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OTV報道部

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テクノロジーが文化を守る?紅型とNFTの未来

NFTという仕組みをご存じだろうか。この技術を使うことで、今ままではインターネット上で無数にコピーされていた動画や、画像、アートに対してどれが本物なのかを証明することができる。NFTを沖縄の伝統工芸紅型を紐づける取り組みについてお伝えしていく。

紅型の魅力を伝えるため挑戦を続けていく

沖縄の伝統芸能・紅型モチーフをスケッチする図案から型彫り、縫製まで全て手作りで、ひとつとして同じものはない。

紅型職人の知念冬馬さんと知花幸修さん。紅型の魅力を多くの人に知ってもらうための試行錯誤してきた。

紅型職人の知念冬馬さん
「飾った時の紅型の美しさとか、着た時のしわの寄った時の美しさとか。その満遍ない表情の変わり方を楽しんでいけるのが、琉球紅型ならではの魅力だと思っています」

紅型職人の知念冬馬さん
「やっぱり一番は、本物に絶対触れてほしいなというのはあるんです。本物に触れて欲しいし、本物を作りたい。作り続けるためにこういう分野にも進出していくところが、自分自身への挑戦的な所ですね」

紅型職人の知花幸修さん
「デザインとしては非常に普遍的で、これを今の世代の人たちとか知る機会が無いのが非常にもったいないなと思います」

「NFT」世界に一つだけのデータ

2人が紅型の価値を守りたいと取り入れたのが、NFTという技術だ。英語で「Non Fungible Token」の略で日本語では「替えの効かない印」と訳される。

簡単にデータを複製できるデジタルの世界で、その作品が唯一無二であることを裏付けるデジタルコンテンツの「権利証明書」。デジタルの世界では、これまでは元のデータとコピーが同じ価値で扱われてきたが、NFTを用いると元のデータは本物と証明されコピーとは、全く価値が違うと判断されるようになる。

NFT化できるものは様々で、音楽やSNSの投稿・ゲーム・動画・書籍・アートなどが挙げられる。

紅型を作る2人はデジタルの世界にも、販路を拡大しようと琉球紅型の「本染め」や「型紙」をスキャンしたデジタルデータを、NFTに紐づけて発売した。

紅型職人の知念冬馬さん
「昔からある工房で配色をした紅型の伝統的模様そういったものをNFT化して出しています」

紅型職人の知花幸修さん
「こういう作品をスキャンしてNFT化させていただきました」

NFTと紐づけた紅型の作品は高値で購入されているという。

紅型職人の知念冬馬さん
「第一回の時に買われたお客さまは海外の方で、沖縄が好きで、毎年沖縄に来ていたんだけれども、コロナの影響もあって来れないというその方の、家族の方にプレゼントしますということで購入されたらしいんです」

紅型職人の知念冬馬さん
「デジタルの面で、こういう風に広がりを見せてくれたんだなということはすぐ実感できたので面白いなと思いました」

紅型職人の知花幸修さん
「5点出して2点購入があって1点は海外の方です」

伝統芸能を世界に発信して魅力を伝えていく

NFTを用いることでもう一つのメリットがある。これまでは商品が転売された際に製作者には収益はなかったが、NFTを用いることで、転売されるたびに製作者にも売り上げの一部が還元される。

これまで紅型作家の普及・発展に取り組んできた小渡晋治さん。

NFTは今、世界中の企業が投資を初め話題となっている仮想空間、いわゆるメタバースとの相性が良いという。メタバース空間では自分の分身となるキャラクターに、紅型を着させることなどもできるからだ。

紅型コンソーシアム 小渡晋治さん
「仮想空間といったものが色んなシーンで活用されていったりとか、どんどん広がってくると思うんですね。そこに対する投資もどんどん増えてくるでしょうし。メタバース上の自分の服を選ぶ時に、紅型これだけありますというのと、紅型準備中ですというのでは展開の仕方は全く違ってくるのかなと思います」

伝統文化やアート作品の価値や、その魅力を世界に発信するツールとして注目されているNFT。

紅型職人の知念冬馬さん
「新たな発信で、今までこのアナログの分野とかに興味がなかった人がこの文化に興味を持ってくれて知って理解して、興味をもってそういったことでデジタルの世界での文化構築みたいなところが進んでいけばおもしろいよねと思っています」

世界で10億人が利用するインスタグラムや、動画配信サイトのYouTube、ファッションブランドのナイキ、ルイ・ヴィトンなども導入に向けて動き出していて、NFTは大きな地殻変動をもたらすことになりそうだ。

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