初に訪れたのは「蒸米と種付け」を行う場所です。
ここは、お米を1回綺麗に洗って、その後に熱を加えてお米を蒸していきます。その後に黒麹菌を入れて黒麹菌を繁殖させるところになっています。
次に訪れたのは「製麹」といってお米についた麹を育てる場所を訪れました。
「麹って何ですか?」と質問するりりあさんに、宮里さんは「麹というのは泡盛を作る上でとても大切な良い微生物です」と丁寧に答えてくれました。
泡盛づくりの大切な作業を体験
続いて一行は、水と泡盛酵母が入ったタンクに黒麹菌のついたお米を入れて発酵させる場所へ。
「発酵すると炭酸ガスが出るので、その炭酸ガスでプチプチしています。
この表面に雑菌が繁殖するとまずいので、雑菌が繁殖しないように毎日混ぜる作業をしているんですけど、よかったら混ぜてみますか?」と宮里さんが提案。
りゅうきさんとりりあさんは大型のヘラを使って、タンク内の発酵中の液体をかき混ぜる作業に挑戦しました。
「結構重たいですね」とりゅうきさん。宮里さんは「この作業をしてあげないと、香りや味わいを作り出すのを雑菌が邪魔してしまうので、この作業を毎日やっています」と説明します。美味しい泡盛を作るために、日々こうした地道な作業が行われているのです。
亀甕で熟成させる伝統の技
見学の最後に訪れたのは「古酒蔵」と呼ばれる場所。ここには多くの甕(かめ)が並べられています。
ここは、比嘉酒造の古酒蔵と言って、泡盛を亀甕に熟成させる場所です
「なんで熟成させるんですか?」と質問するりゅうきさんに、中村さんは「泡盛は熟成させると、クースー、沖縄の言葉では古酒と言って、香りだとか味わいがすごく良くなるんです。なので、ある程度熟成させるということが大切なお酒です」と答えます。
りりあさんが興味津々で「この中も見ていいんですか?」と聞くと、「今日は特別に見せてあげますね」と亀甕の中を覗かせてもらうことに。
「めっちゃお酒の匂いがします」とりりあさん。甕の中からは長い熟成期間を経た泡盛の豊かな香りが漂っていました。
伝統を守り、未来へつなぐやりがい
見学の最後に、りゅうきさんとりりあさんは「お仕事のやりがいは何ですか?」と質問しました。
伝統を守りたい、飲んで喜んでもらいたいという気持ちが、この仕事のやりがいになっているのですね。
この仕事に向いている人は?
比嘉酒造を訪問した調査の最後に、「この職業に向いている人はどんな人ですか?」という質問をしました。
伝統を大切にしながらも、常に改善を考えられる人。お客様の反応や喜びを感じられる感受性のある人。そして何より、沖縄の文化や歴史に興味を持ち、それを次世代につなげていきたいという思いを持った人が向いているとのことでした。
沖縄の伝統文化を守りながら、未来へとつなげていく比嘉酒造の皆さん。そのお仕事を通して、伝統と革新のバランスを大切にする姿勢や、お客様を思う心の大切さを学ぶことができました。
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