沖縄経済
小売りの新たなキーワード『売らない店』
後間
こんにちは。後間秋穂です。
今回は小売りの新たなキーワード「売らない店」について野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに詳しく伺います。
よろしくお願いします。
早速ですが、「売らない店」とはどういったものですか。
宮里
はい。「売らない店」とは、必ずしもその場で商品を販売することだけを目的とせず、商品を実際に体験してもらうことや商品について説明することを主な目的とする店のことです。
このところ、こうした店舗が続々と登場し、商品を購入したいと思った場合はインターネットの通販サイトから購入してもらうのが主流となっています。
後間
なるほど。こうした「売らない店」が増えた背景は何ですか。
宮里
はい、この背景にはインターネット通販の普及が考えられます。
こちらはインターネット通販の利用状況に関する調査結果です。
「実際の店舗に行かずにインターネットだけで商品を買うことがある」と回答した人は2021年は全体の半数ほどに達し、6年前と比較すると12ポイントほど増加しています。
一方、実店舗の利用については2018年まで増加傾向が続いていた総合ショッピングセンターやモールが減少に転じ、百貨店においては大幅に減少していることが分かります。
後間
消費者の買い物の仕方が変わる中で、お店のあり方も大きく変化しているのですね。
「売らない店」には具体的にどのような店舗がありますか。
宮里
はい。おととし、東京有楽町にオープンした店舗では、国内外の企業が開発した次世代型の家電などおよそ100点が展示されています。その展示品の半分ほどは、まだ実際に市販されていないものなのです。
この店舗では
実際に製品を体験した来店客の反応を調べ、そのデータをメーカーにフィードバックすることで、製品やサービスの改善に繋げることを主な目的としています。
このほかにも、発売前の家電や日用品を集めた「次世代型ショールーム」などがあります。
後間
こうした取り組みは小売り業界全体に広がっているんでしょうか。
宮里
はい。東京のある百貨店では去年、インターネット通販を通じて直接消費者に販売する、ダイレクト・トゥー・コンシューマー「D2C」の形態をとるブランドを集めたスペースをオープンしました。
売り場には百貨店の担当者が常駐し、商品の説明や開発の背景などを伝えることに力を入れています。
新型コロナの影響で百貨店の業績が低迷する中、「売らない店」は苦境を脱却するための新しいビジネスモデルとしても期待されています。
後間
今回は「売らない店」について宮里支店長に伺いました。
ありがとうございました。
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