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真境名 育恵

真境名 育恵

1月26日は「ムーチー(鬼餅)」の日「ムーチー・ビーサ(寒さ)」と呼ばれ、寒さが一番厳しい時期!旧暦行事は沖縄では何する?

1月7日は沖縄では「ムーチーの日」旧暦行事として沖縄では何するの?ムーチーを食べる由来を解説

実家も嫁ぎ先も沖縄の仏壇持ち家(沖縄では一般的に長男が祀る仏壇のある家)に生まれ
たものとして、幼い頃から筆者が体験し、年中行事を取り仕切る役割のウフヤーアンマー(仏壇持ちの女性)から見聞きした「年中行事」の知識を紹介しつつ、現代風にアップデートしていくコラム!
今回は「ムーチー(鬼餅)」を紹介します。

目次

2026年の「ムーチー(鬼餅)の日」はいつ?

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ムーチー(鬼餅)

ムーチーは毎年、旧暦12月8日に行われます。
新暦では2026年(令和8年)の1月26日(月曜日)になります。

この時期は「ムーチー・ビーサ(寒さ)」と呼ばれ、寒さが一番厳しい時期でもあり風邪をひきやすい季節です。
旧暦12月8日に作られるカーサ(葉)に包んで蒸した餅は、カーサムーチー、あるいはムーチーといいます。
かつてはウージ(サトウキビ)の葉も使われていたようですが、近年では蒸すと独特な芳香が移るサンニン(月桃)の葉で包んだものが主流です。
サンニン(月桃)の香りは魔よけになると言われているので、サンニン(月桃)の香りを移した餅を食べることで、ムーチー・ビーサ(寒さ)と呼ばれる寒波にも負けず、健康に過ごせると考えられ、健康祈願としています。また、子供が生まれて初めてのムーチーは親戚や友人にも振る舞い「ハチムーチー」といわれます。

沖縄で親しまれる「ムーチー(鬼餅)」とは

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月桃に包まれたムーチー

「ムーチー(鬼餅)」は沖縄の旧暦行事であり、沖縄の方言で「餅」を意味する言葉でもあります。
食べ物としてのムーチーは、白糖や黒糖、紅芋などで味・色をつけた餅をサンニン(月桃)の葉で包んだものです。
抗菌作用のあるサンニン(月桃)の葉で包んだムーチーは腐りにくく、保存食としても重宝します。

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サンニン(月桃)の葉

一年の厄を、魔よけの効果があるサンニン(月桃)やビロウ(クバ)の葉で包んで蒸したムーチーを食べることで厄払い、悪霊払いをする日でもあります。
蒸したあとの汁も厄除けになると言われており、裏戸や門に「鬼はいないか?鬼の足、焼こうか?」などといい、アチコーコー(熱い)ゆで汁を撒くと厄除けになります。

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このようにして、月桃の葉に餅を包んでいきます。

小さなお子さんがいるご家庭では、健康を祈願して、子どもの歳の数だけヒモでつないだムーチーを天井や壁から吊るします。特に男の子は、力持ちで粘り強い子に育ってほしいという願いを込めて、特大サイズの「力(ちから)ムーチー」を作り、神の木といわれるクバの葉で包みます。この年に子供が生まれた家庭では、初ムーチーを「内祝い」として配る習慣があります。

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注)画像は月桃の葉です。

この時期、沖縄の家庭はムーチーの香りに包まれます。

鬼ムーチーの伝承

皆さんは沖縄でムーチーを食べるきっかけになった昔話をご存じでしょうか?
沖縄では図書館の絵本の読み聞かせや、小学校行事での史跡回りの際に先生から聞く機会もある有名な昔話が元になっています。
なかなかアダルト要素の強い内容ですが、そこは沖縄古来の信仰にも繋がっているので紹介します。

ムーチーの昔話

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ムーチー(鬼餅)

