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OKITIVE編集部

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700人の応援が伝統を動かした。160年続く沖縄の”味噌蔵”新しい木桶に込めた未来への願い

「修理もできません」…限界を迎えた木桶を新たに 沖縄で160年続く老舗味噌蔵を支えた多くの思い

那覇市首里の味噌蔵で、黙々と手を動かす職人たち。全国各地から沖縄に集まった桶職人たちが、160年以上続く老舗味噌蔵の未来を賭けた新しい木桶づくりに挑んでいる。

「修理もできません」…限界を迎えた木桶を新たに 沖縄で160年続く老舗味噌蔵を支えた多くの思い

鉄釘も接着剤も使わず、竹でできた「タガ」と呼ばれる輪で木材を締めて強度を上げていく伝統の技法だ。木桶には、琉球王朝時代から受け継がれてきた味噌づくりの伝統を次の100年へと繋ぐという強い思いが込められている。

目次

「ここまでよく耐えたな」

「修理もできません」…限界を迎えた木桶を新たに 沖縄で160年続く老舗味噌蔵を支えた多くの思い

那覇市首里大中町にある玉那覇(たまなは)味噌醤油は、創業から160年以上も伝統の味を守り続けてきた味噌蔵だ。その味を支えているのが木桶を使った天然醸造だ。自家製の麹が時間をかけてじっくりと味を育て、保存料などは一切使わない昔ながらの製法で味噌を仕込んでいる。

「修理もできません」…限界を迎えた木桶を新たに 沖縄で160年続く老舗味噌蔵を支えた多くの思い

しかし、味噌づくりに欠かせない木桶が深刻な状況を迎えていた。
戦後から使い続けてきた木桶は80年以上にわたって蔵を支えてきたが、ついに修理すらできない状態まで劣化してしまっていたのだった。

「修理もできません」…限界を迎えた木桶を新たに 沖縄で160年続く老舗味噌蔵を支えた多くの思い

代表取締役の大城由美さんは2025年に父親から蔵を継いだ。何度も何度も補強し直して使い続けてきた木桶を見つめながら、その限界を痛感していた。
桶がバラバラにならないよう針金やワイヤーで巻いて延命を図ってきたが、桶職人からは「玉那覇さんの桶は修理もできません」と告げられる始末だった。

「結い物で繋ぐ会」代表の岸菜賢一さんが初めて蔵を訪れた時、ボロボロになった木桶を見て衝撃を受けた。「ここまでよく耐えたな」という驚きと同時に、「このままだったら蔵がなくなる」という危機感を抱いたという。

作り直しの費用は高額、残す方法は?

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木桶を作り直すには、1本あたりおよそ200万円という高額な費用がかかる。伝統の味噌蔵といっても、すぐに出せる金額ではない。大城さんは悩んだ。伝統的なものを残してきたものをなくすのは簡単だが、どうにか残していける方法はないのかと。

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伝統の味と製法を未来に繋ごうと、大城さんたちは2025年にインターネットで資金を調達するクラウドファンディングに挑戦した。資金調達だけでなく、沖縄の伝統的な味噌づくりを多くの人に知ってもらう狙いもあった。

結果、その思いは多くの人の心を動かした。
「玉那覇味噌醤油さんのお味噌が大好きです!応援してます!」「昔からの製法をしっかりと守られているのがよくわかります。是非応援させてください」といった温かいコメントが次々と寄せられた。

沖縄では前例のない木桶づくり

「修理もできません」…限界を迎えた木桶を新たに 沖縄で160年続く老舗味噌蔵を支えた多くの思い

クラファンでは700人余りから支援が寄せられ、見事目標金額を達成。新しい木桶づくりへの一歩を踏み出すことができた。

2026年2月、依頼を受けた桶職人たちが全国各地から沖縄に集まり、組み上げ作業に取りかかった。材料となるスギやヒノキがあまり育たない沖縄では、木桶づくりは前例がほとんどない。

長崎県から駆けつけた桶職人の宮﨑光一さんは、木桶での醸造にこだわる玉那覇味噌醤油の姿に心を動かされた一人だ。

「修理もできません」…限界を迎えた木桶を新たに 沖縄で160年続く老舗味噌蔵を支えた多くの思い

「蔵の人が桶を使って味噌を仕込み続けたいという思いを感じました。今まで使われてきた桶が100年以上使われてきているということで、同じように長く使える桶を作らないといけないですね」

岸菜さんも「木桶を新しく作った前例もなく、本土と沖縄では発酵の中身も違う。玉那覇味噌醤油にとって新しいチャレンジですし、僕らはそれに応えたい」と思いを語った。

「次の100年」へと受け継がれていく味噌づくり

「修理もできません」…限界を迎えた木桶を新たに 沖縄で160年続く老舗味噌蔵を支えた多くの思い

4日間にわたる作業の末、ついに新しい木桶が完成。大城さんは改めて実感していた。

「こんなにも応援されているんだなと。一人ひとりの皆さんに、私たちの桶を入れさせてもらったなと。本当に感謝しています」

蔵のメンバーや職人たちは、運び込まれた真新しい桶の底にそれぞれの名前をしたためた。100年後、この名前を誰かが目にするはずだ。

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「桶となってからはまだ日は浅いですが、木として植えられてから100年以上経っているものなので、その時間の重みとかありがたみとか、全部を引き受けてここに来ている。本当にしっかり繋いでいかないといけない。次の100年、どうなっていくかすごく楽しみです」

新しい木桶と、木桶に込められたたくさんの思いとともに、伝統の味は次の100年へと紡がれてゆく。

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