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くらしと経済編集部

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コンブやワカメ…「藻」が脱炭素化に貢献

後間
今回は脱炭素化に貢献する「藻」に関するお話を野村證券那覇支店支店長の宮里洋介さんに伺います。
よろしくお願いします。

宮里
よろしくお願いします。

コンブやワカメ…「藻」が脱炭素化に貢献

後間
コンブやワカメなどの藻類と脱炭素化とはどのような関係があるのでしょうか。

宮里
はい。ワカメ等の藻類は世界的な課題である二酸化炭素の削減に大きく貢献しています。
海で育つ藻類は陸上の植物と同じように光合成を行っており、海の生物を通じて吸収される炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれます。
「ブルーカーボン」の吸収源となる生態系は海藻などが生い茂る「藻場」と呼ばれる場所を中心に形成されています。

後間
なるほど。では、その藻類による脱炭素化がどのように行われているのか教えてください。

宮里
はい。発生した二酸化炭素は水に溶けやすいため、まず海に溶け込みます。その後、浅い海に生息する海藻などが光合成を通じて二酸化炭素を取り込み、体の中に貯留されていきます。
また、海藻の寿命が尽きて海底に堆積した場合にも、取り込まれた炭素は泥に埋まった形でそのまま堆積されていきます。
つまり、藻場が豊かであれば脱炭素化の促進につながるのですが、近年海水温の上昇等さまざまな要因によって藻場が急激に減少しています。

地球の炭素循環の仕組み

後間
日本ではブルーカーボンの生態系を守るための取り組みは行われていますか?

宮里
はい。日本の製鉄会社A社では、製鉄の過程で生じる「鉄鋼スラグ」と呼ばれる副産物を活用して、海藻の生育に必要な「鉄分」を海に供給する製品を開発しています。
北海道・泊村では、2019年にこの製品を地元の漁業組合と共同で海に沈め、藻場を再生する事業が行われました。
その結果、2020年には減少していた藻場が付近の海底で再生してきたということです。

藻場再生に向けた企業の取り組み

後間
その他にはどのような取り組みがありますか?

宮里
はい。さらなる取り組みとして「ブルーカーボンのクレジット化」があります。
まず、企業や漁業者、自治体などがブルーカーボンの生態系を作り、二酸化炭素の削減量を第三者機関に認定・証明してもらうことで、その数値を「ブルーカーボンのクレジット」とすることができます。このように削減量を数値化することで、企業や自治体などの間で売買ができるようになります。

例えば、二酸化炭素の削減目標を達成できない企業は、他の企業が設定した削減量のクレジットを購入することで二酸化炭素を削減したとみなされることになります。
クレジットを設定する企業は得られた資金をさらなる取り組みの活性化につなげることができ、購入する企業は自社の環境目標を達成し、組織の価値を高めることができます。

ブルーカーボンのクレジット化とメリット

後間
今回は脱炭素化に貢献する「藻」について宮里支店長に伺いました。ありがとうございました。

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