沖縄経済
今後の多様化も見込まれる「移動販売」
後間
こんにちは。後間秋穂です。
自動車や屋台などで様々な場所に出向いて商品を販売する「移動販売」。最近、その「移動販売」に、新しい形が登場しているようです。
今回はそうした「移動販売」の現状について、野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。宜しくお願いします。
宮里
宜しくお願いします。
後間
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う外出自粛で外食や買い物の形が変化する中、移動販売という形が見直されてきたということでしょうか。
宮里
はい。そう言えると思います。
2021年に大手シンクタンクが行っている調査では、ドラッグストアと100円ショップを除いて、食品スーパーやコンビニ、総合スーパーなどの利用頻度はすべて減少しています。
一方、インターネットショッピングは2009年から2021年の期間に約2倍程度に拡大しています。
移動販売の持つ可能性が見直されている背景にはこのようなライフスタイルの変化があります。
インターネットショッピングには必要な商品だけをいつでもどこでも買い物ができるといった利点はありますが、商品を手に取ってかしかめながら買い物をする楽しみはありません。
一方、移動販売には、出かける手間や時間をかけずに買い物の楽しみを味わえるといった利点があります。
後間
では、最近はどのような移動販売の形があるのでしょうか。
宮里
こちらをご覧ください。ある大手不動産会社では、この会社が開発・運営するマンションやオフィスビル、駐車場、公園などのスペースに食品や衣料品、健康雑貨などを販売する移動販売車を派遣する取り組みをしています。この事業には昨年12月時点で41の店舗が参加しています。
出店業者は、移動販売を行うスペースや、移動販売車、顧客情報をシェアすることで費用を抑えつつ、ビジネス上有利な場所で最適な出店計画を組むことができます。
またこの仕組みを運営する不動産会社としては、自社の運営する物件のスペースを有効活用できるうえに、物件のテナント各社への新しいビジネス提案にもつながります。
後間
移動販売は様々な形で社会に変化をもたらす可能性がありそうですね。
宮里
はい、高齢化や過疎化が進む日本では、日常的な買い物にも不便を感じるいわゆる「買い物弱者」が問題となっています。
そんな中、全国に出店が進むコンビニ各社も移動販売に力を入れています。
例えば、最大手のコンビニチェーンA社では、買い物支援の取り組みとして2021年12月時点で全国で109台を展開していますが、2025年には200台に倍増させる計画です。
また、ある事業者では、2020年7月時点で全国のスーパー132社と提携し、合計575台の車両が稼働しています。
そして、自治体も移動販売のもつ可能性に注目しています。
行政による買い物弱者への対策としても、「移動販売車の導入や、運営に対する支援」が、2014年以降に増加傾向にあります。
新型コロナウィルスの拡大を経て、あらためてその意義が見直された移動販売は感染の収束後も重要な販売チャネルとして定着していきそうです。
後間
今後の進展に期待したいですね。宮里支店長ありがとうございました。
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