昔、首里城の近くに両親を亡くした仲の良い兄妹が住んでいました。ところがあるとき兄は鬼になってしまい、村の人々や家畜を食い殺すようになりました。
そこで妹は、鬼を退治するために、兄の好きな餅を月桃の葉で包んだものを食べさせることを思いつきます。
鬼の食べる餅に石が練り込まれており噛み切れないのですが、妹が食べる餅は普通の餅でパクパク美味しそうに食べているではありませんか。
鬼は妹の口の強さにびっくりしていると、開けた着物から女性器が見えました。
鬼は「お前のその下の口はなんだ?」と聞くと、妹は「上の口は餅を食べる口、下の口は鬼を食べる口」と言い鬼に迫りました。 驚いた鬼は足を踏外し、内金城嶽にある崖から落ちて死んでしまいました。

この鬼退治が行われたのが旧暦の12月8日だったということから、鬼退治のために作られた餅のことを「ムーチー(鬼餅)」と呼ぶようになりました。

ムーチーの昔話からわかる沖縄の信仰

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「鬼餅」の由来は、『球陽※(きゅうよう)は、 1743年 から 1745年 にかけて 琉球王国 の 正史 として編纂された 歴史書』によると瞬天王(しゅんてんおう)の時代となっています。

ムーチーの昔話で紹介したように、餅の霊力と女性器のもつ呪力が鬼を退散するという古代の信仰が伺える伝承です。鬼は元来、荒ぶる神であり、来訪神の性格を持っていましたが、仏教の地獄絵図等でお馴染みの「鬼」が習合されて、現在に伝わる悪い鬼として伝わっています。また、古来、性器は生産と豊穣をもたらすという性崇拝をもっており、「災い」を除去する呪力があると信じられていたようです。

物語で女性器をみた鬼が虚を突かれて退治される「鬼餅伝説」は、古代沖縄にも性器の呪力信仰があったことを物語っています。

実際、ホーハイ御嶽として知られている首里の金城御嶽には、男根をかたどった石三個と、女陰の形の石と木の穴がまつられています。

ムーチーの日のお供え物

<お供え物>
・ムーチー
・ヒラウコウ(12本+3本)
<手順>
ムーチーをヒヌカン、仏壇、床の間にお供えして、線香を立てて家族の健康祈願と一年の感謝をします。
※ムーチーの日は特に決まったグイス(拝み方)はありません。

我が家のムーチー

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月桃の葉を積んだあと

ムーチーを手作りするご家庭もあるようですが、我が家は、近所のご当地スーパーに行けばいろんなテイストのムーチーが購入できるので、好きな味のムーチーを購入して神仏にお供えし、家族の健康祈願をすることにしています。
というのも、家事育児、仕事に追われてじっくり「手作り」する時間がないというのが本音なので、簡略化を否めない気はします。
時間があればムーチーを親子で手作りをして、ムーチーの由来についてゆっくり話すのも、豊かな時間の使い方かも知れません。

ムーチーのレシピ

□材料
・もち米粉 1キロ
・黒砂糖あるいはザラメ・三温糖
・月桃(サンニン)の葉

□作り方
01.もち米粉と砂糖、水を適量加えて混ぜ合わせます。扱いやすくなったら、こねて粘りを出します。
02.よくこねて、耳たぶほどの硬さになったら、重ならないように縦に餅を並べて20分ほど蒸します。
03.蒸し器から蒸気があがったら、重ならないように縦に餅を並べて20分くらい蒸します。
04.蒸しあがったらすぐに新聞紙などに広げて、うちわなどであおいで水分を飛ばします。

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それにしても白糖や黒糖、紅芋などで味・色をつけた色とりどりのムーチーは、とても柔らかくて、いくつでも際限なく食べられてしまうので、ウエイト・コントロールが困難な時期でもあります(笑)。
我が家で準備する以外にも子ども達が通う学童や地域の自治会から、手作りのムーチーを頂くこともあるので、沖縄中にムーチーがあふれかえる一日といっても過言じゃありません。
昨今の少子化で初ムーチーの内祝いを頂く機会は少なくなった気もしますが、仏壇やヒヌカンにお供えをして、家族全員の健康祈願をする大切な日であることは変わりません。
美味しいムーチーを食べて厳しい寒さを乗り越え、みんな健康で元気に過ごしたいですね。

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